2026.01.30
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総合的な学習の時間から育む探究的な学習― 課題設定からまとめ・表現までの授業づくりの視点(1)

皆さんは、総合的な学習の時間にどのような取組をされているでしょうか。
新学習指導要領の論点整理では、「好きを育み、得意を伸ばす」のキーワードのもとで、総合的な学習の時間が、教科教育での探究的な学びの土台作りを担う位置づけとなっています。
ここでは、総合的な学習の時間の授業づくりで大切にしたい視点について共有します。

岡山県和気町立佐伯小学校 教諭 角田 直也

探究的な学習サイクルを学ぶ総合的な学習の時間

次期学習指導要領論点整理(素案)令和7年9月 5 日 中央教育審議会 教育課程企画特別部会

総合的な学習の時間は、「探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成する」ことを目標としています。要するに、①課題設定②情報収集③整理・分析④まとめ・表現、の探究的な学びのサイクルを通して、さまざまな教科学習と関連性をもたせながら、学びを深めていくことが求められています。

しかし、このような総合的な学習の時間が実際に行われているかと問われると、学校によって大きな差があることが現状です。誰が作ったかわからない年間計画に沿って、形式的に地域の産業や施設の調べ学習を行う取組をしている学校もあるのではないでしょうか。児童の主体性を重んじながら、探究的な学びのサイクルを回す学習計画を作成することは、教員の得意不得意があらわれやすく、総合的な学習の時間に苦手意識をもつ教員も見かけます。それでは、どのような取組を展開していくと、良いのでしょうか。

探究的な学習サイクルの4つの課程

自分たちの言葉で語り、自分たちのアイディアで動く。教員は、伴走に徹する。

①地域課題の洗い出し
課題とは、理想と現実のギャップを解決するための手段です。そのため、まず児童と理想の地域について話し合います。理想について話し合う段階では、たくさんの意見が飛び交います。ある程度理想が焦点化されたら、その理想に対しての現実を捉えさせます。現実的な数字やグラフを提示することも有効です。理想と現実が明確になれば、目標を数値化し、目標達成への手段を言語化することで、課題を設定します。1年間で取り組むことが決まれば、年間計画や発表方法などを児童と設定します。

このフェーズのポイントは、抽象度の高い言葉の解像度を上げることと、目標の数値化です。この作業を行うことで、今後の話し合いの場面で、原点に立ち返ったり、現在地を判断しやすくなったりします。

②情報収集は徹底的なインプット
地域の人・こと・ものなどの地域材に、たくさん触れていく、インプットのフェーズです。本やインターネットだけでなく、インタビューやフィールドワークを通して、ひたすらインプットをしましょう。勤務校の勤務年数が長い同僚や、地域コーディネーターの人脈を頼って、多くの出会いを設定することが、良い情報収集につながります。

③インプットした情報を整理・分析して、アウトプット  

このフェーズは、インプットした情報を言語化することがポイントです。インプットした情報は、知識を得ているようで頭の中でぐちゃぐちゃになっている状態です。これを相手に伝えるために、情報を整理・分析して自分の言葉でアウトプットしていくのですが、この作業はとてもエネルギーを使います。そのため、補助手段として思考ツールや生成AIを使用します。場合によっては、再びインプットを行う場合も考えられます。

④相手に伝える手段を考えるまとめ・表現

どうやったら相手に伝わりやすいかを考えて、実行します。プレゼンや新聞、劇、イベント企画などさまざまな方法が考えられますが、目標に合った方法を選択して、挑戦できると良いでしょう。ここでのポイントは、調べたことを自分の中に落とし込み、自分の言葉で表現できているかどうかです。

このような探究的な学習のサイクルを単元を通して行い、単元の中で中期的・短期的な学習サイクルを回します。最初のフェーズでは、目標を数値を伴って設定しておくことで、目標に達していなければ、再び課題設定に戻り、足りない部分を話し合い、再課題を設定し、情報収集するなど、何度もサイクルを回していきます。

良い取組に見られる2つの条件

この数年間でいくつもの総合的な学習の時間の実践を見たり、授業担当者と話していく中で、良い取組を実践している教員に共通点が2つあります。1つ目は、「総合的な学習の時間の取組が終わらない」ことです。単元が終わっても、児童が主体的に活動したり、地域の人からイベントや展示物の協力依頼があります。2つ目は、「児童よりも教員が楽しんでいる」ことです。授業を進めていくうえで、教員自身がワクワクしていなければ魅力的な授業になりません。新しい取組を生み出したり、地域と連絡調整したりすることはどうしても負担がかかります。その負担を楽しめるぐらいワクワクできる内容を目指していきましょう。

次回は、私自身の総合的な学習の時間の取組を紹介します。

角田 直也(かくだ なおや)

岡山県和気町立佐伯小学校 教諭


特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。

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