「望まれる教師の姿」とは
この春に22年間勤めた小学校を辞め、短大に移りました。
環境が変わると感じることが色々とあります。
今回は「望まれる教師の姿」について書きたいと思います。
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明
「感情コントロールの力は必須の能力」
一つ目は「感情のコントロール」についてです。
教師は校種を問わず「感情コントロールのできる人」であることは必須の条件だと思います。
これができないと、場合によっては、全てのことが台無しになってしまう可能性があります。
どれだけ良い授業を行っても、どれだけ子どもと一緒に遊んであげても、そういったものが全て「無」となります。
教師は、様々な人との関わりがあります。
子どもとの関わり、親との関わり、同僚との関わり・・・。
うまくいくことばかりではありません。
そういった時に感情が爆発してしまうようでは仕事になりません。
「つい、子どもに手を出してしまった」
「つい、親を馬鹿にするようなことを言ってしまった」
「つい、職員室で大泣きをしてしまった」
辞任をしてしまった大臣ではありませんが、色々とうまくいかないことがあっても、感情を乱すのではなく、一先ずはぐっと我慢することが必要でしょう。
悔しくてトイレで泣いたり、自宅で家族に愚痴を言ったりするのは良いでしょう。
何か発散の方法がないと、体や心が持ちませんから・・・。
こういったことは、教師として採用された初年度が大事なのだと思います。
正規採用された一年目は、手厚くフォローが入るような体制になっています。
少し行動が荒かったり、自分勝手だったりするような感じがする人ほど、一年目でしっかりと伝えていく必要があります。
そうでないと、二年目からは関わる人が減ることで、問題が発生する可能性が大きくなってきます。
感情のコントロールのできない教師は子どもを不幸にします。
親もです。
同僚もです。
先ほども書きましたが、一年目がポイントです。
これに関連して、以前書いた文章があります。
興味がある方は読んでみてください。
「教師はもっと外に出ていくべき」
二つ目は、「学校から外へ出ていく」ことです。
この春に小学校から短大に移り、少し学校から外に出やすくなりました。
色々な場所で、色々な人との出会いがあります。
様々な刺激があります。
小学校の教員の時は、基本的に学校の中だけで1日の生活が完結していました。
自分のクラスを自習にしてまで、研究会や研修会には出て行きたくないという思いがありました。
様々な面で難しさを抱える子ども達を担任していたので、そういった子どもにトラブルを起こさせたくないという思いがありました。
そういった生活では、子ども以外に関わるのは教員だけです。
同質の中にいると、様々な感覚が鈍るのだと思います。
「世間の常識を教員は知らない」と言われることもそういったことが影響しているのでしょう。
特に大学を出て、すぐに教員になった人は注意が必要でしょう。
私はまさにそうです。
22年間小学校の現場にいて、この春初めて外に出ました。
周りと自分の感覚のずれを感じることがあります。
良い勉強になっていますし、刺激になっています。
学校の先生は、もっと外に出ていくべきだと強く感じています。
仕事ででもそうですし、遊びででもです。
研修会や研究会では、教員以外の人がいる所が良いです。
異質なものとの関わりからは学びがあります。
私は小学校の教員の頃、よく様々な学会に参加していました。
学会は、大学の研究者が多いので、そういった人達との関わりは刺激の多いものでした。
今は、なるべく小学校などの先生のいる場に顔を出すようにしています。
そういった研修などだけでなく、プライベートでも色々と充実させていくことが望まれます。
美術館に行くのも良いですし、旅行に行くのも良いです。
運動をするのも良いかもしれません。
自分が楽しめることを積極的に取り組み、色々なものに触れ、色々な人に出会いたいです。
そういったことが、教師の力量育成につながるのだと思います。
「終わりに」
教員は、子どもとの関わりにおいて全人格が試されます。
日々、感覚を研ぎ澄ます必要があります。
また、良い精神状態であることも求められます。
精神的に安定していないと、始めに書いたように子どもに感情的になってしまう可能性が高くなるからです。
求められるものの質も高いですが、是非とも専門職としてそれに応え、さらに上を目指していくようでありたいものです。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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