2016.04.28
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5月の学級経営のポイント

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

やっと4月も終わろうとしています。

皆さんお疲れ様でした。

新採用の方やこの4月に異動があった方は本当に気を遣うことの多い日々だったろうと想像します。

明日からゴールデンウィークです。

良いリフレッシュができると良いですね。

 

ところで、今回は、新しいクラスを担当し、しばらく経った今の時期に起こりやすいトラブルを中心に書いていきたいと思います。

 

前回の記事で、4月末までに注意することという内容で下のようなものを紹介しました。

 

若い先生のクラスがうまくいかなくなってしまう訳

  エネルギーのかけ方を間違える、ルールが崩れていくことでクラスが混乱していく

 

若い先生が教室で気にすべきこと

  周りに相談する、感情をコントロールする

 

褒めて育てること

  子どもを褒めることができる状況を意図的に作り上げる

 

4月に学級担任が意識するとよいこと

  距離感を保つ、ペース配分を考える、限界を知る

  

今回は、それ以外の部分について書いていきたいと思います。

 

連休の前後の時期(4月末から5月)において担任、特に若い先生が気を配る必要があることに次のようなものがあります。

(1)子どもの細かなゆるみを見逃さない

(2)全ての子どもに関わる

 

まずは、(1)「子どもの細かなゆるみを見逃さない」ことについてです。

新採用の方は3月まで大学生だった方もいると思います。

大学生は授業を「受ける」立場です。

その立場では、授業中に携帯を操作したり、ペンを無意識に動かしたり(回したり、カチカチさせたり)、寝ていることも許される状況です。

しかし、担任は授業を「作る」立場です。

その立場になっても、どうしても「受ける」立場のイメージが抜けないことがあります。

具体的には、子どもの少し気の緩んだ状況においてきちんと指導ができず、状況が悪化していくというものです。

授業中に手遊びをしていている子ども、座り方の悪い子どもなどに対して、きちんと指摘し、指導することができていないことなどがきっかけになります。

先ほども書いたように自分が学生の立場であれば、「まあ、良いだろう」と思うようなこと(手遊びなど)をつい許してしまうことから、クラスの様々な部分が少しずつ壊れだしていってしまいます。

何年も教職を経験している担任は、小さな部分が大崩れのきっかけになることを経験から知っているので、問題が小さな内に対応するように心掛けています。

特に4月末から5月にかけての時期は、子どもが新しい環境に慣れ、子どもの本来の姿が出始めてきます。

特に気を配ると良いことは次のようなものです。

・姿勢の崩れ

・手遊び

・時間を守ること

・乱暴な言葉使い

 

 

続いて、(2)「全ての子どもに関わる」ことについてです。

新しいクラスが始まり、始めのうちは、担任は意識して、多くの子どもに接します。

早く名前を覚えようとしますし、互いのことを理解できるようにするためなどです。

しかし、一か月経ち、クラスが少しずつ落ち着いてくる(または、落ち着かなくなってくる)と、全ての子どもに関われないようになることがありがちです。

学級経営がうまくいき、落ち着きだすと、先ほど書いたように、敢えて全ての子どもに関わる必要性が低くなります。

また、逆にクラスの状況が少しずつ悪くなってくると、教師がある特定の子どもに関わる必要性が高まります。

そういった状況では、積極的な子ども(子どもから関わってくる)や課題のある子ども(教師から関わっていく)との関わりが多くなってしまいます。

あまり積極的でなく、大きな問題のない子どもとは、一日の中で一度も関わることなく終わってしまうということも起こります。

そういった子どもは、そういった状況を内心、「寂しい」と感じたり、「不公平だ」と感じたりすることがあります。

教師は、そういった状況を把握できれば良いですが、それができないと、しばらくしてから懇談会の際や家庭訪問の際に、親からそういったことを指摘されます。

 

 

多くの先生、特に若い先生たちがうまく学級経営を行うことができることを願っています。

以前の文章にも書きましたが、若い先生たちが失敗するようなことは、すでに多くの先人が経験しています。

そして、そのことを何らかの形で残しています。

この記事が載っている「学びの場.com」もそうですし、それ以外にも多くのメディアがあります。

そういったものに定期的に触れることが大切でしょう。

 

始めにも書きましたが、そろそろゴールデンウィークです。

一か月の疲れを癒し、その後に向けての活力が得られるような日々になるよう願っています。

 

 

最後に、関連する文章を載せておきます。

時間のある時にお読みください。

 

発達障害の子どもと関わる際の学級担任のあり方

  トラブルを未然に防ぐ担任の配慮が大切となる。

 

納得行動変容実践頭蓋骨模型使って暴力

  子どもが分かりやすい具体物を用いることで、子どもが納得し、行動が変容する。

 

トラブルない約束約束

  問題を起こした子どもへの関わり方です。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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