2023.11.18
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初任者も必見!算数のおすすめの声かけ3選!

勉強の秋、2学期の授業も中盤戦です。先生の中には、算数の授業で子どもたちにどんな声をかけていいか、分からなくて困っている方もいるでしょう。今回紹介する3つの声かけは、子どもの学習を深めたり、意欲を高めたりする言葉です。1つでもよいので、ぜひ授業で使って授業力を高めるきっかけにしてください。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

「すごいね!どうやって解いたの?」と褒める

この声かけは、子どものできたことについて価値付けをします。子どもが問題を解けた時や正しい答えを導き出した時になどに声をかけるとよいでしょう。私は、算数が苦手な子ができたときに、にっこりと「すごいね!どうやって解いたの?」と声をかけるようにしています。

「どうやって解いたの?」は子どもに計算の仕方などを聞いています。なぜ、子どもに計算の仕方などを聞くのかというと、「思考・判断・表現」の評価をすることにつながるからです。クラスで発表できればいいのですが、中には説明できても発表ができない子もいます。そういった子に「どうやって解いたの?」と聞くことで、計算の仕方を説明することができます。上手に説明できたら、「とても分かりやすい説明だったよ。必ず当てるから、発表してごらん」と声をかけてみましょう。もしかすると、手を挙げて発表してくれるかもしれません。

しかし、気をつけなければいけないこともあります。計算を間違えている子、いわゆる誤答をしている子にはあまり効果がない時があります。先ほども説明したように、「すごいね!どうやって解いたの?」は子どもが問題を解けたことを価値付ける声かけです。当然、誤答をしている子も、先生に価値付けをしてもらって、嬉しい気持ちになります。後で、間違っていることがわかったら、その子は悲しい思いをするでしょう。ですから、私は誤答をしている子には「すごいね!どうやって解いたの?」とは言いません。代わりに、「頑張って解いたね。先生に教えてくれる?」と聞くようにしています。子どもの努力を認め、どのような考え方をしているかを確認するためです。

子どもを褒めながら、計算の仕方を聞ける、とてもよい声かけです。ぜひ声をかけてみましょう。

では、まとめです。

  • 算数が苦手な子ができたときに、にっこりと「すごいね!どうやって解いたの?」と声をかける。

「どうしたら解けるかな?」と見通しを確認する

この声かけは、導入の時や、練り上げで、解決の糸口が見えない子がいます。そんな時に、クラスの子どもたちに「どうしたら解けるかな?」と見通しを確認します。先生がやり方や解き方を教えるのではなく、子どもに解決の仕方を考えさせるのです。「どうやったらいいのか分からないよ」と困っている子の声を代弁していることもあります。

しかし、良かれと思って、つい先生が説明してしまいます。気持ちはよくわかります。私は初任の頃、良かれと思って、子どもの代わりに説明をしていました。そのうちに、子どもが意見を言わなくなってしまいました。先生が説明してくれるので、子どもが「先生が言ってくれる」と思うようになったからです。ですから、先生が説明したい気持ちをグッと堪えて、「どうしたら解けるかな?」と声をかけています。

ただ、注意が必要です。解決の仕方が全く分からない子に、「どうしたら解けるかな?」と声をかけることはおすすめしません。なぜなら、考えたって分からないことを、何度聞かれても答えようがないからです。その代わりに、「じゃあ、近くの◯◯さん(君)に聞いてみようか」と声をかけます。子ども同士の学び合いにつなげるためです。

では、まとめです。

  • 解決の糸口が見えない時に、「どうしたら解けるかな?」と見通しを確認する。

「前にも似たような問題を解いたことがあるね。覚えてる?」と過去の学びとつなげる

この声かけは、算数特有のものといってもいいくらいです。「前にも似たような問題を解いたことがあるね。覚えてる?」と過去の学びとつなげます。もちろん、他の教科にも使えるのですが、算数ではよく使います。例えば、2けたの筆算の計算です。繰り上がりの計算で、十の位に繰り上がる計算を学習した後、百の位に繰り上がる計算をするときに使います。

前の学習で学んだ方法を使って考えるのです。別の言い方をすると、今回の問題を解くときに、たくさん学んだ方法の中から適切な方法を選ぶのです。算数では、適切な方法を選んだり、組み合わせたりして、問題を解決することを、とても大事にしています。

私は、子どもが解決方法を思い浮かばないときに「前にも似たような問題を解いたことがあるね。覚えてる?」と声をかけるようにしています。ただし、この声かけをしても、子どもが過去の学びとつながらないこともあります。その時は、「◯◯ページを見てごらん」「前の日のノートを見てごらん」と声をかけたり、実際にその時の板書や式、図などを見せるようにしています。

では、まとめです。

  • 子どもが解決方法を思い浮かばないときに「前にも似たような問題を解いたことがあるね。覚えてる?」と声をかける。


今回のお話はいかがでしたか? 
この内容は、授業スキルアップ研究会でも扱っています。また、授業に関する内容は、『子供がなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』 (東洋館出版社)や『学び合いコーディネートスキル60』 (明治図書)もぜひ参考にしてみてください。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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