オリンピックから学んでほしいこと
批判の意見も聞かれる東京オリンピックですが、私たち教員はそのような声に惑わされずに、この舞台に立っている選手たちの過程を見過ごさないようにしたいものです。会場に行かなくてもメッセージを受け取ることはできます。次世代をつくる子どもたちの糧にしていけるよう、コロナ禍でも体を張って取り組んでいる選手たちの活躍を見ていきましょう。
旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也
<はじめに>
賛否が渦巻く…むしろ否定の声が大きく響くオリンピックとなってしまっています。一番悪いのは新型コロナなのですが、もはやそうではないところに原因があるかのように批判されており、大会自体や選手たちも悪いかのような印象さえ感じます。
しかし、私たち教員はそのような声に惑わされずに、選手が勝利のためにおこなってきた上達のためのプロセスや、前向きに捉えるための考え方の大切さを子どもたちに伝えていくことを忘れてはなりません。これは会場に行って観戦しましょうという意味ではございませんので悪しからず。
7月27日時点におけるそのいくつかを紹介したいと思います。
<スケートボード女子 13歳の日本史上最年少金メダリスト>
まず最も触発されるのは、生徒たちと同年代である13歳と16歳で金メダルと銅メダルをとったスケートボード女子ではないでしょうか。可能性は年齢で決まらないことを伝えるとても良いお手本だと思います。
スケートボードは東京2020大会で追加された5競技のうちのひとつ。若い世代にスポーツをもっと取り組むきっかけとなってほしいとの想いから、新競技であるスケートボード・空手・サーフィン・スポーツクライミングの4種類が採用されています。
<バスケットボール女子 エース不在で格上撃破>
次に注目してほしいのはバスケットボール女子です。女子選手ながら193cmという体格に恵まれ、日本人女子で初めてダンクシュートをしたという絶対的エース・渡嘉敷来夢選手を怪我で欠く日本代表でしたが、格上のフランス(世界ランキング5位・日本は10位)に接戦をものにして勝利しました。
誰かに頼らず、一人ひとりが自覚して行動するとこのような大きな事を成し遂げることにつながるといういい教訓になるのではないでしょうか。
また3×3(スリー・バイ・スリー)でも世界ランキング1位のフランス(日本は5位)相手に女子日本代表は勝利しています。男子に注目しがちなバスケットボールですが、実は女子も熱いスポーツです。
<競泳・池江璃花子 奇跡の復活>
そして最後に取り上げるべきは、何と言っても競泳の池江璃花子選手でしょう。
白血病という血液のガンを患いましたが、それを克服し、生還するだけでなく日本代表へと復帰するまでになったことは日本国民全員の心を打ったことでしょう。
その努力と諦めない心をぜひ子どもたちに伝えてほしいです。
他にも、史上初のきょうだい同日金メダルとなった柔道阿部兄妹をはじめとする柔道のメダル獲得者たちのインタビュー、ボートの冨田・大石ペアや荒川龍太選手などの今大会にかける想いもとても勉強になります。
<最後に>
他にもたくさんのドラマが凝縮されたオリンピックであります。その数々のドラマを伝えてほしいと思っています。
また忘れてほしくないのはパラリンピックです。障がいがありながらも邁進する姿は目を見張るものがあります。パラリンピックについてはまたの機会に取り上げたいと思います。

赤堀 達也(あかほり たつや)
旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。
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