2021.02.10
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学級がうまくいっている先生は何をしているのか?No.7

小学校における国語科の年間授業時数は他の教科に比べて、とても多くなっています。そのような国語科ですが、教えるのが苦手という声をよく聞きます。というわけで、今回は国語教育に役立つ小ワザを3つご紹介します。

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属 山本 裕貴

「1461」

これはなんの数字でしょう。これでは分かりづらいですね。細分化してみましょう。   

【306、315、245、245、175、175】

これでお分かりになったでしょうか。そうです。これは小学校における国語科の年間授業時数です。これは、その他の教科の授業時数を大きく上回る数字です。
私たちは全ての教科を日本語で学習します。話したり、聞いたり、考えたり、伝えたりすることは全て日本語で行います。そのようなことを考慮して、初等教育段階では国語科に多くの授業時数が割り振られています。

しかし、「国語を教えるのが苦手」という若手の先生の声をよく聞きます。実は、私もその1人でした。だからこそ、国語教育について勉強しました。そうするとやはり、優秀な先生方の共通点が見えてきました。それを私なりにアレンジして小ワザとして使っています。
ということで、今回は国語教育に役立つ小ワザを3つご紹介します。

【小ワザ1 公的話法】

国語の授業において、音読させる場面が多くあると思います。そのときに上手に読めない子がいますよね。そんな子たちにどのように指導していますか。
私は指導するのが難しかったです。何故なら自分自身もどのような音読が上手なのか、観点が不明確だったからです。つまり、観点を明確にすれば、上手に読めるようになると考えました。
では、どうすれば良いのか。ここで小ワザを使いましょう。

「小ワザ!公的話法!!」
それでは解説していきます。

これは野口芳宏氏が考案された教育技術です。話し方には2種類あります。私的話法と公的話法です。授業は公的な場なので、それにふさわしい話し方を教える必要があります。

◯手順
●公的話法について、3つの観点を教えます。
 1大きく
 2ゆっくり
 3はっきり
●教師が範読します。ここで子どもは正しい読み方を知ります。
●子どもに音読させます。
●間違っているところがあったら、正しい読み方を教え、もう一度読ませます。

何かを評価するときに、観点がないと基準を作ることができません。教師自身が公的話法を意識することで、範読が上手になります。

【小ワザ2 日直ノート】

恐らく、ほとんどの小学校で朝の会が行われていると思います。みなさんの学級では、どのような内容の朝の会をしていますか。

挨拶、健康観察、朝の歌、日直のスピーチ、先生の話というのが一般的でしょうか。このような活動の中で、子どもの国語学力に大きく貢献できる活動があります。それは日直のスピーチです。しかし、ここは力を入れて指導する先生が少ないように感じます。それは子どもの成長を考えるともったいないと思います。
では、どのようにすれば良いのか。ここで小ワザを使いましょう。

「小ワザ!日直ノート!!」
それでは解説していきます。

◯手順
●B5ノートを3分の1に切断します(切断することで、適切な文章量のノートになります)。
●時期ごとにスピーチのテーマを決めます。
 隣の席の友達の良いところ、調べてきたニュースなど
●日直の前日にノートを渡し、記入させます。
 話題提示、内容、感想の順番で文章を書かせます。
●日直の日にそのノートをもとに発表します。

私たちがスピーチをするときに、急に話すのって難しいですよね。そうなのです。人前で話すことは難しいことなのです。子どもはなおさらです。だからこそ、事前に話すための準備をさせることが大切です。

【小ワザ3 意見集約】

授業において、班で話し合わせる場面があると思います。これをする先生は良くいると思いますが、その後の展開はどのようにしていますか。
一般的には、班で話し合わせた後に、数人に発表させて全体の意見としてまとめていくと思います。

しかし、これでは一部の児童の発言中心の授業になってしまいます。自分の意見が採用されなかった児童は学習意欲の低下に繋がるリスクがあります。
では、どのようにすればよいのか。ここで小ワザを使いましょう。

「小ワザ!意見集約!!」
それでは解説していきます。

◯手順
●話し合うテーマを提示します。
 例「この詩を読んで、わかることはなんでしょうか」
●班で話し合わせます。あとで、班員の意見を集約して発表することを伝えます。
●班で1人指名して、発表させます。
 例「私の班では〇〇のような意見がありました。また~」
●全ての班が発表したら、全体でまとめます。

話し合う前に「班で誰か1人指名するから、みんなの意見を言えるようにしておいてください」と伝えておくことで、友達の意見をしっかりと聞き、まとめることの必要性が生まれます。

「書いてあることから、書いていないことを推測する」

私が初任者のとき、4年生の学級担任を任されました。元々、国語が好きだった私は子どもたちに国語を教えるのを楽しみにしていました。
私の勤務地では光村図書を教科書として使っています。そこには初めの物語文として「白いぼうし」が掲載されています。物語文が大好きだった私は、それを授業する前にわくわくしていたのを覚えています。

しかし、結果はどうだったでしょうか。それはそれは悲惨なものでした。
「白いぼうし」の結末では、女の子は蝶であったと読み取ることができる素晴らしいファンタジー作品です。私は子どもも当然そのように読み取るものだと思いました。

しかし、そうはならなかったですね。教師の適切な指導がないと、子どもたちは自らの自由な解釈に委ね、ふさわしくない読み取りをします。
例えば、「おばけじゃないか」とか「お腹が痛くなって帰ったのではないか」といったように。
初任者の私はパニックになりました。物語文を指導するのはこんなにも難しいものかと思い知らされました。

そして、初任者の私は国語授業が苦手になりました。
そんなとき、私の師である野口芳宏氏に出会いました。そして野口氏は物語文の鑑賞について次のように おっしゃいました。

「鑑賞は論理的な文脈読解によって生まれる。国語科にも正解があるのだ」

衝撃を受けましたね。そうなのです。国語科にも正解があるのです。先ほどの「白いぼうし」も論理的に文脈を読んでいけば、「女の子は蝶」という答えに行き着くのです。
そこから国語教育の楽しさに気づきました。野口先生のような国語科の楽しさに気づくことができる授業を目指して、今も奮闘しています。

というわけで、今回は国語教育に役立つ小ワザを3つ紹介しました。次回は子どもの心を育てる小ワザを紹介します。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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