2020.11.23
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児童の新聞活用トーク

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

デジタル教材として新聞を読む

今年度、小学生用の新聞を発行している新聞社の研究委嘱を受けて、紙面のデジタル版を活用した取り組みを行っています。これからGIGAスクール構想により、1人が1台ずつデジタル端末を活用できるようになります。小学生用の新聞を発行する新聞社もいち早くこの動きに呼応し、デジタルでの新聞提供を行い始めました。今回の委嘱では児童がデジタル版の新聞を使ってどのような活動ができるかを自由に実践してほしいということでした。そこで、まずは担任の私自身がデジタル版に慣れるために、毎朝行っている記事の紹介「新聞トーク」をこのデジタル版の新聞を活用して行うことにしました。

私自身、これまでデジタル版の新聞を活用してきた経験が少なく、活用するのも手探りの状況でしたが、少しずつできることからやってみようと思いました。これからはデジタル教科書やそのほかの様々なコンテンツを授業で活用していかなければなりません。私も児童とともに勉強する姿勢で、デジタル版の新聞を活用し始めました。

まずは、私が毎朝の会で行っている「新聞トーク」でデジタル版の新聞を使うことからスタートしました。朝の会で、毎日、その日に気になった記事や学習に関係のある記事を紹介しています。今回からはその日のデジタル版の新聞を読み、子どもたちに紹介したいと思う記事を探すことにしました。これまで紙の新聞記事を紹介する際には、記事を写真に撮って大型ディスプレイに映していました。デジタル版では大型ディスプレイに記事を映し、自在に記事を大きくしたり小さくしたりできます。また、記事に書き込みをすることもできます。それらの機能をできるだけ使って、児童が聞きやすい話を心掛けました。

この取り組みでは、当日に発行された新聞を使います。そこで、私自身も記事を読み込み、児童にどのような話をしなければならないかを児童が登校する前の短い時間で考えなければなりません。私にとっても新聞を読み、話すための勉強につながっています。毎回児童の反応を見て、話し方や話の構成を改善するようにしています。

気に入った記事を読んで紹介する

朝、登校すると、その日の日直の児童がタブレットを使って、小学生新聞のデジタル版を開きます。そして、その日の新聞記事の中からお気に入りの記事を選び読みます。記事にどんなことが書いてあるか、また記事を読んでどんなことを考えたかをスピーチするための構成を考え準備をします。タブレットの画面にペンで書き込みをしながら見出しをチェックしたり、キーワードに丸を付けたりして記事を詳しく読み取ることができています。この活動を通して、児童は短い時間で記事を読んで大まかな内容をつかみ、そして、自分の考えをまとめる力がついていると感じます。この力はこれからますます必要になる力だと考えています。

今日のスピーチは、児童が新型コロナウイルスのワクチン開発に関する記事を紹介しました。

「この記事は、新型コロナウイルスのワクチン開発に関する記事です。ワクチンができてくると、各国でどのように分けていくかという課題が出てくると書いてありました。すぐにはみんなにいきわたらない状況だそうです。きっと、最初は医療関係の方にワクチンを打つことになると思います。私は早くコロナが収まってほしいと思いますが、ワクチンがなかなかいきわたらないので、もうしばらくはこのままの状態が続くと思います。」

という発表をしました。記事の内容も短くまとめられた素晴らしいスピーチでした。ワクチンの開発が進む中で、各国がどのように分配するかという課題が生じていることについてしっかりと記事から読み取ることができていました。また、これまで学んだことを生かして、医療従事者へ最初に提供されるのではないかということも予想できています。短い時間の活動ですが、繰り返し行うことで児童の力がついてきていることがわかります。また、発表している児童だけではなく、聞いている児童も記事に対して大変興味をもち、友達の発表に対して意見を述べることができました。

つけた力を生かして

この取り組みにより、児童は今、目にしたものや読んだものについての説明と、それに対する自分の感想や考えを述べる力がついてきました。この力は大変重要な力であると感じます。生活をしていると様々な場面で、情報を目にします。それを短い時間で読みとり、自分の考えを作ることはとても重要です。さらに自分なりの考えをきちんと相手に伝えることもますます必要になってくるでしょう。

新聞のデジタル版をつかった取り組みはほかにもありそうです。たとえば国語の授業で漢字や言葉の仕組みについて学習したことを実際の紙面をつかって確かめてみる活動も考えられます。また、社会科や総合的な学習の時間の内容に関心をもたせるための資料としても活用できそうです。さらに活用の仕方を探っていきたいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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