2020.09.23
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様々な部活のカタチ☆

学校における部活動のあり方については、これまでも様々な議論が行われてきたところです。学校種や地域によっても事情は異なるようで、どんなあり方が望ましいのかは、まさに正解のない問いなのかもしれません。私の住む地域では、中学校も高校も部活動は全員加入として先生方も全員で指導に当たっている学校が多いです。そのような中で、実際に関わっている部活のあり方について、部員と一緒に考えたことや、やってみたことを記事にしました。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

国の部活動のあり方の方向性

中学校や高校の部活動については、近年「働き方改革」といった文脈の中で取り上げられることも多く、そのあり方について様々な議論が行われているようです。直近では、9月1日に行われた、文科省の「学校における働き方改革推進本部」第4回会合において、新たな方向性が示されました。

大きな方向性としては、「令和5年度以降、段階的に地域移行」とし、
(1)休日に教師が部活動に携わる必要のない環境を整備。
(2)希望する教師は引き続き、休日の指導も可能。
(3)休日に地域でスポーツ・文化活動ができる機会を確保。
といったところです。

具体的な方策として、
(1)休日の指導を担う人材確保。
(2)保護者の費用負担、自治体による減免、国の支援。
(3)拠点校での実践。
とあり、その他にも合同部活動やICT活用、地方大会のあり方の整理といったことが挙げられているようです。

この是非についても議論があるようですが、いずれにしても、近いうちに部活動のあり方が大きく変わることになるのかもしれません。

自分にとっては?

さて、自分自身も中学生・高校生だった頃があるわけですが、部活動はどのような存在だったでしょう?私の在学していた学校は全員加入制で、中学も高校も剣道部に所属していました。定期テスト前に休みがありましたが、土曜・日曜は通常練習だけでなく遠征や大会などが組まれ、朝練をすることもあったと思います。当時の私が顧問の先生の苦労はほとんど分かっていなかったと思いますが、今思えば私たちの活動のために多くの時間を割いてくれていたのだと感じています。

さて、そのような先生の負担という部分は別にしても、学校生活の中で部活動の時間はかなりの部分を占めるわけで、思い出や現在受けた影響も大きいものになっています。技術的な部分はもちろんですが、集団での生活・行動や気持ちのコントロール、勝つ・負けるといった経験など、部活動を通して得たものはたくさんありました。また、卒業からだいぶ経ちますが、クラスや近所の友人以上に、部活の友人との繋がりは非常に強いものがあります。つらいことも多く、そこを乗り越えて、やっと楽しさ・嬉しさに触れることができたような気はしますが、部活動に真剣に打ち込んだことは自分にとってプラスだったと考えています。

一方、自分が高校で部活をやっていた頃から20年が過ぎ、学校内外を取り巻く環境や生徒の様子も大きく変わってきました。そのような状況下で、自分が顧問となって部活動に携わっている今、どんなあり方が望ましいのか、試行錯誤の毎日を送っています。前述した自身の体験はありながら、それをそのまま現在の生徒に押し付けることには違和感を感じます。それは部活動に限らず、教科指導でも同様であり、これだけ変化の激しい時代にあって「自分が高校生の頃はこうだったから」という指導はあり得ないわけです。

部員と一緒に考えたカタチ

ここで紹介するのは、私が勤務校の部員と一緒に考えてやってみたことであり、学校種や地域、生徒の実情によって、その評価は変わってくるのだと思います。あくまで以下の実情の下での一例として紹介します。
(実情)部活は全員加入、平日18:30まで活動可、休みは平日1日・休日1日以上

(1)学習と部活の両立…だけで良い?

「学習と部活の両立」とよく言われますが、現在はその他にもやること、やれることがたくさん溢れています。一歩地域に出れば様々なイベントが高校生を必要としており、SNSを開けば高校生向けセミナーがリアルでもオンラインでも無数に開催されています。私は学校に届いた募集チラシやお知らせを伝える側ですが、「自分が高校生の頃にあったら、やってみたかったな」と思うものがたくさんあります。私が携わった部の部員には、そうしたイベントに興味を持つ生徒も多く、「学習と部活の両立」に加え、「学習、部活、地域活動の三立」がしたいという声があったのです。

(2)練習時間・内容を大きく変更

それまでは、決められたルールの中で、平日は18時半まで活動しており、休みは平日1日・土日のうち1日(大会などは別)となっていました。他の部活と比較しても平均的な活動時間でしたが、そのままだと時間的にも体力的にも地域活動に参加するのは難しい状況でした。よく話を聞いてみると、「18時30分まで」というルールなので18時30分まで練習をやっていたということでした。あくまで「最大18時30分まで」なので、練習の質を高めたり、自分たちの体力や他の事情と相談しながら臨機応変に設定できるわけです。現在は17時台(時期によって幅はあります)に終わるように設定していますが、「楽な練習」とか「いい加減な練習」ということはなく、短い分、手を抜く必要性がないので、みんな全力で取り組んでいます。
  また、土日についても、「休日1日以上休み」とあるので、「土日があればどちらかはやった方が良いかな~」くらいに考えていたそうです。しかし、実際には土曜に部活をして日曜に地域活動に参加したら、学習時間に回す余裕がなくなるとのことでした。そこで、大会などのスケジュールを見ながら、可能な週は思い切って土日ともに休みとすることにしました。祝日が入って3連休・4連休があっても同様で、相談しながら部活も3連休・4連休とすることを決め、それを早めに伝えることで、地域活動などへの参加予定が組みやすいようにしています。

(3)週2コース

以上のような内容に加え、「週2コース」を設置してみました。私の地域では、運動部というと、平日1日・休日1日を休みにして「週5」というのが何となく暗黙のルールのようになっている部が多いです。しかし、スポーツ少年団や文化部などは週2~3の活動となっているところも多いですし、曜日によって違う競技を楽しむ「総合運動部」のような部も出てきています。そこで、現在の「週4~5」という体制を基本としつつも、曜日を決めて「週2」だけ活動を行いたい部員も募集することにしました。「運動はしたいが、週5についていく自信がない」とか「剣道は好きだが、別の習い事などの都合で週2ならやれる」といった人を対象に考えました。意外と好評で、こちらも週2だから適当にやるのではなく、決めた曜日はしっかり参加し、その他の空いた時間を有効活用して「学習と部活、地域活動の三立」を実現している部員もいます。

このような部活のあり方を模索・実践してみて、生徒からは「時間の使い方を意識するようになった」との声がありました。それまでは自分たちが決めたという意識が低く、何となく決められた時間を消費していたのが、現状は時間が限られているので、とにかく時間を大切に使うためにいろんなことを頭で考えながら練習するようになったとのことです。また、「何となく当たり前」と勝手に思い込んでいたことを変えてみたという経験もすごく刺激的だったそうで、私としてはそうした思いを、部活動に限らず、様々な場面で生かしていってほしいと感じたところです。

さて、何度も言いますが、これが正しいとか、あれが間違っているとか、そういう議論をしたいわけではありません。様々な部活動のカタチが模索され、その学校・部活の生徒たちにとって良いあり方に変わっていってほしいと思い、記事を書きました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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