体力の二極化、学力も二極化
日本は子どもの体力だけでなく学力も問題を抱えています。
こちらもかなり深刻です。
日本の高等教育の格差をお伝えします。
旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也
体力も学力も二極化
子どもの体力低下が問題になっています。現在は体力格差が起きていて体力の高い子どもと体力の低い子どもの二極化となっています。
学力についても似たような状況になっていると言えそうです。これまでの経験上、整数の割り算といった四則演算ができない学生も一定数いるようです。たとえば、「50÷130」といったような簡単な割り算でも、正答率は約70%くらいだと感じています。また小数点以下第二位を四捨五入して小数点以下第一位で答えることができない学生もわずかですが存在します。
これは決して特殊な大学・短大・専門学校の状況ではなく、全国的に同様の状況がみられているようです。これが有名大学を除く日本の最高教育機関の現状です。
大学でbe動詞
これは算数だけではありません。国語でさえ同じようなことが言えます。「文章が書けない」「漢字が書けない」という学生がやはり同じような割合でいます。
以前、文部科学省が「中学校レベルの英語の授業で単位認定を行っている」「be動詞の使い方などを教える授業が行われている」として、新設の大学や学部に改善を要求したということが話題になりました。
しかし、私の中では、この理由がイマイチわかりません。このような学生を入学させた大学が悪いということだったのでしょうか?そうだとしたら大学全入できるまで大学を増やしたお役所が原因となります。
それともこのようなシラバスを作成した教員が悪いということだったのでしょうか?
むしろ学生のレベルに合わせた授業をしている教員を褒めるべきです。教員になる際にbe動詞や基礎を教えたいと思うようであれば中学校教員を選択するはずです。大学教員になったということは、英語の研究や世界を見据えた授業をしたかったはずです。
そのような夢や希望がありながら学生のレベルに合わせた授業を行っている教員は、学生ファーストで何ら責められることはないと思います。今思い返しても、なぜ大学設置基準を満たしていないとされたのかわからないです。
きっとどの年代の先生も同じ思いを抱えているのでは?
ちなみに、事前にテスト対策として「試験では計算問題を出します。計算機の持ち込みは不可なので、割り算の筆算を手計算でできる必要があります。そのため確認しておくといいでしょう」とアドバイスした場合でも、同様の状況です。学習に対する意欲に対する問題でもあると思います。
このような学生たちが一定の期間経つと卒業し就職します。きっと小学校・中学校・高校でも同じように卒業してきたのでしょう。決してこれまで関わってきた教員を責めているわけではありません。多分「それでも卒業させなくてはならないのか」と思いながら、ある種の無力感を抱え、卒業させてきたのだと思います。
学力が高い人は都市に行く傾向にあるため、地方ほどこのような傾向が強いようです。時間が経つと卒業できるこの日本の教育制度を見直す時が来ているのかもしれません。

赤堀 達也(あかほり たつや)
旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。
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