2020.12.24
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増やし鬼 鬼になりやすいのは?(パート1)

前回の記事では、「給食じゃんけんにまつわる割合の話」と題して、給食じゃんけんを5年生「割合」の学習の導入で扱うのはどうかと提案しました。子どもにとって身近であること。8人中4人を決めるじゃんけんをすると、2人中1人でじゃんけんしても同じだということに子どもが気付くのではないかということ。この2点がこの教材のポイントでした。しかし、「給食じゃんけん」から、「増やし鬼の鬼のなりやすさ」に場面を変更しました。子どもたちから、割合の見方を引き出すことができたのでしょうか。

名古屋市立御器所小学校 教諭 松田 翔伍

増やし鬼にした理由

なぜ、「給食じゃんけん」から「増やし鬼」にしたのか。「給食じゃんけん」だと、余ったおかず(個)に対して、何人(人)にあたるという見方ができます。例えば、おかずが4個余り、8人希望者がいる。この場面だと、1個あたりの希望者2人という見方ができるのです。単位にご注目ください。「個」と「人」です。大きく見れば割合なのですが、これは単元「単位量あたりの大きさ」の学習になります。単元「割合」では、同じ単位の量を扱うのです。これが場面変更の大きな理由です。

図で考えたり、実際にじゃんけんしたり…

どの場面が一番鬼になりやすいですか

「どの場面が一番鬼になりやすいですか」という問題を出しました。直観で、Cの場面が多そうだと多くの子が判断しました。まずは、鬼の数と希望者がそろっていないため、比べにくいということを全体で共有。鬼の数と希望者のどちらかがそろっていれば比べられそうだという見通しをもたせました。

ある子が、「Aの場面とBの場面は、どちらも半分が鬼になれます。Cの場面は半分以上が鬼になれるから、Cが一番鬼になりやすいです」という意見を発表しました。すると、教室中から「Aの場面とBの場面は、同じなりやすさです」という声があがりました。


Aの場面とBの場面を表した図

まずは、鬼を決める場面をイメージさせます。Aの場面を再現するために、4人の子どもを指名して、実際にじゃんけんをさせました。そして、赤色のカードは鬼の人、白色のカードは逃げる人と見立てたカードをランダムに貼り付けていきました。

同様に、Bの場面もじゃんけんをしました。次は8人でじゃんけんをするので、なかなか鬼が決まりません。すると、「2人1組でじゃんけんすればいいよ。2人でじゃんけんして勝った人が鬼だよ」と助言する声が出ました。これが後に、確かな理解へとつながる伏線となりました。ここで、「AとBの場面が同じなりやすさなのは、どうしてですか」と全体に投げ掛けて話し合いに入りました。

ある子が、「Aの場面は、4人中2人鬼になれます。Bの場面は8人中4人鬼になれます。どちらも半分が鬼になれるから、同じなりやすさです」と発言しました。続けて、別の子が、「Aの場面は2/4です。Bの場面は4/8です。約分するとどちらも1/2です」と発言しました。やはり、このような場面を与えると、割合を分数で表現する子が多くいました。


半分や1/2。図の中に共通点は見えますか?

子どもが並び替えた図パート1

私は、「半分」や「1/2」という表現に対して、図の表現を考えさせるために、「Aの場面とBの場面はどちらも半分や1/2と言うのだけれど、これらの図の中に共通点が見えますか」と投げ掛けました。

まず、ある子が、「カードをこのように動かすと1/2が見えるよ」と言って、図パート1のように、赤色のカードと白色のカードを寄せました。

子どもが並び替えた図パート2

次に別の子が、「Bの場面をこのように分けると、同じになります」(図パート2)と言って、図を操作しました。その考え方に対して、ある子が、「Aの場面の鬼の数と希望者の数をそれぞれ2倍すると、Bの場面になります。比例関係が成り立つから、同じなりやすさだと思います」と発言しました。「単位量あたりの大きさの学習でやったね」と話す声が聞こえてきました。前の学習とつなげようとする姿勢がすばらしいですね。


日常の場面とつながった!

子どもが並び替えた図パート3

次に別の子が赤と白のカードを交互に置いていきました。そして、「こうすると、どちらも2人1組が作れます」(図パート3)と発言しました。Bの場面を再現させた時に出た、「2人1組になればいい」という発言と図が結び付いた瞬間でした。

ここまでで、Aの場面とBの場面の鬼のなりやすさは同じだということが、多くの子の納得の上で共有されていきました。


次回へ続く

この後、さらに授業は続いていきますが、ここまでの授業を振り返ってみます。

子どもたちにとって、「半分」や「1/2」という割合を表す表現は分かりやすいようです。4人中2人の場面と、8人中4人の場面が同じ鬼のなりやすさだということは、子どもたちによって納得ポイントが異なるようです。寄せた図(図パート1)を見て納得する子、2人1組が作れる図(図パート3)で納得する子と様々なのです。ですから、多様な図を見せておくことは、子どもたちにとって必要なのですね。

さて、この後、授業では、「1/2は、何の1/2なのか」について解き明かしていくことで、割合の概念化を図っていきました。次回、詳しく書いていきます。

お読みくださり、ありがとうございました。

松田 翔伍(まつだ しょうご)

名古屋市立御器所小学校 教諭
すべての子が考える楽しさを味わえる算数学習を目指し、面白い問題の開発や指導法、子どもとの関わり方について毎日考えています。「できる」「分かる」だけではない、「楽しい」算数授業について私と一緒に考えてみませんか?未来を生きる子どもたちの笑顔のために。

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