2022.02.08
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6年生を送る会などの行事を動画編集でより良いものに(2)

ハリウッド映画が世界でも大人気の理由として挙げられることにもCG技術の高さが挙げられます。爆発や光などの表現は、言語や文化を超えて見ている人々にインパクトを与えてくれます。子どもたちが見ている戦隊シリーズやアニメキャラの変身シーンにもこうした表現は多用されています。TikTokなどの短い動画でも、これらを活用した視聴者の心に残る動画が数多く生み出されています。
現実ではありえない映像を生み出すことができるのがVFX(視覚効果)です。CMやゲームなど、普段私たちが見ている動画から学べることは何でしょうか。動画の構成や視覚効果などを授業で指導していくポイントについて考えていきたいと思います。

浦安市立美浜北小学校 教諭 齋藤 大樹

設計図で決まる動画の出来

CMなどの撮影現場では、撮影時に絵コンテや台本というものが用意されます。4コマ漫画のような絵が付いている絵コンテで大体のイメージをつかむことで、動画全体の完成を予想しながら動画を撮影したり、編集したりできるようになるのです。

学級や学年で一つの動画を撮影しようとするときにも、教師側が絵コンテを用意すると動画の仕上がりがよくなります。ドラマ仕立ての動画を撮影しようとした場合、その完成形がどのようなものなのかを示し、子どもたちや学年の教員たちとイメージを共有することで、一つ一つの演技や台詞が全体を意識したものになるからです。

しかしながら、絵コンテを用意するのも大変です。私たちはプロではないですし、多忙を極める3学期の時期に、絵コンテを0からクリエイトすることは一苦労です。

絵コンテが用意されているiMovie

前回の記事では、iPadやMacOSにインストールされているiMovieやWindowsのビデオエディターについて紹介しました。実は、このiMovieには、絵コンテが用意されています。新規プロジェクトを作る際に、「予告編」を選択すると用意されている絵コンテを元に動画を作ることができます。

「冒険旅行」や「ロマンス」などの定番の絵コンテだけでなく、なんと「インド映画」のような変わり種の絵コンテまで用意されています。用意されているテンプレートの絵コンテに合わせた動画や写真を撮影するだけで、動画を完成することができます。カットインやズームなども自動で行ってくれます。撮影しながらすぐに仕上がりを確認し、何度も撮り直すことができるので、子どもたちと試行錯誤しながら楽しい動画を作ることができます。

視覚効果が使えるビデオエディター

iPadではなく、Windowsを採用している自治体の場合には、ビデオエディターアプリで視覚効果のエフェクトを簡単に使えます。ギガ端末は予算の関係上、それほどCPUやグラフィックメモリが高くないでしょうが、Celeronなどの低価格帯向けのCPUでも十分動きます。

動画を撮影したあとに、火や光線などを付け加えることでバトルシーンのような激しいシーンを作り出すことができます。音楽エフェクトも用意されていますが、無料の効果音サイトなどからダウンロードすることで更に臨場感あふれる映像を作り出せます。子どもたちは普段映画で見ているような魔法を使ったり、手から光線を出したりするシーンが気軽に作れることに驚き、楽しそうに作業していきました。

昨年度、子どもたちには視覚効果を必ず一つは使った動画を作成させました。すると休み時間まで編集作業に夢中になり、お互いに自分の作った視覚効果の使い方を紹介しあっていました。子どもたちは視覚効果を次第に上手に使いこなします。

例えば雷を生み出す視覚効果を自分の顔に組み合わせ、アイデアが浮かんだシーンに活用したり、魔法同士が衝突した衝撃波を表現したりと様々な活用方法を考えていました。特に人数を指定していなかったのですが、子どもによっては友だち同士で協力して動画を作る児童も出てきました。最初は口頭にて撮りたい動画を相談していましたが、次第に自由帳などに4コマ漫画でイメージを共有している姿が見られました。まさにこれこそ絵コンテを必要とした瞬間でした。子どもたちが主体的に対話しながら動画を作成していく姿がアクティブラーニングにつながるのだなと感じました。

終わりに

2回に分けて動画編集について紹介しました。現在では、メディア関係以外の方でもあらゆる分野の方が動画編集を行い、YouTubeなどの動画投稿サイトにアップロードをされています。
教育系YouTuberと呼ばれる方を見るのも多くなってきました。ぜひとも今回紹介した絵コンテと視覚効果を学んだ子どもたちが様々な分野で活用して、未来で活躍してほしいと願っています。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立美浜北小学校 教諭


一人一台PC時代に対応するべくプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
現在は小規模校において単学級の担任をしており、小規模校だからこそできる実践を積み重ねています。

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