2021.05.14
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単学級の学級経営~GW明けの時期に単学級の小学校で気をつけたいこと~(第2回)

4月も終わり、5月がスタートしました。ゴールデンウィーク明けで、子どもたちも、教師も一生懸命駆け抜けてきた4月の疲れが少しずつ出てくる時期でもあります。
今回は、単学級(1学年につき通常の学級が1学級)の小学校で、通常の学級の担任の先生が負担に感じていることを取り上げながら、連休明けのこの時期だからこそとくに意識したい点を考えます。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

単学級担任として負担に感じる業務の1位は…

前回の記事では、北海道の単学級担任(通常の学級が1学年につき1学級の学級担任)への調査で、単学級担任であるゆえに負担を感じるかどうかについて、「感じる」と「感じない」の割合が同程度であったということをお伝えしました。その調査のなかで、単学級担任として負担に感じる業務についても調査を行いました。その結果、最も回答が多かったのは、「学校行事の準備や進め方」に関するもので、7割の教員が「とても負担に感じる」「少し負担に感じる」と回答しました。

1学年につき複数学級の小学校では、学年内(学年団)による分担ができたり、学級担任をしない教員が配置されていることで分担が可能になる業務があったりします。また、最近は、単学級の小学校でも、理科や外国語、音楽や図工などの専科教員が配置されている学校もあります。特別支援学級が設置されており、交流及び共同の学習の場となっている学級もあるかもしれません。教員数が多いことで、一人当たりの業務量は減らせると考えることができます。文部科学省の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引~少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて」(2015)では、教職員数が少ない学校における学校行事に関して、「役割分担ができず、役割が集中した教員は、教材研究などの十分な時間が割けない」状況になることが指摘されています。単学級という問題とともに、学校の教職員定数に起因する問題であるとも言えます。

「仕事量の多さ」が一つの原因

仕事量の多さに関して、調査の記述部分に書かれたある先生のご意見は、苦しい胸の内がよく伝わってくるものです。「運動会、学芸会(学習発表会)などで、学年の内容を決め、その進め方、準備、児童の指導、保護者への連絡など、すべて一人でやるのには本当に無理がある。低学年の学芸会、指導しながら照明や音響は無理!!!

校内の事情もそれぞれあるとは思いますが、低学年の場合、サポートしていただける状況がないと物理的に大変なことも多いと思います。この先生は、きっと学芸会の練習の指導をしているときに、「大変だあ!!!」って叫びたくなったのではないかなと思います。また、学年に関わる業務だけではなく、行事の主担当になることもあります。さらに、もともと、体育や音楽の指導が得意ではない場合は、負担感が余計に増すこともあります。

「精神的なプレッシャー」も

「小規模校ほど、行事に力を入れる傾向があると思うので、学年に担任が一人しかいないと、責任の重さが大きい。学芸会や運動会の内容などがとくに。(通常の学級の)担任が6人しかいないので、親に評判が知れ渡るかなと思います

この先生の記述から、物理的な仕事量の多さに加えて、見えない精神的なプレッシャーも感じていることが分かります。この記述を見て、周りの先生たちもみんな大変だからと思い、なかなか相談できなかった自分の新卒時代を思い出しました。当時、5年生の単学級担任でしたが、運動会での学年種目のアイディアが浮かばず、一度も練習をしないまま総練習前日を迎えました。保護者からクレームの連絡帳や電話があり、「総練習は、練習ですから!」という訳の分からない説明をした本当に苦い思い出があります。本当にずさんな指導で、子どもたちに申し訳なかったと今でも反省しています。その学級の前年度までの担任がとても力のある先生で、ことあるごとに子どもたちや保護者から、「〇〇先生はこうだった…」と比較されるものの、当時の自分の経験や能力では何ともできないもどかしさも感じていました。今なら、「いや~、困ったなあ」と『大きな声』で職員室でつぶやけると思うのですが…。当時はそれができなかったのです。

5月以降、学校行事が本格的に始まります→大切なのは、毎日の授業

現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、学校行事の内容の見直しが行われたり、感染拡大の状況を鑑みて延期や中止になったりということもあるかもしれません。状況は地域によって多少異なるかもしれませんが、連休明けのバタバタしたこの時期に、運動会練習や校外学習、遠足・集団宿泊的行事等の取り組みがスタートする学校もあるかもしれません。取り組むのはまだ先でも、計画を提案・提出するということもあるかもしれません。ゴールデンウィーク明け、子どもたちが「ちょっと学校やだな~」と思っているときに、学級担任が行事の準備で疲弊してしまっては、何のための、誰のための学校行事なのか?という話になってしまいます。授業準備や学級経営のために時間を十分にかけて、担任している学級の子どもたちが「今日も学校楽しかったな」と一つでも思って、家に帰れるようにしてあげたいものです。

前回の記事の繰り返しになりますが、ぜひ、ちょっと余裕のある先生が、職員室を見渡していただければと思います。仕事量の多さや精神的なプレッシャーを感じているかもしれない先生が、もしかするといらっしゃるかもしれません。単学級の小学校だからこそ、そういう支え合いが効果的であるように思います。また、自分から助けを求める、校内にあるたくさんのリソースを自分で探しにいくということも大切です。

この原稿を書いている私も、「来週の図工、どうしよう…」と悩み、同じ学年の特別支援学級の担任の先生に、「この学校で図工が得意な先生っていますか?」ってお尋ねしました。そうすると、「あ~、いるいる。〇〇先生!図工、得意だよね?」とすぐに別の先生に声をかけてくださいました。その先生、すぐに、わざわざ私たちのデスクの近くまで来てくださいました。そして、一言。「ボク、専門は体育なんですけど…」期待は外れましたが、たくさんの人に支えて頂いているということを実感できた時間でした。

次回は、あまり雑誌などで取りあげられない2以上の学年が1つの学級で生活し学ぶ、複式学級の学級経営について考えたいと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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