2003.05.13
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約数・公約数・最大公約数(第3回) この単元の最終回

今回はこの単元の発展問題として代表的な問題を紹介します。一度は解いておかないと、試験で初めて見てもなかなか太刀打ちできないような問題です。正解を導き出すための計算は簡単です。ただし、考え方を身につけることが大切です。他のタイプの問題を解く上で大切なポイントになるからです。


前回の復習で、「47をわると5あまる整数」をすべて求めてみましょう。
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60、78、105の3つの数を□でわったら、あまりはすべて同じになりました。□にあてはまる数を求めなさい。
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かき89個、りんご123個、みかん140個を同じ数ずつ何人かの子どもに分けると、どのくだものも同じ数だけあまりました。こどもの人数を求めなさい。
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Aを55、Bを76、 Cを114とします。この3つの整数を、それぞれある整数でわると、AとBはあまりが等しくなり、Cのあまりは、Aのあまりより4だけ小さくなります。ある整数はいくつですか。
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 前回の復習で、「47をわると5あまる整数」をすべて求めてみましょう。

■ 解法
 「47をわると5あまる」ということは、5だけ多かったということですから、47から5をひいた42をわればわり切れるということです。それゆえ、この問題を解くためには、まず、42の約数を求めることでした。
 ここで大切なことは  ポイント:わられる数からあまりを引けば、わりきれる ということです。

図にすると次のようになります。


47=5(あまり)+42(あまりをひいた数)として考え、42をわりきる数つまり42の約数を求めればよいのです。

42の約数1、2、3、6、7、14、21、42のうち、5よりも大きい数は6、7、14、21、42 で、これが正解です。1、2、3が正解でない理由は前回の「準備体操」を参照してください。

 
■ 答え:6、7、14、21、42



60、78、105の3つの数を□でわったら、あまりはすべて同じになりました。□にあてはまる数を求めなさい。

■ 解法
この問題の正解は、わられる数のそれぞれの差(18、27、45)の公約数になります。正解を求めることは、簡単ですが、なぜ、約数の知識が使えるのかを、図で説明します。少し複雑だと思いますが、よく図を見て考えてください。
まずは、60と78で考えてみます。



この図は60と78をあまりとわりきれる部分に分けて、図にしたものです。
60からあまりをひいた部分(数)は、□でわりきれます(ポイント参照)。
78からあまりをひいた部分(数)も、□でわりきれます(ポイント参照)。
では、78と60の差=18の部分はどうでしょうか?
やはり、□でわりきれるはずです。
78と60の差の部分はあまりを含めて78から60をひいた数だからです。

このことをくわしく説明すると、まず、上の「78=」の図で、78からあまりをひいた部分(数)は、□でわりきれます(ポイント参照)。水色の部分も60からあまりを引いた部分に等しいので、□でわりきれます。そのため、78と60の差の部分も□でわりきれなくてはならないのです。

ここまでの説明でわからない人は次の具体例を見てください。

具体例)9と13を2でわったとき(どちらもあまりは1)


説明を続けます。78と60の差である18が□でわりきれるということは、□は18の約数であることがわかります。
つまり□の候補としては、1、2、3、6、9、18があげられます。
ところが、この問題は、105を□でわっても60や78をわったときと同じあまりになるということですので、先の図で同じように考えると、
 ・105と60の差である45も□でわりきれる。
 ・105と78の差である27も□でわりきれる。
まとめると、□は18(60と78の差)をわっても、45(105と60の差)をわっても、27(105と78の差)をわっても、とにかく3つの数どれをわっても□で割り切れなければならないことになります。
いいかえると、□は18、45、27の公約数ということになります。


18、45、27の最大公約数は9です。最大公約数の約数が公約数なので、
18、45、27の公約数は、1、3、9です。
ところが、1と3は3つの数をわりきってしまうので(あまりがないので)正解ではありません。9が正解です。

実際にわり算をしてみると、
60÷9=6・・・6
78÷9=8・・・6
105÷9=11・・・6
すべて同じあまり6になります。


■ 答え:9


かき89個、りんご123個、みかん140個を同じ数ずつ何人かの子どもに分けると、どのくだものも同じ数だけあまりました。こどもの人数を求めなさい。

■ 解法
この問題は問題1と同じタイプで、
「89、123、140の3つの数を□でわったら、あまりはすべて同じになりました。□にあてはまる数を求めなさい。」と言いかえることができます。
 □がこどもの人数になります。
 問題1と同じように、まず89、123、140の3つの数の差を求めます。

123-89=34
140-123=17
140-89=51



つぎに、これら3つの数の最大公約数を求めると、17となります。
17の約数は1と17ですが、1でわっても(1人に分けても)、あまりは0なので、1は正解ではありません。よって17(17人)が正解です。

実際にわり算をしてみると、
89÷17=5・・・4
123÷17=7・・・4
140÷17=8・・・4
すべて同じあまり4になります。

つまり、17人のこどもに平等に分けたら、かきもりんごもみかんも4個ずつあまることになります。


■ 答え:17人


Aを55、Bを76、 Cを114とします。この3つの整数を、それぞれある整数でわると、AとBはあまりが等しくなり、Cのあまりは、Aのあまりより4だけ小さくなります。ある整数はいくつですか。

■ 解法
この問題では、Cのあまりだけ4小さいので、これまでと違って、あまりがすべて同じではありません。そこで、CのあまりもAやBと同じにすれば、これまでの問題と同じように解くことができます。
CのあまりがAやBよりも4小さかったわけですから、Cよりも4大きい、118であれば、あまりが同じになるはずです。
よって、この問題は「55、76、118の3つの数を□でわったら、あまりはすべて同じになりました。□にあてはまる数を求めなさい。」と言いかえることができます。
これまでと同じように、まず55、76、118の3つの数の差を求めます。

76-55=21
118-76=42
118-55=63

つぎに、これら3つの数の最大公約数を求めると、 21となります。


21の約数は1、3、7、21ですが、このうち問題文の条件にあてはまるものは、7と21です。


■ 答え:7または21

実際にわり算をしてみると
55÷1=55・・・0
76÷1=76・・・0
114÷1=114・・・0
不適合

55÷3=18・・・1
76÷3=25・・・1
114÷3=38・・・0
不適合

55÷7=7・・・6
76÷7=10・・・6
114÷7=16・・・2
正解

55÷21=2・・・13
76÷21=3・・・13
114÷21=5・・・9
正解
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