都内から南へ1000㎞の小学校~OGASAWARA~(4)
お読みいただきありがとうございます。前回は、私が平成26年度から平成30年度まで勤務していた東京都小笠原村立小笠原小学校で実践した「小笠原の太鼓の達人になろう~地域から学び、地域に還元する~」についてご報告しました。
コロナ禍で、おがさわら丸の運航スケジュールには大幅な変更があり、例年通りの観光の島とはいかないようですが、夏シーズンがすでに到来している小笠原の魅力は変わることはありません。
今回は、授業からの小笠原へのアプローチではなく、ライフスタイル(教員としての私生活)から小笠原へのアプローチをします。
長野県公立小学校非常勤講師 清水 智
1.小笠原での勤務とは、引越し・転勤ということ。

ベランダからの景色。高台にあるので眺めはいいのですが台風直撃の際は恐怖を感じました。
私は、同僚でもある小笠原小学校の教員はもちろんのこと、小笠原中学校の教員、さらには管理職や教育委員会の指導主事ともご近所関係という職員住宅に住んでいました。
通称「電信山」と呼ばれる場所にあり、住まいが集中するエリアからは少しだけ離れていました。島内では自動車やバイク通勤が認められており(東京都では特例)、私は原付バイクで5分の通勤でした。
年数回は自治会組織による清掃活動やご飯会、海遊びなど行われ、仕事でもプライベートでも非常に近い関係の5年間でした。
2.勤務時間は都内とほぼ同じ

11月上旬の朝焼け。島の東側に300m弱の山があるために、日の出時刻より若干遅れて日が差してきます。この時期でもまだ半袖で過ごせます。
(勤務当時は)7時50分勤務開始だったこともあり、16時15分に勤務終了。とはいえ、そんなに早く出られることは稀……でしたが、出られるときは早く出て、原付バイクで家族の元へ。または、サンセットスポット。そのまま海遊び……16時過ぎに勤務が終わると、海も気候も暖かい10月までは余裕で遊べるのです。
3.主幹としての仕事は島ならではのことも

島の特産品のひとつ「パッションフルーツ」。お昼ごはんはお弁当の小笠原小学校では、子どもたちのお弁当にもよく入っています。
教務主幹としては、おがさわら丸の運航ダイヤで全て島内のスケジュールが決まってくることもあり、対外的な行事や校内の授業の年間計画は都内とは同じようにいかず、先輩主幹や管理職、村教委。そして、地域の方々とご相談を重ねながら計画を立てていきました。
生活指導主幹としては、児童の行動面でのサポートが主となるのは都内と変わらないのですが、何よりも海と一緒の生活、世界自然遺産の中にある小学校ですから、自然との共生についても生活指導の中で絡めて実践していくことが独特とも言えます。
最後の数年間は、平日はガッチリ仕事をし、週末でしっかりリフレッシュという日々でした。このリフレッシュのパワーがとてつもなく大きいのが小笠原だと思います。
4.休日は海へ山へ

製氷海岸。ビーチのすぐそばに停車でき、見事なサンゴ礁も見られます。対岸はおがさわら丸が入出港する二見船客ターミナル。通称「船まち(せんまち)」
父島島内にはいくつかのビーチがありますが、どれも内地(小笠原から見る日本列島全般の呼称)とは比較できないほど、美しいビーチで人も少なめです。もちろん、海の家おろかライフセーバーはいませんから、自分たちでの安全管理は必須です。
また、カヤック文化、SUP文化が定着していることもあって、コンディションの良い日にはカヤック・SUPが各所で見られます。波があるときはサーフィン等の波乗りも見られます。
基本的には海遊びが中心でしたが、多くの人が海に入れない時期(10月下旬~5月上旬)は山遊びになります。多くの人……というのは、ウェットスーツを着れば入れるということです。
5.最後に
何よりもアクセスが、6日に1度の「おがさわら丸」のみ。トップシーズンともなれば、運航本数は増えますが、それでも他の離島に比較すると、圧倒的な超離島です。
ですが、れっきとした東京都であり、日本の一部です。島文化はまだまだ奥深く、以下に参考となるリンクを貼ります。ご興味のある方はぜひご覧ください。
1.小笠原村公式ホームページ
⇒小笠原村役場。ライブ映像もあります。
2.小笠原村観光協会
⇒泊まる・遊ぶ・食べる・買う・知る。情報満載。
3.小笠原村観光局
⇒現地(島)のイベントだけではなく、本土(内地)イベントに関しても情報多数。都内小学校とのコラボ授業も実施。
4.小笠原海運
⇒小笠原への唯一のアクセス手段「おがさわら丸」。竹芝桟橋から出発します。

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