2019.11.14
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部活動が学校にある価値~道徳的な観点から~

旭川市立大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

部活動では、相手に勝つことを意識して練習を重ねたり試合に挑んだりすることがほとんどでしょう。そして相手を打ち負かすために、相手の困ることや嫌がることを行うことができる選手が良い選手となります。しかしこれは普段の日常生活においては全く良くないことです。日常においては良くないことを求める部活動はそんなに大事なのでしょうか?

私は、状況に合わせて、これは良いこと、これは悪いことと認識したり考えたりすることがとても大切だと考えています。例えばウソについてです。普段ウソをつくことは良くないことです。しかしこんな事例があります。病床に伏せている人に対して、ウソでも「良くなってきてるね」と言うことがあるように、その場その状況に合わせた正しさがあります。

また、どこまでが許されてどこからが許されないかという線引きができる判断も必要となってきます。例えば、試合では相手の嫌がることをすることは必要ですが、ケガをさせることは良くありません。

これらに加えて、試合終了の笛でしっかり気持ちを元に戻し、「試合をしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えることが出来ることも大切なことです。

これらのような気持ちの切り替えは試合の時だけではありません。普段の練習時から必要となってきます。最近、部活動指導者の不祥事が続いています。しかしそれらはスイッチを入れるべきところでスイッチが入っていない選手がいるために起きているのではないでしょうか?これは指導者の暴力・暴言を肯定しましょうということではなく、指導者が「今はスイッチを入れておくべき時だ」ということを示すことで、そのミスマッチを防げるのではないでしょうか。

時代が変わり、また学校における働き方改革が進むにつれ、いい指導者が指導に苦しんでいます。後出しジャンケンのように、これもダメ、あれもダメとダメなことが次々と増えてきています。しかし部活動は教育現場であってほしいと考えています。それは部活動の先生だからこそ、その状況に合わせた善悪の判断も指導できるからです。強豪校の部活動では技術的な指導だけではなく、清掃活動などをしているところも多いです。そんな部活動が新しい時代に対応して、しっかりと生き残ってほしいと思っています。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川市立大学短期大学部 准教授・北海道教育大学旭川校女子バスケットボールヘッドコーチ
これまで幼児・小学生・中学生・高校生・大学生と全年代の体育・スポーツ・部活動指導してきた経験から、子どもの神経に着目したスポーツパフォーマンス向上を図る研究を行う。

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