2021.06.02
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コーディネーション理論と体つくり運動あそび(鬼ごっこ編)

今回はコーディネーション理論の鬼ごっこバージョンです。

様々な鬼ごっこの実践方法をお伝えします。

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

はじめに

コーディネーション理論で様々な運動遊びを紹介しています。今回は鬼ごっこでコーディネーション能力を育成していく実践方法を紹介していきたいと思います。

普通の鬼ごっこだけでも、定位能力・反応能力・変換能力などの育成につながっています。ただ、毎回同じ鬼ごっこをしているだけでは同じ能力を刺激しているだけに過ぎません。様々な鬼ごっこに取り組むことで、子どもの将来の能力を準備してあげるといいでしょう。

また子どもの体力低下の原因の一つに運動量の低下があげられます。ちなみに最も人気のある運動遊びの一つにドッジボールがあげられます。しかし、子どもの動きをよく見てみると、得意な子どもだけ動いているのがわかります。鬼ごっこは全員、ドッジボールよりも遥かに運動量があるという研究データがあります。そして順番待ちをすることがないため、その点でも運動量があります。

そのため私は鬼ごっこに注目しています。やり方の一例をお伝えしますが、楽しめるようにルール変更ありです。またコロナ禍であるため手袋をはめたりする配慮も必要となりますが、どうか参考にしてみてください。

※追いかける人は「鬼」、逃げる人は「子」と表記します。

<連結能力(カップリング能力)>

〇クモ鬼
「鬼」は四つん這いになって追いかけ、「子」は仰向けの四つん這い(クモ歩き)で逃げます。普段と異なる姿勢で鬼ごっこすることでバランス能力を育成します。また現代っ子は転んで手を骨折したりしますが、しっかり手をついてケガを防げるようにする意味もあります。

〇木鬼
氷鬼の一種です。「鬼」に触られたら、「子」は立ったまま大の字で「木」の形になります。触られていない「子」が脚の間をくぐったら復活できます。こちらも転んだ時にしっかり手をつく意味を込めています。

田んぼ鬼

<バランス能力>

〇田んぼ鬼
「田」の字を地面に書き、その線のみを使って行う鬼ごっこです。「鬼」は田の字のいずれの場所も走って追うことができます。「子」は黒の「口」の部分は走ることができ、青の「十」の部分はケンケンしないといけません。「鬼」に一度触られたら片方の靴を「十」の真ん中の黄色の部分に置きます。そのためいずれの場所もケンケンで逃げなくてはならなくなります。もう一度「鬼」に触られたら鬼交代です。二度目を触られる前に、自分もしくは誰かが靴を取り返してもらえたら元通りになれます。ケンケンしながらかがんだりすることで、バランス能力を育てます。また「子」にハンデをつけることで鬼交代をしやすくして、足が遅い子でも鬼ごっこが嫌いにならないように配慮しています。

Sケン

〇Sケン
地面に大きい「S」の字を書きます。2グループに分かれて対決します。「S」のどちらかの丸の内側が自陣となり、もう片方が敵陣となります。自陣のみ両足で動き回っていいエリアです。それ以外はケンケンしなければならないエリアになります。タッチではなく体当たりで戦い、両足ついてしまったら自陣に戻ってやり直しになります。線の無い箇所から敵陣に入り、倒されずに敵陣にあるお宝に触ったら勝ちです。ケンケンという不安定な状態で体当たりを取り入れることで、バランスを崩しても立て直す能力も養うことができます。

<識別能力(ディファレンシング能力)>

〇ボール鬼
タッチの代わりにボールを当てて鬼交代をする鬼ごっこです。複数鬼にするといいです。ボールを操ることが識別能力の育成につながります。

〇シッポ取り鬼
普通のシッポ取り鬼ですが、シッポをタオルのようなしっかりした物にします。そうすることで体を巧みに使いシッポを振り回して操るようになります。

<リズム能力>

〇震源地
鬼ごっこっぽくない鬼ごっこです。「子」は相談して誰か一人を決め、その人の動作をすぐ真似します。「鬼」は誰の真似をしているのかその誰かを見つけます。リズム能力のなかの真似する能力を育む運動遊びです。

〇レンジでチン
氷鬼の一種です。「鬼」に触られた「子」は固まります。二人の逃げている「子」が、手をつないで輪っかを作り、呼吸を合わせて下から上に「レンジでチン」としたら復活できます。二人で息を合わせることでリズム能力の刺激につながります。

<定位能力(オリエンテーション能力)>

〇障害物鬼ごっこ
障害物(遊具など)のあるところで鬼ごっこを行います。最初のうちは歩いて行ったり、マットを立てたりして行うといいです。また障害物は立体だけでなく、水たまりのようにしても危険を少なくできます。

<変換能力(アダプタビリティ能力)>

〇1対1鬼ごっこ
二人組を何組も作りますが、二人だけで鬼ごっこします。ルールは決められた範囲で走ってはいけません。「子」は人ごみに隠れながら逃げ、「鬼」は巧みに人を交わして追いかけます。触られたら二人の間で鬼交代です。1対1であるためフェイントをかけたりするので変換能力が高まります。走りませんが運動量豊富な鬼ごっこです。

ガッチャン鬼

<反応能力(リアクション能力)>

〇ガッチャン鬼
二人組で手をつないで立っています。その二人は休憩場所です。「鬼」は追いかけ「子」は逃げますが、「子」はどんどん入れ代わっていきます。その入れ代わり方は休憩場所にいる人のどちらかの手を握ります。そうしたら握られなかった方が「子」となり逃げて行きます。触られたら鬼交代です。狭い場所でもでき、アンテナを張り巡らせるため、反応能力の感覚を培うことができます。また長時間行うことができる大変重宝する鬼ごっこです。

サークル鬼ごっこ

〇サークル鬼ごっこ
数人で手をつなぎ大きな輪っかを作ります。そしてそのうちの一人に目印をつけ「子」とします。「鬼」はその「子」を触ったら鬼交代です。輪っかになっている数人と「子」はその場で大きい輪っかを回転させ、鬼に触られないようにします。手つなぎ鬼系は手をつないでいる「子」と連携して逃げなくてはならないため手で隣の「子」の動きに合わせるため、反応能力の養成が可能です。サークルが移動しないように気をつけましょう。

<さいごに>

いかがでしょうか?このように様々な鬼ごっこに取り組んでいくことでコーディネーション能力を育てることにつながります。小学生のバスケのコーチをしていた時には、走り込みは行っていません。その代わり準備運動で鬼ごっこを取り入れていました。これだけが要因ではありませんが、体力テストが市内最低水準の小学校が県大会優勝することの一因になっていることは間違いないです。ぜひ行ってみてください。

※イラストは全て筆者が作成しました。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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