係活動のすすめ〜子どもたちの自己有用感を育てよう〜
学級担任の頃、特別活動の主任(特活主任)を5年間持たせていただきました。
学級経営をしていく上で取り組んできた係活動について、自分の実践を少し紹介させていただきます。
尼崎市立小園小学校 教諭 中村 隆文
係活動を通して育てたい力
係活動は特別活動の「学級活動」の一つです。この活動を通して育てたい力は、以下の3つであると考えています。
①自己有用感を持たせる
他人の役に立った、喜んでもらえたなど
②やらないといけないこと(=当番)の規律面と、やりたいこと(=係)の自由の面の区別
規律だけ、自由だけではいいクラスはできない。
③仕事に対する考え方を身につける
係活動(学級)から委員会活動(学校)へとつながる係活動へ
係活動と当番のちがい
当番とはまず何か。例えば、給食当番、そうじ当番がありますが、学級経営をしていく上でなくてはならないものです。
では係活動とは何でしょう。会社活動と言い換える場合もありますが、学級を盛り上げたり、豊かにしたりする子どもたちの自主的な活動です。
私が見てきた中で、係活動と当番を一緒にしているものがあります。係の掲示物を見ると、黒板係、くばり係、保健係、音楽係、図書係などがよくありますが、させている内容は学級経営上なくてはならない「当番」であることが多いです。
当番の実際について
日常生活で必要なものは、当番として位置づけます。
学級によって必要なものは違いますが、給食当番やそうじ当番を始め、黒板消し、くばり、体育の準備などはみんなでしないと学級運営が成り立たないことがあるので、当番として位置づけます。
日直は何人で?
2人でさせている先生が多いと思いますが、なぜ2人なのか教師側が意図を持つことが大切です。私は責任を持たせたかったので、1人にしました。たくさんのことはせず、いくつかのことを必ずすることを目標にさせていました。
責任を持ってすることが大切なので、できていないことが1つでもあれば、やり直しをさせます。
班当番
班で協力することを学ばせるためにと、日直の仕事を分散させるために、この制度も取り入れました。協力することは高学年になるにつれ、大切になります。
【私がした当番のやり方】
・日直
朝の会、終わりの会の司会、けんこう観察、戸締り
・班当番
黒板消し、移動教室の整列、体育の準備の手伝い
係活動(会社活動)の具体的な取り組み
当番と違って、学級を盛り上げるためにするものなので、子どもたちのしたいことを大切にします。ただし、「したい」ことを「どうぞ」の丸投げはいけません。特別活動は、教師指導の下が前提なので、規律の面や人権的なことについて何かある場合は、毅然と指導しないといけません。
「協力」することを念頭に置いたので、2人以上でするという条件で係活動に取り組ませました(例外もありましたが…)。
楽しくすることが大切
はじめての場合は、係の例を示すと子どもたちも取り組みやすい。
教師は見守る
会社は倒産することもあります。立ち上げても、仕事が今一つであれば解散してもよい。できていなくても、ごちゃごちゃ言わない。「最近どう?」くらいに留めて、気付かせる。
時間の確保
週に1時間、もしくは2週に1時間くらいはゆっくり活動できる時間があれば。
1時間丸々使わなくても、テスト後のすき間時間なども可能。
発表の場の確保
お楽しみ会を始め、朝の会や終わりの会、給食の時間などで。係活動には、ぜひホワイトボードの活用を。白い紙をラミネートしたものを使うと、マーカーでお知らせを書いたり消したりできます。
まとめ
学級を居心地のよい場にするには、子どもたち同士の「つながり」がないといけないように思います。
遊びや授業でも「つながり」はできますが、教師の力を借りず、自分たちで「したい」ことを「協力」して、何かを作り上げる活動は、子どもたちの自治力を育てることになります。それが、この係活動だと思っています。
各教科の授業ではなかなかできません。この活動の積み重ねが委員会活動や児童会活動、さらには社会で必要とされる生きる力がつけられたらいいなと思います。
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中村 隆文(なかむら たかふみ)
尼崎市立小園小学校 教諭
教員として走り続けている一教員です。
失速しないよう、適度に調整しながらがんばっています。
数年前までは学級担任をしてきましたが、現在は音楽専科をしつつ、ICT推進主任をしています。
「最小限の労力で、最大限の効果を」をモットーに仕事に励んでいます。
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