2018.03.07
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震災について、児童の意識を高める(リポート2) さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さん

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんが6回にわたってご紹介します。第2回目は、授業前の意識を高める活動についてです。

本当に地震が起きたら・・・を意識させる

防災について国語科の中で実践を行う計画を立てましたが、学習を充実させるためには、児童が震災や防災を自分事として捉えるようになる必要があります。そこで、2つの取組を行いました。最初は、学校のシェイクアウト訓練を生かした活動です。

避難経路を観察する児童

避難経路を観察する児童

学校では、毎年シェイクアウト訓練が実施されます。内容は放送で緊急地震速報を流し、児童が素早く机に潜れるようにする訓練です。この訓練を活用して、防災への意識を高める活動を行いました。まず、訓練の前に東日本大震災の時の地震の揺れを撮影したVTRを児童に見せました。大変な揺れで立っているのもままならない様子や上から色んなものが落ちてくる様子、そして、人々が大慌てで逃げている様子などを見て、児童は揺れの激しさを感じることができました。そして、シェイクアウト訓練の際には、このVTRを流しながら訓練を行いました。こうすることで、いつも以上に緊張感を持って訓練を行うことができました。

普通であれば、ここで簡単に振り返りを行って活動は終わりですが、今回はさらに活動を続けて、自分達の避難経路であのような地震があったらどんな危険があるか見に行こうと児童に告げて、避難経路の様子を確かめに行きました。

児童が作成したワークシート

児童が作成したワークシート

普段何気なく通っている階段や廊下なども大地震があったら多くの危険があることに気が付きました。避難経路を観察し、気が付いた起こりうる危険や、その危険を回避するためにすべき行動などを子ども達はワークシートにまとめる活動を行いました。ワークシートにまとめることで、大地震の際にとるべき行動を明らかにすることができ、児童の防災に対する意識も高まっていきました。

被災について知る(NIE)

次に、児童が震災や防災について自分事として捉えられるようにするために、被災地を取材した記事をスクラップする活動を行いました。学校では、NIE(教育に新聞を)に取り組んでおり、児童は普段から新聞に親しんでいましたので、すぐに活動に取り組むことができました。この後行う予定の国語科の授業で、被災地を取材した新聞記者をゲストティーチャーとして招聘する予定があるので、その記者が書いた記事を選んで児童に読ませることにしました。

児童が読んだ新聞記事

児童が読んだ新聞記事

選んだのは、記者さんが宮城県の南三陸町を取材された記事です。南三陸町の防災庁舎の放送で、最後まで町民に避難を呼びかけながら、津波にのまれて亡くなった方を取り上げた記事でした。記事には大きな写真がついているので、記事を読むのが難しい児童にも大体の内容がわかります。児童は、記事を通して、初めて被災地の様子に触れることができました。
「もうすぐ結婚をする予定だったのに、亡くなってかわいそう」
「みんなのために最後まで放送を続けていてすごい」
など、思い思いに感想をまとめていました。

保護者のコメントも付いたワークシート

保護者のコメントも付いたワークシート

今回は、この記事を保護者の方にも読んでいただき、児童と話をしていただきました。この活動を取り入れた理由は、子ども達に大人の考えも知ってほしかったからです。そして、色んな角度から震災について考えられるようになってほしいと考えました。保護者の方の考えには、
「親としては、放送を止めて逃げてほしいと思った」
「自分の命をまず守ってほしかった」
という意見が多くありました。子ども達は、保護者の方はこの防災庁舎で亡くなられた方の親だったらという視点で感想を書いていることに気が付きました。親子で話し合いをしていただき、児童はさらに震災や防災についての意識を高めていくことができたようです。

文・写真:菊池健一

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