2021.08.21
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子どもが問題を発見するために

「問題は与えられるものではなく、問題は発見するものである。」

前回の記事から、問題発見力の育成をテーマにしています。前回は、子どもが問題を変えていく様子をお伝えしました。今回は、そのような姿が表れるに至ったきっかけとなった授業を紹介します。

名古屋市立御器所小学校 教諭 松田 翔伍

「問題づくり」最初のステップ 問題の一部を変える

5年「小数のかけ算」「小数のわり算」の単元の終盤です。
まず、「1mが2.4kgの鉄の棒があります。□mだと何kgですか」という問題を示します。問題の一部を□にして提示し、子どもに好きな数を入れるように促すのです。子どもはこちらから何も投げ掛けなければ、1、2など簡単な整数を入れようとします。このように□を用いた問題提示は昔からよく行われていたことですが、問題づくりの最初のステップとして先生側は捉えておくとよいでしょう。
さて、この問題を解決して、「1mが2.4kgの鉄の棒があります。2mだと4.8kgです」と問題を書き直します。次に、□を移動させます。

□mが2.4kgの鉄の棒があります。2mだと4.8kgです。
1mが□kgの鉄の棒があります。2mだと4.8kgです。
1mが2.4kgの鉄の棒があります。□mだと4.8kgです。
1mが2.4kgの鉄の棒があります。2mだと□kgです。

求答事項を変えてみせるのです。それぞれがどんな式になるか考えていき、同じ文章でも求めるところが変わると、かけ算になったりわり算になったりすることに子どもたちは素直に驚きました。この授業は、田中博史先生の『語り始めの言葉「たとえば」で深まる算数授業』(東洋館出版社)に書かれていた実践を参考にしました。

問題づくりの授業では、「1mが2.4kgの鉄の棒があります。□mだと4.8kgです。□に入る数を求めましょう」という最初に解決する問題を原問題と言います。問題の数値を変えるだけの問題づくりは多くの子どもにとって簡単です。しかし、求答事項を変えるというのが難しい。だから、この1時間は原問題の求答事項を変える練習としての1時間なのです。

オリジナル問題集を作ろう!

問題づくり おきかえの視点

先程の1時間を経て、実際に問題づくりをしていきます。まずは、原問題を提示します。
といっても、原問題は教科書や計算ドリル、問題集の中から自分で探して選ばせます。ここで、「小数のかけ算」「小数のわり算」という単元だけは絞りました。次に、「問題づくり おきかえの視点」を提示しました。
樋口万太郎先生の『子どもの問いからはじまる授業!』(学陽書房)では、問いの深さを明確に子どもたちに示すことで、子どもたちが本質的な問いをもてるようになる例が示されています。この実践を参考に、問題の一部の何を変えたか子どもたちが意識できるようにしてみました。「深イィ」としたのは、求めることを変えると掛け算と割り算が逆算の関係になっていることに気付けるからです。

出来上がった問題集

小数のかけ算・わり算 オリジナル問題集

作った問題をロイロノートで共有し、仲間が作った問題を選んで解いていく時間を作りました。出題者は、責任を持って答えも作らなくてはいけません。また、分からなければ出題者に教えてもらってもよいということにしました。
「問題づくり おきかえの視点」の何を変えたのかを色分けさせました。例えば、「鉄の棒」から「金の延べ棒」に変えただけなら黄色のテキストボックスを使うようにさせました。すると、子どもたちは自分の習熟度に合った問題を選んで取り組むことができます。まだ自信がない人は、黄色を選べばよいのです。
このように問題を作って解き合う時間を楽しむこと。この時間が、問題を変えてもよいという態度の形成に必要です。

松田 翔伍(まつだ しょうご)

名古屋市立御器所小学校 教諭
すべての子が考える楽しさを味わえる算数学習を目指し、面白い問題の開発や指導法、子どもとの関わり方について毎日考えています。「できる」「分かる」だけではない、「楽しい」算数授業について私と一緒に考えてみませんか?未来を生きる子どもたちの笑顔のために。

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