写真1 写真2
先日、「ICTをとりいれた授業のありかた」というテーマのもと算数科で研究授業を行いました。単元は4年「式をよむ」です。
「式をよむ」という学習は各種調査からわかるように、子どもたちが苦手としています。
1.提示の工夫
「青色の長方形の下にドットが隠れています。(写真1)」
まだ全く動かしていないのに「30、40、100個」と言い始める子ども達。
(予想を言い出すということは、関心・意欲がある証拠だ。)
「青色の長方形が少しずつ動いていきます。
何個隠れているかわかったら、手をあげましょう。」
少しずつ動かしていくと、(横の6がみえ、たての8がみえ・・・)
「わかった!48だ!」
という声が子供達からたくさんでてきた。そこで、
「どうして48なの?みんな48がみえるの?」
子どもはうなずいている。そこで
「図に書き込みながら説明してよ。」
と指示をした。子どもたちはタブレット端末上に書き込みながら、説明をしていった。
「縦に8個あるかたまりが6個あるでしょ。」
「だから8×6」
「横にみると6のかたまりがあるから、6×8」
と説明していった。さらに青色の長方形を動かしていく(写真2)。
「あ!36個だ!」
「え~、48じゃないの?」
「あの部分がなくなっている」
など様々な反応を示している。子どものなかには、
「それなら式は48−12になるよ」
とドット図から式を考え始めている子どもが数人いた。
そこで、●が36個あることを確認したのちに、
「●が36個あります。どんな式ができるか考えよう」
と問題を投げかけ、自力解決の時間をとった。
2.「提示」場面
タブレット端末を活用する場面は、何かを「提示」する場面が多い。
で紹介したことも「提示」である。
「タブレット端末」×「学級経営」~クラスのルールを定着させるために(1)~で
紹介したクラスのルールを定着させるためにタイマーを大型モニターにうつすだすことも「提示」である。
「タブレット端末」×「学級経営」~クラスのルールを定着させるために(2)~で
紹介したクラスのルールを定着させるために写真・ビデオ機能を大型モニターにうつすだすことも「提示」である。
板書やノートや子供の作品を撮り、大型モニターに映し出すことも「提示」である
今回の実践では導入で工夫した「提示」を行ったことで、問題のイメージを持たせることができた。
さらに子どもたちからでてきた
「6×8という式」「8×6という式」「8個のかたまり」「6列」「12個がない」という「36からみえる式」
を自力で考えるときの見通しとしても使うことができる。
このドットを36個ある図を提示し、いきなり「では式を考えましょう」という授業展開もある。
またいくつかの式、それに関連したドット図を提示し、どの式と図が一緒なのか考える展開もある。
しかしそれでは「できる子」と「できない子」の差がかなり開いてしまう。
だからどの子も同じ土俵で考えはじめるために、そして問題をイメージするための「提示」はとても有効である。
「思考の過程」を可視化するためには、やはり「提示」が不可欠である。
「提示」はタブレット端末を活用するときの基礎であり、取り組みやすいことである。
つづく

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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