前回の掲載で、「部活動が社会体育へ移行するにつれ、他人とのつながりを大事にする日本の『桜』の精神まで薄れていかないか心配だ」という内容で執筆しました。今回は部活動とは異なる題材を考えていたのですが、前回の記事に共感してくれる方が多く、部活動の大切さをもっと伝えていく必要があるのではと感じました。そのため、異なる連載のタイトルで部活動の価値を伝えていきたいと思います。
そして部活動の賛成派も反対派も、もう一度その考えを見直すきっかけになればと思います。
幼児教育の世界では、2000年にノーベル平和賞を受賞した教育経済学者のジェームズ・ヘックマンが提唱する「非認知的能力」がキーワードとなっています。これは何かと言うと、IQのような測れる力(認知的能力)ではなく、友達と仲良くしたり、嫌なことがあっても我慢できたり、といったような数字にはできない測れない力のことを指し、このような力を育てることに目を向けましょうということです。裏を返せば、これらの力が今の子ども達に足りていないということでもあります。
ちなみに非認知的能力は3種類
・目標に向かって頑張る力
・他の人とうまく関わる力
・感情をコントロールする力
となっています。幼児期に行うと効果が高いと言われているため、特に幼児教育の世界で話題になっているという訳です。しかしよく見てみると、これらは部活動で養うことができる力・部活動で求めていくべき力ではないでしょうか。部活動は「目的は人格形成、目標は勝利」であるものだと思います。もちろん多くの先生はそのような意識で取り組まれているとは思います。もし上手く成果が上がらない先生がおりましたら、一度振り返ってみるのもいいと思います。
また、よく勝利至上主義が問題になります。当然ですが勝利至上主義はBadです。社会問題となったタックル問題のように、勝利のためには何をしてもいいということはありません。しかしだからといって「勝利を目指さない」ということではありません。勝利を目指さないのはWorstだと考えています。この社会における教育とは、資本主義社会で将来独り立ちできるようにしていくことです。勝利を目指さないことは「資本主義社会のスタートラインに立てない」ことにほかなりません。勝利できなかったとしても、「ここの部分では負けない」とか「気持ちは挫けない」といった、どこかの部分での勝利を目標に掲げることも必要だと思います。
「勝たなくてもいいんだ」ではなく「勝てることを考えよう・作っていこう」というような言葉がけは大切であると思います。そして最後の試合で、非認知的能力の成長を実感できるものであればその一年が成功だと思います。
部活動について、感情論ではないところで考え直す機会を設けてみてはどうでしょうか?きっとこの考え方ができるのはコーチよりも教員が相応しいと思います。
赤堀 達也(あかほり たつや)
旭川市立大学短期大学部 准教授・北海道教育大学旭川校女子バスケットボールヘッドコーチ
これまで幼児・小学生・中学生・高校生・大学生と全年代の体育・スポーツ・部活動指導してきた経験から、子どもの神経に着目したスポーツパフォーマンス向上を図る研究を行う。
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倉敷市立連島南小学校 教諭
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前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭 -
近畿大学 語学教育センター 准教授
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大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) -
東京福祉大学 国際交流センター 特任講師
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静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
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兵庫県立兵庫工業高等学校 学校心理士 教諭
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浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 -
愛知県公立中学校勤務
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鹿児島市立小山田小学校 教頭
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元静岡大学教育学部特任教授兼附属浜松小学校長
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明石市立鳥羽小学校 教諭
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目黒区立不動小学校 主幹教諭
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