社会科授業における振り返り活動の目的と方法
これまで、社会科授業における学習問題の設定、本時の問い、仮説の設定、調べる活動、まとめる活動について整理してきました。
今回は、これらを踏まえ「振り返り活動」について述べます。
姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭 竹内 哲宏
社会科授業における振り返り活動を捉え直す
学習指導要領に「振り返り活動」が明記されたのは、平成20年の改訂時です。それ以前の社会科では、学習過程の中にこの活動は明確に位置付けられていませんでした。しかし、現在の学習指導要領においても、この「振り返り活動」は重要な学習活動として位置付けられています。
今回は、「振り返り活動」について、何のために行うのか(目的)と、どのように行うのか(方法)という二つの視点から述べます。
振り返り活動の目的を三つの視点から考える
振り返り活動の目的の一つ目は、子ども自身の「自己評価」にあります。学習内容を理解できたかどうかは、子ども自身が判断するものです。そのため、わかったことや、わからなかったことを整理することが重要になります。これは認知的な側面だけでなく、非認知的な能力についても同様です。
いずれにしても、学習の成果を自分なりに振り返り、見つめ直すことが大切です。どのように考え、なぜその結果に至ったのかといった、学習のプロセスそのものについても振り返る必要があります。そして、振り返った内容を自分なりに修正することにつなげます。このように、子どもが学習の成果と過程を自己評価する経験を積み重ねることで、自分の学習を調整できる力を育んでいきます。
二つ目は、教師による「授業改善」です。「まとめ」を見ることで、子どもがその時間の目標に到達したかどうかを判断することはできます。しかし、「まとめ」は学習の結果を示すものであり、子ども自身が自分の学びをどのように捉えていたかまでは把握できません。
例えば、予想の立て方が難しかったのか、資料の読み取りや関連付けが理解できなかったのかといった認知的な側面や、学習への興味・関心の度合いについては、「まとめ」だけでは捉えることが困難です。「振り返り」を取り入れることで、教師は子どもの学習状況や学びの過程を把握することができ、その結果を授業改善に生かすことが可能になります。
継続的に子どもの振り返りを形成的に評価することにより、一人ひとりの学びの変容を見取り、主体的に学習に取り組む態度の育成につなげることができます。
三つ目は、主体的に学習に取り組む態度を総括的に評価することです。国立教育政策研究所の資料では、社会科における評価の観点として、①社会的事象について予想や学習計画を立て、振り返りを通して学習問題を追究・解決しようとしているか、②よりよい社会を考え、学習したことを社会生活にいかそうとしているか、の二点が示されています。
①については、学習問題設定後の予想の質や、単元を通した学びの過程を総合的に捉えて評価します。
②については、単元終末における意見文や振り返り、話し合いでの発言などから、学んだことを自分の生活や社会と結び付けて考え、活用しようとする姿勢が見られるかを評価します。
このように、振り返り活動を通して学習過程と成果の両面を把握することが重要です。
振り返り活動の方法と教師の関わり方
次に、振り返り活動の方法について述べます。振り返り活動には、子どもが自分の学びを自覚するという価値があります。そのため、「何を」振り返らせるかが重要になります。
例えば、教師が「今日の学習の感想を書きましょう」と声をかけると、子どもは「楽しかった」「むずかしかった」などの感想を書くことが多くなります。一方で、「わかったことと、わからなかったことを書きましょう」と伝えると、子どもは1時間の自分の学びを見つめ直し、「何がわかり、何がわからなかったのか」を具体的に書くようになります。
このように、教師の声かけによって、子どもの振り返りの方向性は大きく左右されます。したがって、教師が振り返りの視点を明確に提示することが重要です(表1)。
子どもの言葉に言い換えると「達成度=できた?」「変容=かわった?」「学習態度=がんばった?」「展望=これから」となります。学習が終わった自分を起点とすると「達成度」「変容」「学習態度」は、過去を見返している状態です。一方「展望」は、未来を見つめています。
和栗百恵は、日本語の「振り返り」は「反省」と同義に用いられ、後ろ向きな印象を与えがちである一方、英語のreflectionが示す振り返りは、プロセスとその結果から、その先までを含んだ、未来志向の概念であると捉えています。
この指摘が示すように、振り返りの本質は、現状よりも成長するための手掛かりを得て、未来への見通しをもつことにあります。
次期学習指導要領では、「主体的に学習に取り組む態度」が評定の対象から外れるという議論がなされています。しかし、たとえそうであったとしても、振り返りの重要性が変わることはありません。
自律的な学習者を育てるためにも、今後も振り返り活動の充実に努めていきます。
参考資料
- 和栗百恵「振り返りと学習―主体的に学び、生きるための振り返り―」文部科学省『初等教育資料』No.912 東洋館出版 2014.4 pp.92-95

竹内 哲宏(たけうち てつひろ)
姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭
世界遺産姫路城の目の前にある姫路市初の義務教育学校に勤めています。
資質・能力を育成するための授業づくりを中心に発信できればと考えています。
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