2021.12.01
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子どもの誕生日、どのようにお祝いしていますか?

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験をもとに、学校や家庭教育の悩みについて考える連載エッセイ。子どもの誕生日は、1年の成長を祝う特別な日です。今でも素敵な思い出となっている、我が家の3人の息子たちとの誕生日の過ごし方を振り返ってみました。今回は「子どもの誕生日、どのようにお祝いしていますか?」についてお話します。

我が家の楽しいパーティーは子どもたちにも大評判

我が家では誕生日を大事にしていましたから、大々的にお祝いしていました。子どもが小さいときは、お友達もよんでパーティーをしました。うちのパーティーは、来てくれた子どもたちの間で伝説になるほど面白いんです!

例えば、子どもたちをグループに分けて、近所のお店が載っている手製のマップを渡します。マップで指示されたお店に行くと、お店の人からクイズが出されます。正しく答えることができたら、次に向かう場所のヒントがもらえます。どのチームが早く帰ってくることができるか、謎を解きながら競争です。

これは前日のうちにお店に行って、商品の代金を払って「子どもたちが来ますから、答えが合っていたらご褒美と次のヒントをあげてください」ってお願いしていました。子どもたちが迷子にならないように、大人もこっそりと付いて行くなど準備は大変でしたけど、みんなすごく喜んでくれました。宝探しをしたり、友達を連れて遊園地やテーマパークに行ったりしたこともあります。子どもたちが特別な1日を過ごせるように、ゲームやイベントを考えるのも楽しかったです。

愛情を込めた手作りケーキは最高の思い出

もう一つ、誕生日といえばママの手作りケーキです。どんなに仕事が忙しくても必ず私が作りました。しかも、子どもたちのリクエストに応えたオリジナルのケーキです。ライオンや熱帯魚、恐竜、クマ、ヘビ、トラなどいろんなデザインのケーキを作りましたよ。熱帯魚をモチーフにしたケーキを作ったときは、どうやったら水の中にいるみたいに見えるかとすごく悩みました。試行錯誤した結果、ゼリーを使って水中を泳いでいるみたいにしたんです。それを見た子どもたちは、すごく驚いて喜んでくれました。特に次男は普段はあまり感情を出さないタイプですが、私の作ったケーキにはいつも感動してくれました。買ったケーキのほうがきれいでおいしいかもしれません。でも、次男はケーキの豪華さではなく「僕だけのために努力してくれた」っていう、ママの頑張りに喜んでくれたんです。うちは子どもが3人いるので、ケーキ作りが年に3回もあって大変でしたけど、今でも最高の思い出です。

アメリカにいる息子たちに会いに行ったときは、今度は彼らが私の誕生日ケーキを作ってくれました。失敗しても、また作り直して……、とても立派なケーキが完成しました。その時に、彼らが「ママはいつも誕生日ケーキを作ってくれたよね」「あれは本当に興奮したね」「朝、目が覚めたときからワクワクしたよ」と、思い出話に盛り上がって。「よし、約束しよう。もし僕たちに子どもができたら、絶対に毎年手作りケーキでお祝いしよう」と誓っていたんです。私はその言葉を聞いて泣きました。自分がやってもらってうれしかったことを、また愛する人に分けてあげたいっていう気持ちに感動したんです。そんな素敵な大人に育てることができた達成感、まさに「子育て最高!」の瞬間でした。彼らは絶対に実行するでしょうね。でも、ママみたいに上手につくれるかな?

本当に大切なことは、どんなお祝いをするかよりも、どうやって気持ちを伝えるかということ。すべての家庭がパーティーをしたり、ケーキを作ったりできるわけではありません。でも、子どもを愛している気持ちは伝えられますよね。そのために、手紙を書くのもおすすめです。

私は子どもが文字を読めるようになってからは毎年、誕生日には手紙を渡しています。ママがどれだけ君を愛しているのか、この1年でどんな成長をしたのか、こんなところが素晴らしいとか、ありったけの気持ちを込めた長い長い手紙です。息子たちがアメリカに暮らすようになってからはメールに変わりましたが、今でも必ず送っています。

誕生日はママの子どもになってくれたことを感謝する日

日本人には言わなくても伝わるのが美徳という考え方がありますけど、現代を生きる子どもたちは世界に繋がっています。インターネットやSNSで中国やアメリカ、イギリスなど海外の情報や動画をリアルタイムで共有して、ダンスや歌、考え方などお互いに影響しあって成長しています。グローバルな感覚を身につけた子どもたちには「日本人だから言わなくても分かるよね?」っていう考え方は通用しないかもしれません。相手には全く伝わってない可能性もあります。だから、ママがあなたを愛していること、あなたのすべてを認めていることはたくさん伝えてほしいです。その方が子どもにとっても絶対に幸せなこと。うちでは、子どもたちはママの愛情に疑いなしです。ことあるごとに愛情を表現しているので、ママが愛してくれている、認めてくれていることに、疑う余地もないんです。

だから誕生日は本当にいいチャンス。改めて、「あなたと親子になれてよかった」「生まれてくれてありがとう」「身体を大事に成長してくれてママは幸せ」と伝えて、たくさんほめてあげてください。私にとって子どもの誕生日は、ママの子どもになってくれたことに感謝する日なんです。今日まで無事に生きていてくれた、成長してこの日を迎えられたっていうことに対して、ぜひ愛情と感謝を伝えてください。

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

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