様々な部活のカタチ☆
学校における部活動のあり方については、これまでも様々な議論が行われてきたところです。学校種や地域によっても事情は異なるようで、どんなあり方が望ましいのかは、まさに正解のない問いなのかもしれません。私の住む地域では、中学校も高校も部活動は全員加入として先生方も全員で指導に当たっている学校が多いです。そのような中で、実際に関わっている部活のあり方について、部員と一緒に考えたことや、やってみたことを記事にしました。
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
国の部活動のあり方の方向性
大きな方向性としては、「令和5年度以降、段階的に地域移行」とし、
(1)休日に教師が部活動に携わる必要のない環境を整備。
(2)希望する教師は引き続き、休日の指導も可能。
(3)休日に地域でスポーツ・文化活動ができる機会を確保。
といったところです。
具体的な方策として、
(1)休日の指導を担う人材確保。
(2)保護者の費用負担、自治体による減免、国の支援。
(3)拠点校での実践。
とあり、その他にも合同部活動やICT活用、地方大会のあり方の整理といったことが挙げられているようです。
この是非についても議論があるようですが、いずれにしても、近いうちに部活動のあり方が大きく変わることになるのかもしれません。
自分にとっては?
さて、そのような先生の負担という部分は別にしても、学校生活の中で部活動の時間はかなりの部分を占めるわけで、思い出や現在受けた影響も大きいものになっています。技術的な部分はもちろんですが、集団での生活・行動や気持ちのコントロール、勝つ・負けるといった経験など、部活動を通して得たものはたくさんありました。また、卒業からだいぶ経ちますが、クラスや近所の友人以上に、部活の友人との繋がりは非常に強いものがあります。つらいことも多く、そこを乗り越えて、やっと楽しさ・嬉しさに触れることができたような気はしますが、部活動に真剣に打ち込んだことは自分にとってプラスだったと考えています。
一方、自分が高校で部活をやっていた頃から20年が過ぎ、学校内外を取り巻く環境や生徒の様子も大きく変わってきました。そのような状況下で、自分が顧問となって部活動に携わっている今、どんなあり方が望ましいのか、試行錯誤の毎日を送っています。前述した自身の体験はありながら、それをそのまま現在の生徒に押し付けることには違和感を感じます。それは部活動に限らず、教科指導でも同様であり、これだけ変化の激しい時代にあって「自分が高校生の頃はこうだったから」という指導はあり得ないわけです。
部員と一緒に考えたカタチ
(実情)部活は全員加入、平日18:30まで活動可、休みは平日1日・休日1日以上
(1)学習と部活の両立…だけで良い?
(2)練習時間・内容を大きく変更
また、土日についても、「休日1日以上休み」とあるので、「土日があればどちらかはやった方が良いかな~」くらいに考えていたそうです。しかし、実際には土曜に部活をして日曜に地域活動に参加したら、学習時間に回す余裕がなくなるとのことでした。そこで、大会などのスケジュールを見ながら、可能な週は思い切って土日ともに休みとすることにしました。祝日が入って3連休・4連休があっても同様で、相談しながら部活も3連休・4連休とすることを決め、それを早めに伝えることで、地域活動などへの参加予定が組みやすいようにしています。
(3)週2コース
このような部活のあり方を模索・実践してみて、生徒からは「時間の使い方を意識するようになった」との声がありました。それまでは自分たちが決めたという意識が低く、何となく決められた時間を消費していたのが、現状は時間が限られているので、とにかく時間を大切に使うためにいろんなことを頭で考えながら練習するようになったとのことです。また、「何となく当たり前」と勝手に思い込んでいたことを変えてみたという経験もすごく刺激的だったそうで、私としてはそうした思いを、部活動に限らず、様々な場面で生かしていってほしいと感じたところです。
さて、何度も言いますが、これが正しいとか、あれが間違っているとか、そういう議論をしたいわけではありません。様々な部活動のカタチが模索され、その学校・部活の生徒たちにとって良いあり方に変わっていってほしいと思い、記事を書きました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
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