愉しい授業を創る 「心のスイッチを入れる編」
人それぞれに、心のスイッチが入るときって、異なることでしょう。
教師の「心のスイッチ」の一つは、やりがいを実感したときにスイッチ・オンになるんじゃないかと思います。
教師も子どももスイッチ・オンで、「愉しい授業」が生まれる、そんなことを考えています。
浜松学院大学地域共創学部地域子ども教育学科 教授 川島 隆
高校生対象の体験授業で考えた「心のスイッチ」
先日、大学に高校生280名を招き、大学説明や体験授業を行いました。
私は、その授業者の一人として、45分の授業を担当しました。
テーマは、「新聞紙や輪飾りから何ができるか? ~素材から体育や算数の授業・保育を考える~」でした。
つまり、身近な素材をどのように教材化して、愉しい授業を創っていくかを学ぶ体験授業としたのです。
教員調査からみる、教師の仕事とやりがいの実態
冒頭では、小中高校の教員がどんなことを感じ、考えながら働いているかを知ってもらいたいと考え、全国の、小中高校の教員を対象とした調査結果を紹介しました。
例えば、「教員が小学校のころ、子どもの頃に嫌いだった教科は何か」を問うた結果を取り上げました。「先生だって、苦手なものはあるんだ!」ということです。
得手不得手があっても、それを補いながら、チームとして子どものために力を発揮していくのが、学校という組織のよさではないか、そう考えています。
続いて、「教員生活の充実度を点数(100点満点)で表すと何点ですか?」という問いに対する結果を紹介しました。
皆さんは、どんな点数をつけますか?
私は現在、100点満点ですが、これまでの教職人生を振り返れば、50点ぐらいの時もあれば、もしかしたら50点にも届かない時期もあったのではないかと思います。
調査によれば、最も多い回答は80点台、平均は69.8点でした。
教員について、あれこれマイナス情報が流布する中で、実際には、充実度は高いのではないか。教員は、充実感をもって働いているのではないかと思いました。
教師のやりがいが、教師の「心のスイッチ」を入れる瞬間
さて、続いて、紹介したのは、
「あなたは、教員としてどのようなときに『やりがい』を感じますか?」
という質問についての回答です。
結果は、回答の多い順に、
① 子どもの成長が感じられた
② 子どもの笑顔が見られた
③ 子どもと感動を共有できた
でした。
このほか、私が共感した回答には、「クラスが一つにまとまったとき」「同僚と協力した仕事をしているとき」といったものもありました。
こんな「やりがい」を感じたとき、私ならますます心のスイッチが入って、前へ、前へと教育活動に突き進んでいきますね。
つまり、やりがいに挙げられたような「子どもの姿」が、私の心のスイッチを入れてくれるのです。
子どもからの言葉が入れた、私の「心のスイッチ」

心のスイッチを入れてくれた手紙
今年度、私の心のスイッチを入れてくれたのが、9月に研究授業を行ったA小学校の子どもたちや先生からの手紙でした。
8時間の授業を終えた後、自宅に届けられた手紙です。
きれいなリボンで束ねられた手紙の一通一通を読んでいくと、自ずと気持ちが高まってきます。
例えば、こんな言葉が綴られていました。
○ 円の面積の求め方だけでなく、「振り返り」の仕方が分かりました。また授業をしてほしいです。
○ 前の知識を使えば解けることが分かり、とても理解が深まりました。
○ 「まとめ」や「振り返り」を丁寧に読んでコメントをくださり、勉強の意欲が高まりました。
寄せられた言葉の数々が、私の心のスイッチをオンにして、次へのエネルギーになっているのでした。
またどこかの小学校で、子どもたちと一緒に授業を創ってみたい。
そう思うのでした。
東井義雄の詩に学ぶ「心のスイッチ」の意味
昭和の教育者・東井義雄氏の詩「心のスイッチ」(『自分を育てるのは自分』東井義雄)は、時代を超えて多くの人を支えるものとなっています。
その一節には、こんな表現があります。
------------------------------
人間の目は ふしぎな目
見ようという心がなかったら
見えていても 見えない
------------------------------
漫然として、ただ何となく、目の前にあるものを見るのではなく、そこにある何かを「見ようとする心」をもってみることです。
自分の内側にある心のスイッチを入れて、「見る」のです。
すると、新たな気付きや考えが生まれ、新たな道が開けてくることもあります。
この詩にはこんな表現もあります
----------------------------
心のスイッチが 人間を
つまらなくもし
すばらしくもしていく
----------------------------
心のスイッチによって、心の状態は大きく変わるのです。
そして、その人の行動も結果も左右するものとなります。
もちろん、そのスイッチは、本来は誰でもない、私自身で入れなくてはならないでしょう。
でも、必ずしも自分でスイッチを入れられるとは限りません。
教師は、子どもの、あるいは、同僚の力を借りながら、心のスイッチを入れることもあるんじゃないかと思います。
むすびに
では、子どもたちの心のスイッチは、どんなときに入るのでしょうか。
それは、一人ひとり違うのかもしれませんが、学級担任をしていると、
「このクラスの子どもたちは、こんなふうにするととか、こんな時にとか、こんなところに行くと、心のスイッチが入るんだよね」
ということが分かってくるんじゃないかと思います。
教師も子どももスイッチ・オンになると、授業は、より愉しいものになるんじゃないかと思います。
「やる気」がみなぎり、「やりがい」をもって学べる授業になるんじゃないかと思います。
参考資料
- ジブラルタ生命保険株式会社(2025)「教員の意識に関する調査2025」
- 東井義雄(2008)「自分を育てるのは自分」,致知出版社,p130

川島 隆(かわしま たかし)
浜松学院大学地域共創学部地域子ども教育学科 教授
2020年度まで静岡県内公立小学校に勤務し、2021年度から大学教員として、幼稚園教諭・保育士、小学校・特別支援学校教員を目指す学生の指導・支援にあたっています。幼小接続の在り方や成長実感を伴う教師の力量形成を中心に、教育現場に貢献できる研究と教育に微力ながら力を尽くしていきたいと考えております。
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