2026.02.10
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無言の指導で教室環境を整える実践 〜先生からの指導の言葉はもういらない〜(1)

「教室の環境を整える」ということを考えたことがありますか?
きれいにするのではなく「乱れている環境を整える」ことです。
私が教室環境を整えるときに、常に考えていることが「無言の指導」です。
無言の指導とは私の造語です。
教師が何も言わなくても子どもたち自身で教室を丁寧に整えてくれる、魔法の指導法です。

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭 石川 雄介

グループを作らせるのは指導が増えるからイヤ

授業展開の中で、学習内容によってはグループ活動をすることがあります。その時に机を動かしてグループを作ることになりますが、こんなことを思ったことはありませんか?
「グループを作るのに時間がかかりすぎだな…」
「グループの形がガタガタしていて、きれいに並べられていない…」
それによって次のような言葉をかけたこともあります。
「授業が進まないから早くグループ作って!」
「向きを直して!」
「他のグループと近すぎる!」
「グループの形が汚いから直して!」

このような注意が増えるならグループ活動はしたくないと思うことはありませんか。グループ活動の方がよい内容だけど、時間がかかるのならわざわざグループを作らなくてもいいのではないかと考えたこともあります。

グループを早く作れるグループと、のんびりと作るグループがあり、その待っている時間が私はあまり好きではありません。
しかし、私の基本的な考えは子どもたちの行動が遅い理由は教師の工夫不足にあるということです。子どものせいにするのではなく、子どもたちができるように向かわせるのが、教師の仕事の一部だと思います。
そんなとき、私は教室環境を整えることを特に重視しています。ここからは教室環境をどのように工夫して、グループをいかに早くきれいに並べさせたかを紹介します。

グループの真ん中に絵を貼って形の崩れを防ぐ

 

グループの真ん中に工夫を添える

まず、グループを作るのに時間がかかったり、他のグループと近すぎたりする理由は、グループを作る場所が明確化されていないからです。これを解決するには基本的なことですが、床にテープを貼ってグループの設置場所を設定することです。グループの端の一か所だけでいいのでテープを貼ることで、これらの問題を解消できます。
しかし!グループを作ったのに授業が進むにつれてグループの形が崩れてきます(小学生謎現象の一つだと思います)。子どもたちは無意識に机を動かしています。注意してきれいに整えさせたのに数分後にはもう崩れている場面も見られます。
そこで工夫したのが、グループの真ん中に絵を貼ることです。グループの机すべての接触点、つまり真ん中のそれぞれの端に絵を貼り、くっつけると1つの絵ができ上がる仕組みです。ジグゾーパズルのようなイメージです。
この取り組みをすると、机がズレると絵が完成しないため、意識して直そうとします。私はカエルの絵を貼ってるので、机がズレると目がズレて恐ろしい顔になってしまいます。
このように、注意をして気づかせるのではなく、環境を整えることで、楽しく整えたり、気づき合ったりする工夫が教室環境を整える上で重要です。こうした、声をかけなくても進んで行われる活動のことを、私の造語ですが、無言の指導と呼んでいます。

無言の指導とは何か

教室環境を整える時には無言の指導を意識した工夫をすると良いです。無言の指導とは、その言葉通り、先生が何も言わないことが指導になる指導法のことです。教師の「こうしてほしい」という指導を環境を整えるとことで表現します。
工夫したことの説明などは何も伝えないということがポイントです。見ればわかるという点が、無言の指導の良さです。これにより、自分たちで気付き、解決し始めます。
工夫のポイントは、子どもたちが興味を持ち、なおかつ分かりやすいことです。先ほどの例だと、カエルのイラストを活用したところになります。これが、図形や文字だとあまり子どもの心をつかめないと思います。楽しませつつ取り組める何かを見つけることがポイントとなります。
この指導の良さは、子どもたち自身が無意識に行動してしまうということです。担任の意図や指導が自然と伝わり、自分たちで思考して解決できるようになります。
さらに無言の指導を行うことで教師にとって最も良いポイントは、指導をしなくて済むことです。1つストレスがなくなりますよね。それにより他のことに視点を向けることができます。
「工夫するのが難しい」「アイディアが浮かばない」という意見もあるかもしれませんが、簡単なことが指導の工夫につながります。

泡石けんの無限プッシュをなくす無言の指導

  

1プッシュの無言の指導

泡石けんを使うと、子どもたちは何回もプッシュをしませんか?そして「先生ー、石けんがなくなりました」と言い始めます。「当たり前だ」とツッコみたくなります。
泡プッシュを減らすためには、プッシュをしない方がよいと思わせることが必要です。その方法は、1回プッシュをしたら形が出る石鹸詰め替え容器を活用することです。市販されている容器を買って使うだけです。
私は、プッシュしたら泡が花の形になる容器を活用しています。2回プッシュすると形は潰れてしまいます。なので、子どもたちは1回しかプッシュしません。これが無言の指導です。もちろん、私から使い方の説明はしていません。それなのに無意識に1回しかプッシュしません。しかも楽しそうに。

このように、無言の指導は簡単に実現することができます。場面によって工夫の仕方はさまざまですが、子どもたちに説明しなくても伝わるのであれば、簡単な工夫で十分です。次回も無言の指導の実践をいくつか紹介しようと思います。


何卒

石川 雄介(いしかわ ゆうすけ)

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭


沖縄県の小学校教員として10年以上、子どもも担任も楽しむ学級づくりや授業づくりを研究しています。
私のモットーは「合いのある学級づくり」で、特に『思い合い、支え合い、学び合い』に重きを置いています。
また、授業や生活の中で他者尊重の心を育む仕掛けや子どもの興味を惹くアイディアを考えるのが大好きです。
効果的な掲示物の作成や子どもも担任も楽しめるアイディアなど、多種多様な教育場面について伝えていきたいと思います。

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