2021.10.05
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オンライン体育授業

現在、子どもの新型コロナウィルス感染が深刻化しています。そのため、社会の感染者の数は減少傾向にあっても、学校はオンライン授業を求められていくことになるでしょう。その中でも、オンラインで行う体育の授業は特に難しいのではないでしょうか。
今回はオンライン体育授業のアイデアを紹介していきたいと思います。

旭川市立大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

はじめに

この度、第30期も執筆させていただけることになりました。皆様のおかげでございます。一層励んで執筆していく所存です。どうぞよろしくお願い致します。

今回は「オンライン体育授業」について考えていきたいと思います。

1.ダンス

ダンス

 2012年から中学校ではダンス必修化され、また小学校においても表現運動が盛り込まれることになりました。しかしながら導入当初より、教員から「踊れない」「教えられない」と声があがり、未だに苦労されている人も多いようです。ただオンライン体育授業においては最も行いやすい授業の一つであります。

ちなみに私の持論でありますが、「教師は教え子を『如何にして自分を超えさせるか』が腕の見せどころ」であると思っています。つまり教員が全てを教える必要はないと思っています。教え過ぎると主体性のない子どもに育ってしまいます。むしろ新しい教育でも提唱されているようにその方が良いです。
実際においてもそうだったと思います。身体能力が比較的高い人が体育教員になると思いますが、それでも全ての種目に長けているわけではありません。「水泳はできない」「球技は苦手」「現役時代のケガで走れない」など様々な体育教員がいます。
そのためこれまでにおいても、できない分野は自ら見本を示すことなく、できる子どもに行わせたりして授業していたはずです。決して全ての種目を教え込んでいたわけではないでしょう。ダンスだけ毛嫌いしているようですが、同じように授業を展開していけばいい話です。

ただこれまでと決定的に異なるのは、これまでは教育現場にIT機器がありませんでしたが、今後はIT機器が充実することになります。そのため子どもたちはネット等からダンスの情報を手に入れやすくなります。これはダンス授業にとって、とても大きな転機です。
特に新しい教育では主体的に学ぶ姿勢を導くことが求められていきます。新しい教育において、ダンスは最適で行いやすい教材になっていくでしょう。

2.心拍数を上げる活動

コロナ禍に入る前の2019年12月に発表された体力テストの結果は、完全なる体力低下が示されました。その後コロナ禍に突入してしまったため、子どもの体力低下は更に悪化してしまっているでしょう。それを解消するためには少しでも多くの運動量が必要となりますが、不要不急の外出は禁止となるためそれもなかなか難しいかもしれません。そこでオンライン体育授業では運動量を上げることは難しいですが、心拍数を上げる活動を考えると良いでしょう。

その方法としてマスクを着用してのオンライン体育授業が有効です。子どもの活動場所は室内で狭くなり、小さな動きや少ない運動量となってしまいます。しかしマスクを着用することで、一種の高地トレーニングに似た作用がおき、心拍数を上げることができます。特に持久力が育つ中学校の時期はより有効でしょう。これは対面授業時のマスク着用と大きく異なります。対面授業においては「周りに迷惑をかけてしまう」と考え、苦しくてもマスクを外せなくなります。また活動範囲が通常通りある対面授業でマスクを着用すると運動量が多くなりすぎてしまい、酸素の供給が追いつかなくなってしまいます。
しかし、オンラインにおいては、そのどちらの危険性も排除することができます。そのため有効な活動とできることでしょう。ただし「誰が最初に外したか」や「最後まで外さなかったのは誰か」などマスク着用に関して競わせてしまうと、また違う作用が働いてしまうため、しないようにしましょう。

またマスク着用しない方法では、1と似通いますが、エアロビも有効です。もちろんですが動画サイトにもたくさんあります。こちらも考えてみるといいでしょう。

3.ストレッチ

マスク着用のストレッチ

実は柔軟は、準備運動や整理体操といった授業の補助として考えがちですが、授業のメインとして行うことができます。
柔軟は行い方によってはその瞬間から効果が現れ、可動域を広げることができます。また「これ以上伸ばしたら痛くなる」「この筋肉を伸ばすと関節が曲がりやすくなる」など「身体知」につながる教材です。新しい教育ではグループディスカッションで「このような動きをしたら記録が上がった」というように振り返りをさせていきます。
しかし、「4スタンス理論」にもあるように、人は4タイプの体の動かし方があるため、人の身体知がそのまま他人に生かせるとは限りません。また動きながら身体知を意識するのはかなり難しいです。そのため、まずは柔軟のような静止状態から身体知を養っていく方が順番的にもいいでしょう。柔軟の前後において、前屈の数値や開脚の角度などを計測することで自分の体と向き合うように導いていくといいでしょう。

最後に

以上の3つは狭い場所でも行うことができ、オンラインで行う体育授業にとって良い教材です。
これまでの視点から見ると「行いにくい」ものであったと思いますが、画像や動画を提出することができるようになったため、オンラインにおいては大変取り組みやすくなりました。試してみてはいかがでしょうか。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川市立大学短期大学部 准教授・北海道教育大学旭川校女子バスケットボールヘッドコーチ
これまで幼児・小学生・中学生・高校生・大学生と全年代の体育・スポーツ・部活動指導してきた経験から、子どもの神経に着目したスポーツパフォーマンス向上を図る研究を行う。

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