2026.01.30
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東日本大震災を題材にした授業実践(2) 震災の時に先生は、家族はどうしていたのか(さいたま市立植竹小学校 教諭 菊池 健一さん)

東日本大震災を題材にした授業について、さいたま市立植竹小学校教諭の菊池健一さんが、全6回にわたって連載します。震災から年月が経つ中で、記憶の風化が指摘される一方、学校教育において、命の大切さや日常の尊さを伝えることの重要性は今も変わりません。低学年の子どもたちが震災を自分事として受け止めていく学びの過程を、授業実践を通して報告します。
今回は、身近な先生や家族の体験を手がかりに、震災当時の状況や人々の思いを知る学習を行いました。

震災当時の先生の体験を知る

子どもたちが読んだ震災の記事

担当している2年生の子どもたちは、東日本大震災が起こったときにはまだ生まれていません。当時の新聞を見せましたが、子どもたちにとって東日本大震災は遠い出来事…。震災後もたくさんの災害が起きています。そんなニュースを見聞きし、防災について学ばなければならないという気持ちも、子どもたちの中に見られるようになってきました。

今回の実践では、「命の大切さ」「家族との絆の大切さ」をテーマに学習を進めていきます。その中で防災への意識も高めたいと思っています。

まず、子どもたちに震災を自分事として感じてもらうために、自分たちの学校の先生が、東日本大震災の時に何をしていたか、そしてどんな気持ちになったかを知ることから始めました。先生については、昨年度の実践で6年生が当時の様子を聞き取った記録が残っているので、それを活用しました。身近な先生の体験を知ることで、震災を現実の出来事として感じるのではないかと思いました。

A先生「震災の時は6年生の担任で、ちょうど卒業式の練習をしていました。すぐに校庭に避難して、子どもたちを見守りました」
B先生「5年生の体育の授業をしていました。体育館の電気がすごく揺れて、びっくりしました。子どもたちを絶対に守らなくてはいけないと思いました」
C先生「当時は6年生でした。ちょうど家庭科の調理実習をやっていました。お鍋からお湯がこぼれてしまい大変でした」
D先生「高校生で部活をしていました。自分よりも大事な楽器を守ろうとしていました。その後、両親が迎えに来るまでとても不安でした」
E先生「大学生でした。道を歩いているところに地震が起きました。電柱も揺れていてとても驚きました」

自分たちの担任だった先生や、普段接している先生の話を聞いて、子どもたちは強い関心を示していました。先生たちが15年近く前のことをはっきりと覚えていることにも驚いていました。そして、それだけ東日本大震災が大きな出来事であったと感じたようです。

家族は震災の時、どのように過ごしていたのか

 

子どもたちのワークシート

震災当時の先生の様子を知り、子どもたちは「お父さんやお母さんは、どうしていたのだろう」と、新しい疑問がわきました。そこで、保護者の協力を得て、調べてみることにしました。多くの保護者も、当時のことをはっきりと覚えていました。

「仕事で大井埠頭にいました。いつもの地震かと思ったら、どんどん揺れが強くなってきたのでいつもの地震でないことに気付きました。周りの人たちがとても慌てていました」
「会社の2階にいました。揺れが強くてパソコンが机から落ちました。外を見ると近くの家の壁や屋根が崩れていました」
「高いビルの真ん中あたりの階にいました。エレベーターが止まったので、階段で下まで降りました。電話がつながりにくくなりました」
「新宿のオフィスビルでデスクワークをしていました。体験したことのない大きな揺れを感じ、しばらくの間机の下から動けませんでした。周りの人たちも何が起きているのかわからないようでした」
「ビルが大きく揺れたので、このまま助からないかもしれないと思った。家族や友達は大丈夫だろうかと考えていました」

子どもたちは、先生と同様に、自分の家族が15年も前の震災の日のことを克明に覚えていることに驚いていました。子どもたちは友達同士でも話し合いながら、震災についての理解を深めていきました。

震災についてさらに知りたいという子どもたちの声

担任である私も、子どもたちに震災当日のことを伝え、保護者が夜まで迎えに来られない児童を見守っていたことなどを話しました。

子どもたちからは、「大きな被害があった東北では、どんなことがあったのだろう」という声が聞かれ、震災についてさらに知りたいという思いが見られました。そこで今後は、被災地の方の話を聞いたり、道徳の授業で震災を扱った資料を用いた学習を行ったりするなど、震災に関わる学びを続けていくことを伝えました。

この活動を通して「命の大切さ」「家族の大切さ」を感じられるようにしたいことも話しました。これから、震災を題材とした学習に入ります。

次回は、道徳授業で命について考えた実践についてレポートします。

文・写真:菊池健一

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