2024.04.13
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いよいよ新年度!さあ、授業開きを!

期待と不安と緊張の新年度。授業開きの準備は進んでいますか?
学習規律や持ち物の確認、ノートのとり方、いろいろ指導することはありますが、そればかりでは子どもも先生もしんどいですよね。
せっかくの「授業開き」。
子どもも先生も笑顔になれるものにしていきましょう。

岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭 古市 剛大

新年度が始まりました。きっと、新しいクラスの友達に、新しい学習に、子どもたちはわくわくしていることでしょう。
そして先生はというと同じくらいのわくわくと、新年度準備の忙しさに、あたふたされていることでしょう。
なにせ、やるべきことが多いですからね。
名簿や、給食当番表、そうじ分担の作成、机やいすのサイズ合わせ、教材の選定…。
毎年4月の春休みはあっという間に終わってしまいます。
そして気付けば、「あと1日で学校が始まる」となってやっと授業を考えるなんてことも。

授業を軸に学級経営

これは、私が大切にしていることです。
もちろん、行事指導や集団づくりなど大切なことは他にもたくさんありますが
学校生活で一番長い時間をかけて行うのが授業。
ここで子どもたちとの関係を築いていったり、自己肯定感を高めていったりできれば最高ですよね。

特に最初の授業で

「なんか楽しそう」「これなら分かる」「勉強したらいいことがある」
このように感じてくれたら、子どもたちは自然と学ぼうとします。
そんな姿を見れば、先生はきっと「もっと分かりやすい授業をしよう」「こうやったら子どもの力を伸ばせるかな」と、さらに授業を工夫したくなるはずです。
そんな子どもや先生がいるクラスっていいですよね。

では、どんな授業をすれば?

私が授業開きをするときに大切にしていることは3つです。

① 誰もが参加できる内容
② 「できた」を味わえる発問や活動
③ 学んだ先の「未来」

3つとも網羅した授業であれば完璧ですが、1つは絶対に入れて、授業開きを行うようにしています。
国語の授業開き、算数の授業開き、図工の…と考えれば、5回以上授業開きができます。
詳しく見ていきましょう。

① 誰もが参加できる内容

クラスにはいろいろな子どもがいます。中には、前学年の学習内容の定着が難しかった子もいるかもしれません。学習に前向きになれない子もいるかもしれません。あえて授業開きで、教科書の学習内容をしなくてもいいのかなと個人的には思っています。それよりも、「なんだかこの先生の勉強は楽しそう」と思ってくれた方が嬉しいですよね。
例えば、算数で、数を使ったゲームをしてみてもいいかもしれません。
きっと誰かがゲームの法則性を見つけ出し「こうやったら絶対勝てるよ」と語り出すでしょう。そこから算数のおもしろさや便利さへとつなげることもできます。
例えば、国語で、先生が絵本の読み聞かせをして感想を交流するのもいいかもしれません。「僕はこう思った」「私はちょっと違って…」のように語り出せば、多様な考えの大切さや、話を聞くことの良さについても考えられます。
敷居を高くせず、誰もが参加できる内容から、各教科の特徴や良さについて考えさせたいですね。

② 「できた」を味わえる発問や活動

これは昔、ある先生から教わった国語の授業開きです。今でもこれを使って授業をすることがあります。使うのは、短めの詩です。もし教科書のはじめの方に載っているものがあればそれを使います。

授業が始まったら、詩を板書します。子どもたちもノートに同じように書くのもいいと思います。
書き終えたら、みんなで音読を5回ほどします。音読にも追い読みや交代読みなど種類があるので、いろいろな読み方ですると子どもも飽きないです。
そして6回目を読む前に、先生があることをします。
それは、黒板に書いた文字を少し消すのです。
「消したところが分からないから音読できないんじゃないの?」と言ってから6回目の音読をします。子どもたちは、さっきよりも大きな声で音読します。
「これならどう?」と言いながら、また少し消して7回目、少し消して8回目。
最後10回目を読む前には、ほとんど黒板の文字がありません。
が、何回も音読しているので子どもたちは覚えています。
その後に、たった10回読んだだけで1つの詩を覚えられたことへの驚き、「やればできる」を体現したことへの賞賛を伝えるのです。

先生と一緒に勉強すればできる自分になれる、と感じてくれたら、きっと次の授業への取り組み方にも変化が見られるでしょう。

③ 学んだ先の「未来」

これは言い換えると「何のためにその教科を勉強するのか」「その教科を勉強したらどんないいことがあるのか」を考えさせるということです。
もちろんこの言葉をそのまま発問にして授業開きをするのも1つの方法だとは思います。が、ちょっと難しそうですよね。
例えば、家の外壁にカタツムリの殻の特徴を取り入れて「汚れにくい外壁」をつくっている会社があります。無人トラクターなど、スマート農業で日本をより良くしようとする試みも進められています。これって理科や社会で学んだことが実生活に生かされている例ですよね。Society5.0の動画を見て感想を交流するのもおもしろいかもしれません。
その教科で学ぶことが役に立つと感じられれば、学ぶ意欲にもつながるはずです。
みなさんはどんな授業開きをしますか?

古市 剛大(ふるいち たけひろ)

岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭


「道徳の教科化」をきっかけに,道徳のおもしろさと難しさを感じながら,研究と実践を重ねてきました。子供の「知りたい」「話したい」を大事にした授業とは?道徳科における個別最適×協働とは?日々の授業から,そして指導教諭だからこそ見える・感じることを綴っていきたいと思います。

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