2020.10.01
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「学びと生活のかかわりを重視した指導」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

給食から学ぶ

5年生の社会科を指導していて、学習と生活とのかかわりを重視した指導を行う大切さを感じています。児童が学習内容について、生活とどうかかわっているのかを知ることで、学習への意欲が高まり、さらに学習内容の確実な定着につながると考えています。これまでも、農業の学習では児童が住んでいる埼玉県で開発されたお米を取り上げたり、近所のスーパーのチラシを使って、どのような種類の米があるかを調べたりしました。そのような活動を通して、児童は進んで学習に取り組むようになってきました。

現在は食料生産の学習と普段の学校給食と関連づけた活動を行っています。特に水産業についての学習と関連させ、教科書を使って学んだことを実際の生活の中でも実感できるようにしています。そうすることで、児童が学習内容に興味をもつだけでなく、その後の生活でも学習したことを常に念頭に置いて考えるようになるはずだと考えます。具体的な方法として、今年度は学年の廊下に設置してある掲示板の活用を行っています。掲示板に給食に関連した情報を載せ、児童が給食から社会科で学んだことを実感できるような仕掛けにしています。

学年掲示板の活用

社会科で学習した内容を深めたり、生活との関わりについて気付かせたりする取組を行いたいと思っても、授業時間数が限られているので容易に進めることができません。そこで、学年の廊下に設置されてある掲示板を使うことにしました。掲示板は登校時や下校時、そして休み時間などに児童がよく通る場所にあるので、児童が何気なく目にしながら、学習内容について深める事ができないかと考えました。

毎日、朝の会に、その日の給食のメニューを紹介しています。今はちょうど水産業の学習をしているので、給食に使われている水産物を中心に紹介しています。どんな栄養があるのか、そしてどこでとれているのかなどを話します。例えば、

「チラシ調べで、たこはモーリタニアという国からの輸入がほとんどだったね。今日の給食で出るタコもそうかな?」

「産地調べで、エビはインドから多く輸入されているね。今日の給食の出されるエビの産地はどこかな?」

「今日、給食に出るイカもきっと外国産だと思うよ。中国からの輸入が多いから、中国産ではないかな」

「中国や台湾でサンマを食べるようになったから、日本の漁獲高が減ってしまったということを習ったよね。もしかしたら今日の給食に出るサンマは中国か台湾産かもしれないね」

「ホキという魚が出ると。きっと外国産だね。日本と貿易が盛んな中国が産地ではないかな?」

などです。児童は自分で調べたことや話に聞いたことなどを生かして、産地を予想しています。

そして、その日の給食に使われる水産物の資料を掲示板に掲示します。朝の会で水産物について話をしているので、児童は詳しく知りたいと思ってよく掲示板を見るようになりました。資料は学校の近くにあるスーパーで発行されているチラシや、インターネットで検索した水産物の解説、そして給食の写真などです。この資料は、他のクラスの児童も興味をもってみてくれています。そして、水産物の産地を予想し、給食の時間に栄養教諭の先生に聞きに行くようになりました。このような活動を通して、教科書の学習だけでは味わえない、生活との関わりを十分に味わうことができていると考えます。

さらに生活の中での学びを仕掛ける

教科で学習したことを、普段の給食や学習掲示板の活用を通して、理解を深めていく実践を紹介してきました。児童は学習している水産物の学習に大変興味をもっています。そこで、さらに理解を深めるための課題を出すことにしました。

それは、実際にお店に行って水産物について調べる活動です。児童が普段の生活で保護者と一緒に行っているスーパーなどに行ったら、水産物の産地や値段に注目するように指示をしました。
(以前、同じような実践をした際に、児童がスーパーでメモを勝手にとっていたために、お店から苦情の電話をいただいたことがありましたので、その点は注意しました)

すると、児童は、

「先生、タコはだいたい、モーリタニア産だったよ。どんな国なのか詳しく調べてみたいな。アフリカにある国だよね」

「先生、サンマがこのところ捕れなくなっているという話を聞いたけれど、スーパーで生サンマが2尾で790円だったよ。かなり高いよね」

「先生、北海道フェアというのをやっていて、みんな北海道産だったよ。みんなおいしそうだったよ」

など、気が付いたことを進んで発表してくれました。このような活動を行っていくことで、本当の意味で授業で身に付けたことが生活の中に生きるのではないかと考えています。これからも産地調べを続けていきたいと思います。また、同じ社会科でも、情報の単元や防災の単元でも児童が学習内容と生活を関連付けて学べるように工夫していこうと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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