NIEを行う意義

 現在、勤務校でNIEの担当を務めています。NIEとはNewspaper in Educationの略で、教育の中で新聞を活用することです。その内容には、新聞を資料として活用する「新聞活用学習」・新聞を作る「新聞制作学習」・新聞の役割を学ぶ「新聞機能学習」があります。現在の学習指導要領にも新聞を活用する重要性が示され、特に国語科では中学年、高学年の言語活動例として「新聞を作る」学習や「新聞を読む」学習が例示されています。NIEの効果についてはたくさんの報告があり、特に「社会的な事象への興味関心が高まること」が挙げられています。また、読解力の向上や様々な数字に強くなることなどもNIEを行った効果として報告されています。

 私の勤務校があるさいたま市では、県のNIE推進協議会と連携し、NIEに力を入れています。その取組として、具体的には学校への年数回の新聞提供や研修会の実施、新聞記者の講師派遣などです。NIEを導入した当時の教育長が「新聞を開くことは社会への窓を開けることだ」として積極的に学校で新聞を活用することが奨励されました。


NIE
を学校全体で行う難しさ

 私自身、これまで10年間NIEに取り組んできました。その取組もあり、勤務校ではNIE担当となりました。NIEを推進するからには、学校全体で行う活動にしていきたいという思いがありましたので、この2年間それを意識した活動を行ってきました。NIEを進めるためには、新聞の面白さや有用性を教員に伝えていく必要があります。教員自身が面白いと思わなければ、新聞を授業に活用してみようとは思わないからです。そこで、教員向けに以下の取組を行いました。

〇研修会の実施

新聞スクラップや新聞を活用したワークシートづくりを体験する研修会を実施し、教員自身が新聞を楽しむ活動を行いました。

〇「新聞ライブラリー」の設置

 教員が資料として活用できるように、学校の校務用端末に新聞を活用したワークシートなどを整理し、全員で共有できるようにした。また、新聞社から提供される新聞記事のデータやワークシートなどを、新聞社の許可を得てホルダに収納し、いつでも使えるようにしました。

〇新聞コーナーの設置

 提供される新聞などをいつでも閲覧できるようなコーナーを設置しました。

〇新聞を活用した授業の公開

 新聞を活用した授業についてのイメージをもってもらうために、積極的に授業を公開しました。

 これらの取組により、新聞を活用した授業を行ってくださる教員も増えてきました。特に、勤務校で取り組んでいる「国語力向上」をめざした実践として実践してくださることが多くなり、指導例も増えました。


課題はやはり「学校全体で」・・・

 しかしながら、学校全体でNIEを実践できているかといえば、そうは言えない状況です。新聞を活用することに慣れていない先生はどのようにして指導を行えばよいか迷いもあるようです。また、新聞を活用するには教科書で教える以上の準備がいるので(その面白さもあるのですが)、なかなか取り組めない状況もあります。年度末の学校評価(教員)では、NIEに対して否定的な意見もありました。

 ここで、気が付いたことは、先生方に理屈でNIEのよさや必要性を示してもあまり効果がないということです。

「さいたま市教委がNIEの重要性を示し、各学校で実践してくれるように勧めています。」

「さいたま市議会で、議員さんがNIEをもっと振興させるように教育長に質問をしたりもしています。」

「次期指導要領でもNIEが重要視され、特に情報活用の視点で教科書などにも盛り込まれます。」

「全国学力学習状況調査の結果でも、新聞を読むことと学力の相関関係が示されています。」

など、研修会の度にお伝えしてきましたが、あまりこのようなことは先生方の実践意欲を高めないことが分かりました。大切なことは、「面白そう!」「やってみたい!」「使えそう!」という思いをもってもらうことが大切だということです。来年度から、いや、今年度の残りの機関から、それを心がけていきたいと思います。

 これまでは、学校の日報で、

「NIEワークシートを更新しました。ご活用ください。」

と書いていたのを、

「NIEワークシートが更新されました。今回は先日の月食の話題が取り上げられています。6年生の理科で活用できます。また、電柱を地下に埋める取り組みについての記事もあります。これは4年生社会の川越の学習で使えると思います。」

というように改めました。

 先日読んだ本で、「成功するためには、意識し続けること」とありました。私も学校でNIEをさらに広めるためにはどうすればよいかを常に意識しながら実践を行っていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立海老沼小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う傍ら、放送大学大学院生として研究活動も行う。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。

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