授業ってどうやって見るのですか? 授業参観で「何を見る・何をメモする」ための実践的な視点
授業を参観する機会って毎年あると思います。
その際、先生方は授業の何を見ていますか?
それを誰かと話したことはありますか?
最近そういう機会があり、自分自身も考えてみました。
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭 古市 剛大
授業の「見方」をめぐる問いかけ
先日、帰り支度をして席を立った時のことです。同僚の先生にある質問をされました。
「授業研究会に行く予定があるのですが、気になることがあるんです。これまで何度も研究授業を参観したことはあるのですが、授業の何を見て、何をメモすればいいのか分からなくなってきて…。先生は何を見てどんなことをメモしているんですか?」
こうやって放課後の職員室で、子どもたちの話だけではなく授業について話し合えるってすごく素敵だなと私は感じました。教員の仕事の大部分を占めるのは授業であり、その力を向上させたいという思いをもった方々と一緒に働けるなんて幸せです。日々の事務仕事や生徒指導はもちろん大変ですが、自分の授業をより良くしようと学びに出たり、それについて語ろうとしたりする姿にうれしくなりました。
と同時に、確かにそうだなと感じました。
他人が指導案に書き込んだメモって、見る機会があまりないですよね。参観中ずっとペンを走らせている先生もいれば、授業者や子どもをじっと見ている先生、近くの人と小さな声で意見を交わしている先生、いろいろな姿があると思います。
そして私自身、教員として働きだしてから、「授業をどのように見るのか」を教わった記憶がありません(もしかしたら忘れているだけかもしれませんが)。みなさんはどうですか?
授業改革推進員という立場で多くの授業を参観してきた私なりの考えはこうです。
何を見るのか
研究とは、仮説を立て、その仮説が合っているのかを実証していくものです。研究授業に置き換えると、「きっとこんな手立てを打てば、子どものこういう姿が見られるはずだ」と考え、授業を構成していきます。それを参観者に伝える手段として、学習指導案が存在するのだと考えています。
だから指導案には「…することで、…することができるようにする」という書きぶりがされています。「…することで」には先生の手立てが入り、「…することができるようにする」には子どもの姿が入ります。
つまり、結果として表れるのは、子どもが書いたり、話したり、動かしたりする姿です。子どもが何をしているのかが見えない状況では、仮説の実証を確かめようがありません。見るべきは、授業者の手立てによって引き出された子どもの姿だと思っています。
個人的には、教室の後方よりも横から見た方が、子どもの表情やつぶやきが見て取りやすいです。普段の授業参観も、「この子、こんなことに気付いてノートに書いているな」「グループで友達の考えと自分の考えを比較しながらしゃべっているな」というように、子どもたちのそばで授業中の反応を見るようにしています。
何をメモするのか
研究授業後の協議で、「あの手立てによって、一気に子どもたちの考えが深まりましたね。仮説は合っていましたね」と伝えても、根拠が弱く、雰囲気で話しているように聞こえてしまいます。参観者の主観ではなく根拠を明確にするためにも、子どもがどんな発言をしたのか、どんなことを書いていたのか、どんな動きをしたのかまで協議で伝える必要があると思っています。
でも45分間を映像のように記憶することは難しいものです。そこでメモをするのです。「何を話したか」「何を書いたか」これをメモしています。その際、「だれが」もメモするようにしています。持ち物の名前を見るか、「右から〇列目、前から何番目の子」のような感じです。
そしてメモを取りながら、「あ、授業者がねらっている姿が見えた」と感じたら、なぜその姿が見られたのか記憶を巻き戻して授業者の手立てと結び付けていきます。
そうすれば「指導案に書いてあるこの手立てによって、授業者がねらっている子どもの姿になったから、仮説は合っているぞ」となったり、「ねらっている子どもの姿にはなったけど、これって指導案に書いてある手立てのおかげではなさそう。仮説が合っているとは言えないな」となったりするのです。
見方は多様
ここまで私の個人的な見方について書きました。「いや、もっとこういう見方の方がいいぞ」があると思います。先生によって授業に対する課題意識が違うのですから当然です。
協議の中で「この先生、そんな視点で見ていたのか、今度まねしてみよう」という感じで私もアップデートしてきました。何のために研究授業を参観するのか、立場や役割によってさまざまですが、それを自分なりに明確にして「何を見る」「何をメモする」を決めてみることをおすすめします。

古市 剛大(ふるいち たけひろ)
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭
「道徳の教科化」をきっかけに,道徳のおもしろさと難しさを感じながら,研究と実践を重ねてきました。子供の「知りたい」「話したい」を大事にした授業とは?道徳科における個別最適×協働とは?日々の授業から,そして指導教諭だからこそ見える・感じることを綴っていきたいと思います。
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