2020.07.27
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運動遊びとトップアスリートの運動理論

幼児の運動遊びには、実はトップアスリートの運動理論から応用されているものがあります。一例を紹介しながら運動遊びの可能性について述べていきます。

旭川市立大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

運動遊びとトップアスリートの運動理論

前回は「これからは幼児体育ではなく運動遊びが求められていく」ということをお伝えしました。今回は「運動遊びとトップアスリートの運動理論」の関係ということについてお伝えできたらと思います。

働き方改革における部活動の取り扱い

その前に少し話を脱線させます。学校における働き方改革における部活動の取り扱いです。日本のスポーツにおいて部活動の存在はとても大きなものです。高校野球、インターハイなどは大学よりもレベルの高い高校も多く、日本スポーツ界の最先端の1つと言っても過言ではないでしょう。しかし、長時間の活動の見直しがなされようとしています。強豪校はミーティングや個人練習の時間も大切にし、毎年同じことを繰り返すのではなく、少しずつ工夫しながら進化させるために多くの時間を費やしています。しかしその工夫の時間が制限されようとしています。実は私はここに懸念を感じています。

運動理論を幼児の遊びに取り入れる

現在、園の園庭には小高い丘を設け、斜面を作ることが流行っています。これはアメリカの元ゴールドメダリストであるモーリス・グリーンが所属していたHSIという陸上クラブの走る理論によるところも大きく影響しているでしょう。
深腹筋(腸腰筋)と呼ばれる上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉に着目し、そこを鍛えることで走力を高める理論であります。そのために坂道ダッシュや階段とばしトレーニングなどを行いますが、それらを遊びの中に取り入れるために、丘を作って遊ばせています。


このようにトップアスリートの理論をそのまま幼児に使用することは難しいですが、遊びに変換することで、子どもの体力問題の解消につながるように研究がなされています。そこには競技スポーツのコミュニティースポーツ化がなされています。いまコミュニティースポーツに注目が集まりますが、やはり競技スポーツあってのコミュニティースポーツです。競技スポーツを否定することなく、学校における働き方改革が進んでいってほしいと思っています。


さまざまな運動理論がありますが、その多くが少し形を変えれば、幼児にも応用可能なものばかりです。以前お話したコーディネーション理論も同様です。そのような研究を進め、トップダウンの一般化を図っていきたいと思います。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川市立大学短期大学部 准教授・北海道教育大学旭川校女子バスケットボールヘッドコーチ
これまで幼児・小学生・中学生・高校生・大学生と全年代の体育・スポーツ・部活動指導してきた経験から、子どもの神経に着目したスポーツパフォーマンス向上を図る研究を行う。

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