2026.10.08
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「多様性の包摂」に向けた特別支援学校のセンター的機能について

みなさんは、特別支援学校で勤務されたことはあるでしょうか。
現在は、特別支援学校のニーズが高まり学校数も増えてきていますが、小学校の1割に満たない設置率です。実際に特別支援学校で勤務したことがある教員は少ないでしょう。
特別支援学校と小学校に勤務することで見えてきた、特別支援学校と小学校の関わり方について考えていきたいと思います。

岡山県矢掛町立小田小学校 教諭 角田 直也

次期学習指導要領の柱「多様性の包摂」

  

教育課程企画特別部会 論点整理 ポイント資料:詳細版(令和7年9月25日)P3 

新学習指導要領に向けた基本的な方向性の一つとして、「多様性の包摂」が示されています。さまざまな背景を抱える児童が在籍しているクラスでも、一人一人の意欲を引き出し、可能性が開花し、個性が輝く教育を実現することが掲げられています。

さまざまな背景の中には、外国籍の児童や家庭に問題を抱える児童などが含まれていますが、やはり発達障害のある児童や、発達障害の診断は無いものの特別な支援を必要とする児童の割合も大きいのではないでしょうか。

また、平成28年から施行された「障害者差別解消法」により、学校現場で合理的配慮が求められるようになったことも影響して、医療的ケアを必要とする児童や、中・重度の障害のある児童が小学校に通うことも増えてきました。

さまざまな背景のある友達と関わることは、すべての児童にとって、自己の生き方を考え、社会で活躍するための経験にもなります。一方、教員にとっては、改めて特別支援教育について深く勉強することが求められます。

知らない教員も多い?特別支援学校のセンター的機能

特別な支援を必要とする児童の指導に当たっては、授業や板書の構造化、視覚的支援やスケジュール管理などが考えられます。それでも適切な支援方法がわからず困ってしまう担任も多くいるのではないでしょうか。

そのような場合、皆さんならどのように対応しますか。

多くの場合は、ケース会を開き、管理職や該当児童に多くかかわっている教員で対応策を考えますが、「特別支援学校のセンター的機能」を活用する方法もあります。

その一つとして、特別支援学校の教員が、実際に小学校に来校し、当該児童を観察したうえで、指導の助言をしたり特別支援教育の研修をしたりしてくれます。

私もこの機能を何度か利用し、指導の視野が広がりました。専門的な知識や、就職まで見通した指導などは、特別支援学校の教員の強みです。そのような視点から多角的な意見をもらえることは、小学校の教員からすると目から鱗のことばかりです。

また、特別支援学校の教員が関わっていることは、保護者の安心材料にもなりました。

私が考えるセンター的機能の問題点

しかし、このようなセンター的機能についても、いくつかの課題があると考えています。

①特別支援学校の教員が忙しすぎる問題

特別支援学校では、限られた教員がセンター的機能を担い、必要に応じて幼稚園、小学校、中学校、高等学校を訪問しています。そのため、訪問を要請しても、実際に学校に来てもらえるのが数週間後になることもあります。そのため、訪問要請を行っても実際に学校に来てくれるのは数週間後になってしまいます。気軽に訪問要請をできない現状があります。

②書類が多すぎる問題

市町村立の学校が、県立の特別支援学校の教員に来校してもらう場合、教育委員会を通した手続きが必要になることがあります。
現状を聞き取ると、自治体によって提出書類や連絡先には差があるようですが、派遣申請や児童に関する書類を用意することは、どうしても手間ととらえてしまいます。

③一般的なアドバイスにとどまる問題

前述したとおり、特別支援学校の教員は多くの学校を訪問しているため、長期間にわたって何度も訪問してくれるケースは珍しいです。したがって、限られた時間で児童を観察し、担任から聞き取った上で助言することになります。
もちろん、障害の捉え方や児童心理などについて多角的な助言もいただけますが、一般的な助言にとどまることもあります。もう一歩、深い指導内容まで聞きたいのですが、短い時間だとそこまでの助言は難しいようです。

④小学校から特別支援学校に何がリターンできるか問題

ここまでの内容は、特別支援学校がセンター的機能を生かし、小学校に知識や技術を提供してくれるという一方向の支援になっていますが、実際は両者が助け合うことが理想です。
しかし、小学校から特別支援学校の教員や児童の役立つ知識や技術を提供できていないことが現状ではないでしょうか。

より使いやすい仕組みにするために

  

センター的機能のイメージ図(筆者作成) 

センター的機能は、授業づくりや保護者対応で忙しい小学校教員にとって、特別な支援を必要とする児童の対応について一緒に考えてもらえる有用な仕組みです。

しかし、活用することで業務量が増えてしまえば、利用する教員は減ってしまうでしょう。書類や申請の簡略化を図りながら、より使いやすい仕組みになることを願っています。

冒頭に挙げたように、次期学習指導要領にむけた基本的な方向性の一つとして「多様性の包摂」が示されています。
児童の多様化が進む中で、小学校と特別支援学校が、お互いの専門知識を発揮しながら、双方の学校の児童や教員にとって有益な協働をしていかなければなりません。

まずは、このような機能を知り、お互いの教員の交流を増やしていくことが大切なのかもしれません。

角田 直也(かくだ なおや)

岡山県矢掛町立小田小学校 教諭


特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。

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