2020.10.05
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楽しさは、どこにある?①~子どもの声を軸につくる算数の学び~(①)

子どもたちが日々の授業に求めているもの。それは、「楽しさ」だ。「楽しくなければ学校ではない!」と、私は思う。では、算数の授業では、その楽しさはどのように実現されるのだろうか。私は、毎年4月に「算数の学習で楽しいと感じる時は、どんな時ですか」と子どもたちに聞く機会を設けてきた。そして、学級がだいぶ慣れてきた11月頃にもう一度同じことを尋ねてきた。そこで得られた声をもとに、考える楽しさを味わわせるために必要なことについて考えたい。

名古屋市立御器所小学校 教諭 松田 翔伍

「問題を解決できた時が楽しい!」

4月。圧倒的に多い答えがこれである。算数には、答えが1つしかないという強いイメージがあるらしい。その答えまで自分の足で歩むことができると、楽しいと感じるのである。評価テストで高得点を取った時には、誰だってうれしい。しかし、高い点数を取ることにだけ喜びを感じるようになってほしくないという思いが私にはある。

ペーパーテストで測定できる学力には特徴がある。それは評価の観点でいう「知識・技能」の測定と相性が良いということである。高得点を取ることだけなら、教科書や問題集にある問題のパターンを網羅し、解決方法を覚えるだけでよい。これも学びの1つの形ではある。

「みんなに説明できた時が楽しい!」「話し合いが楽しい!」

11月に増えてくるのが、この回答であった。授業で、ある問題をワイワイガヤガヤ解いている場面や、黒板の前に1人で出てきて、自分の考えを伝える場面。いずれにしても、自分の考えを仲間に受け止めてもらえた。そして、自分の説明で相手を納得させることができた時、大きな喜びを得るようである。マズローの欲求5段階説で言えば、上位の欲求である承認欲求が満たされるからであろう。だとすれば、これは大きな喜びであるに違いない。

似た回答に、「先生やお母さんに褒められるからうれしい」というものもあった。褒められることで、承認欲求が満たされる点では同じだが、何を褒められたかが重要だと思う。話し合いの場面での喜びは、先ほどのペーパーテストでは決して味わうことのできない喜びである。承認欲求を満たすためには、我々教師の働きかけが重要である。「今、〇〇さんは、こんなアイデアをもっているから、このタイミングで発言を促そう」というようなことを絶えず思考・判断している。それが、適切にできるのがプロの教師だ。そんな人を私も目指している。

「モノをつくっている時が楽しい!」

算数の学習というと、真っ先にイメージされるのが計算問題を解く場面だろうか。5年「体積」の学習で実際に立体をつくった時や、「合同な図形」の学習で三角形を敷き詰めて鉄橋づくりをすると、子どもたちはこれまでの算数の学習観がくつがえされて驚くとともに、楽しさを感じるようだ。

モノをつくる学習は時間がかかる。遊びの延長として位置付けることができれば、休み時間にも「やりたい」と言い出す子が出てくる。遊びのような魅力ある活動への演出が、教師の腕の見せ所だと思う。モノをつくるのではなく、実物を用いることで感じる楽しさもこの回答に似ている。

3年で巻き尺を使っていろいろな場所の長さを測定する活動は、ただただ測っているだけで楽しいようだ。5年「平均」の学習で、距離を調べるために、歩幅を使ってみる学習がある。「学校の周りの長さ、一番近い人は誰でしょう」と予想をさせてから取り組んだだけで楽しさ倍増。測り方を尋ねたら、「巻き尺で測ろうよ」「でも道路があるよ。危ないよ」「じゃあ、自分の一歩が大体1mくらいだからそれで測ればいいんじゃない」「でも、それだとみんな1歩がばらばらじゃん」と、勝手に話し合いを始めた。

続きは次回

まだまだ算数の楽しさはある。次回は引き続き、子どもから聞いた算数の楽しさについて考えていきたい。

松田 翔伍(まつだ しょうご)

名古屋市立御器所小学校 教諭
すべての子が考える楽しさを味わえる算数学習を目指し、面白い問題の開発や指導法、子どもとの関わり方について毎日考えています。「できる」「分かる」だけではない、「楽しい」算数授業について私と一緒に考えてみませんか?未来を生きる子どもたちの笑顔のために。

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