2023.09.15
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校内研究に前のめりに

みなさんの学校の校内研究,順調ですか?
楽しく取り組んでいますか?
ついつい【させられ感】のある研究。
少しでも【させられ感】が【やってみたい】に代わるといいですよね。
参考になれば嬉しいです。

岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭 古市 剛大

最近,ドキドキしていますか?

私はこの夏休み,ドキドキが止まりませんでした。
息子と2人で大型のプール施設へ出かけた時のこと。
更衣室で着替え,プールサイドにテントを張り,いざウォータースライダーへ。
グネグネ曲がりながら流れていくコース,かなり高いところから滑るコース,2人乗りの浮き輪に乗ったまま滑るコースと,何種類もあって,2人で大喜びでした。

3回ほど滑って楽しんだ後,ふと手首を見ると,本来あったはずのものがありません。
そう,更衣室のロッカーの鍵を失くしてしまったのです。
血の気が引くのを感じましたが,息子の手前。
格好悪いところは見せられないと
「まあ,落し物が集まる所があるからそこにあるんじゃないかな」
と余裕があるように振る舞いました。

ただ,総合案内所で鍵を受け取るまでドキドキは止まりませんでした。
きっとこの瞬間におみくじを引いたら
【待ち人…ならぬ,待ち鍵来ず】が出ていたことでしょう。

二度と味わいたくないドキドキでした。

ちょっと変わった校内研究

私の学校では,変わった方法で校内研究に取り組んでいます。
今回はその校内研究について紹介させてください。
研究主任の先生,もし参考になれば幸いです。

個別最適な校内研究

私の学校の研究テーマは
【学びに向かう力を引き出す授業づくり】です。
子どもたちが主体的に学ぶことができるように授業を工夫することで,子どもが本来もっている学びに向かう力を引き出していくことができるのではないかと仮説を立て取り組んでいるところです。
では,テーマに向かうための手段や手法が何なのか?

それは【先生方一人一人が自分で手法や手段を決めて取り組む】です。
ある先生は,ICTを効果的に活用することで学びに向かう力を引き出そうとしています。
ある先生は,授業UDを取り入れることで学びに向かう力を引き出そうとしています。
ある先生は個別最適な学びを授業に,そしてある先生は板書を工夫して…

「みんなで1つの手法を研究した方が,効果的かどうかがよく分かる」
「やることがバラバラだと,研究の進み具合に差ができて,教員同士で温度差が生まれるのでは…」
私の学校でも,不安はありましたが,一番の魅力は【自分が「やってみたい」が実際にできる】です。
やらされる研究ではなく,やりたい研究ができる,そうすると先生方が主体的に学ぼうとします。
そんな先生の熱心な姿がクラスでも見られると子供たちの学ぶ姿勢はどうなるでしょう?
きっと素敵なクラスになっていきますよね。
子どもたちの学ぶ意欲の高まりはもちろん,先生方のやりがいも高まるはずです。
まさしくWell-beingです。

研究の進み具合の確認を忘れずに

ICTグループや授業UDグループ,個別最適な学びグループ,たくさんのグループが研究を進めていますが,決して任せっぱなしにするわけではありません。
2つのことに気を付けています。

時間の確保

1つ目は,時間の確保です。
みなさん学級事務や生徒指導案件等で忙しくしています。
「各自で研究を進めてください」では無理です。
そこで,1か月に1回,30分ほどの時間を年間計画に組み込んでいます。
短い時間ですが,集まる機会があるとそこで情報交換が行われます。
あるグループでは,「次の時に授業アイデアを持ち寄りましょう」と声を掛け合っていました。
ある先生は職員室で,自分で選んだ手法に関する書籍を読んでいました。
校内研究の時間以外にも取り組んでいました。
自分がやりたい研究を選べたことの効果だと思っています。

場の確保

2つ目は,途中経過を披露する場の確保です。

この夏休み,各グループが1学期の取り組みをまとめて発表する場を設けました。
成果と課題をまとめて発表するグループや,1学期の実践について意見を求めるグループ,他のグループへ自分たちが研究していることを広めようとするグループなど様々でした。
お互いのグループがどのように研究を進めているのか,どのくらい進んでいるのか,そういったことも共有できる場になりました。

まずはやってみること

今年度から始めたやり方なので,どうなっていくのかは分かりません。
もしかしたら従来の進め方の方が良いのかもしれません。

ですが,やってみないことには効果があるのかないのかを実証するのは難しいです。
であれば【やってみることが最善だ】と,私は考えます。
これは研究だけでなく,趣味などのプライベートも同じだと思います。

迷っていることがある先生,まずはやってみましょう!

古市 剛大(ふるいち たけひろ)

岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭


「道徳の教科化」をきっかけに,道徳のおもしろさと難しさを感じながら,研究と実践を重ねてきました。子供の「知りたい」「話したい」を大事にした授業とは?道徳科における個別最適×協働とは?日々の授業から,そして指導教諭だからこそ見える・感じることを綴っていきたいと思います。

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