2013.07.16
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

18th New Education Expo 2013 in 東京 現地ルポ(vol.1)

18th New Education Expo 2013 in 東京 現地ルポ(vol.1)

「New Education Expo 2013 in 東京」が6月6~8日の3日間、東京・有明の東京ファッションタウンビルで開催された。今年で18回目を迎える本イベントには、例年以上の来場者があり、最終日には約2,300人が詰めかけた。教育の情報化をはじめ多種多様なテーマを掲げたセミナーや、120社を超える企業・団体が最新の教育ソリューションを紹介する展示ゾーンに、あふれる来場者たちの熱気。その模様を6回にわたり紹介する。第1回目は「ポストフューチャースクール」に関するセミナーと展示についてお届けしよう。

今年のトレンドを一言で表すなら、「ポストフューチャースクール」だろう。昨年は、フューチャースクール事業などに代表される1人1台のタブレット端末が注目を集めたが、今年はこの傾向がさらに進化。1人1台の情報端末を整備した後、教育はどう変わるか。学校や教師には何が求められるか。フューチャースクールのさらに先に、人々の関心は移りつつあるようだ。たとえば、タブレット端末で使用する教材ソフトや授業支援システムの充実ぶりを見ると、毎日の授業で簡単に効率的に使え、確実に教育効果を得られるICTが求められていることが窺える。つまり、ユーザーが何の端末からでも、どの環境からでも、情報をストレスフリーに活用できるよう、いかに管理システムや中心サーバを構築し、標準化させるかといったことが、今からの課題と言えそうだ。

教育の情報化が向かう未来、「ポストフューチャースクール」とは?

[特別講演]自治体の教育の情報化施策 ~ポストフューチャースクールの展開~

特別区長会会長 荒川区長……西川 太一郎 氏
荒川区教育委員会事務局指導室 統括指導主事……駒崎 彰一 氏
大阪市教育センター 所長……沢田 和夫 氏
佐賀県教育庁 教育情報化推進室 室長……福田 孝義 氏

フューチャースクールの“上”を目指す【東京都荒川区】

特別区長会会長 荒川区長 西川 太一郎 氏

すべての区立小中学校に、1人1台のタブレット端末を来年度以降、導入を予定している東京都荒川区。そのねらいについて、西川太一郎・荒川区長は「子どもは未来社会の守護者。子どもをデジタル・ディバイドの被害者にしないためにもしっかり投資し、21世紀型スキルを育んで、世界に通用する子どもを育てたい」と熱弁をふるった。

荒川区教育委員会事務局指導室 統括指導主事 駒崎 彰一 氏

現在、荒川区ではモデル校での実証研究を進めているが、その指揮をとっている荒川区教育委員会の駒崎彰一・統括指導主事も、「フューチャースクールの成果を確実に受け継ぎ、フューチャースクールの“上”を目指す」と言う。駒崎氏は、フューチャースクール実証校である葛飾区立本田小学校の実証研究に準備段階から携わった方だけに、その発言には重みがある。たとえば、メインサーバをどう構築するか。クラウド型にするのか、各学校にサーバを置くのか。それぞれのメリット・デメリットを考えながら、研究を進めているという。未だ標準化されていないこれら課題への解決策を編み出し、後に続く自治体の手本になりたいとのことだ。

「すでにすべての普通教室に電子黒板とデジタル教科書を導入し、“わかりやすい授業”を推進中。教師へのアンケート調査でも、『わかりやすい授業ができる』ようになったと好評です。1人1台のタブレット端末導入で、これを加速させたい。教師の授業力と子どものリテラシーをアップさせ、21世紀型スキルの育成につなげたいと考えています」(駒崎統括指導主事)。

ポストフューチャースクールの鍵(キー)は、教師の授業力【大阪市】

大阪市教育センター 所長 沢田 和夫 氏

橋下徹市長の就任以来、「世界水準のICT教育」を目指し改革を続けている大阪市。平成27年度に 全小・中学校で、電子黒板やタブレット端末を活用した授業を展開することを目指し、現在モデル校で実証研究を進めている。タブレット端末の他、電子黒板機能付きプロジェクタや書画カメラ、デジタル教科書等のICT整備を進める中、「大事なのは教師の授業力向上と、授業の質の向上だ」と、大阪市教育センターの沢田和夫所長は話す。

「タブレット端末は、授業中ずっと使うのではなく、適切な場面で効果的に使うことが大事。そのためには、タブレット端末をどの場面でどう使い、どんな力をつけさせるかを見極めて授業をデザインする教師の力が不可欠です」。

そこで大阪市では、教員の 「授業づくり」を支援するさまざまな取り組みを、モデル校で実施。ICT支援員に加え、授業づくり指導員を各校1名配置したり、職員室に電子黒板を設置し、いつでもすぐにミニ研修ができる環境を整えた。また教育センター内にICT研修室を設け、 学校と同じ環境で研修できるようにもしたという。組織的に授業力向上に取り組むことが「ポストフューチャースクール」に必要だと、大阪市は考えている。

新システムを構築、いつでもどこでも良質な教育が可能に【佐賀県】

佐賀県教育庁 教育情報化推進室 室長 福田 孝義 氏

県内にフューチャースクール実証校を持ち、県政の最重要施策として全県規模で教育の情報化を進めてきた佐賀県。教育庁の福田孝義・教育情報化推進室室長は、「これからはハードよりもソフト」と言う。

そこで佐賀県が進めているのが、「SEI-Net」と呼ばれる新教育情報システムの構築だ。校務管理システム、学習管理システム、教材管理システムを統合したこの新システムを使えば、どの学校のどの教室でも、そして家庭でも、ICTを使った教育が日常的に行える。これまでの教育にタブレット端末などのICTを融和させ、ストレスなくスムーズに活用できる環境を整えることで、ICTがもたらす効果をさらに向上させるねらいだ。「これまでの教育を、一歩先に進めたい」と、福田氏は意気込んでいる。

どの自治体も1人1台の情報端末を整備するだけでなく、その先を見通してすでに動き始めている。各自治体に共通しているのは、最新のICT機器を導入するだけで満足することなく、その効果をアップするための施策を具体的に考え、推進している点だろう。フューチャースクールはもはや“未来の理想像”ではなく、現実に姿を表しつつあると言える。

展示ゾーン

[フューチャークラスルーム(R)]大幅に進化した未来の教室

「ポストフューチャースクール」では何が求められるか。その答えの一つが、内田洋行の展示ブース「フューチャークラスルーム(R)」で示されていた。

最先端の教育用ICTで教室環境を構築したこのブースは、昨年から大幅に進化。昨年はタブレット端末というハードそのものに注目が集まっていたのに対し、今年は教育支援ソフトや授業支援システムといった「タブレット端末周り」に焦点が当たっていた。

「フューチャークラスルーム(R)」で注目を集めたタブレット端末。アプリやシステムが向上し、使いやすく進化

たとえば、参加者に1人1台ずつタブレット端末を配布して行われた模擬授業では、「タブレット端末で出欠確認」「タブレット端末で撮った写真や、タッチペンで書いたワークシートを、教師役に送信」「学びの評価をタブレット端末でつけ、デジタルポートフォリオ化」といった機能が実演され、観客から感嘆の声が上がっていた。

特筆すべきは、その簡単さだ。このような活用は以前から技術的には可能だったが、操作が複雑だったり手間がかかったりと煩わしさは否めなかった。それが今や、ワンタッチでスムーズに行えるように洗練されていたのだ。

初めてタブレット端末に触れたであろう参加者たちも、とまどうことなく直感的に操作し、「タブレット端末が違和感なく授業に溶けこんでいる」「タブレット端末を使った授業をイメージできた」と高く評価していた。

写真:言美 歩/取材・文:長井 寛

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

pagetop