2020.12.08
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

学級がうまくいっている先生は何をしているのか?(No.4)

教師の役割は大きく2つに分けることができます。
(1)学力形成
(2)人間形成
の2つです。学力形成は授業を通して形作ることができます。しかし、人間形成は全ての教育活動を通して行われます。学校は子どもにとって小さな社会です。そこで生活していくには生活指導が必要です。お互いに気持ちよく安心して過ごすためにはどうすればよいかを子どもたちは集団生活のなかで学んでいきます。

今回は生活指導で役立つ小ワザを3つ紹介します。

木更津市立鎌足小学校 山本 裕貴

「子どもはなんのために学校へ来るのか」

朝、校門が開きます。「おはようございます!」、元気の良い声で大勢の子どもたちが登校してきます。私たち教師の一日の始まりです。このような光景は日常ですね。

しかし、子どもはなんのために学校へ来るのでしょうか。子どもは学校へ来るのが当たり前?そうではありません。人間の行動には目的があります。
私は「幸せになるために学校へ来る」のだと考えています。私たち教師の役目は子どもを幸せにすることです。社会で幸せに生きていくための力を育成するのが私たちの仕事です。

そのためには、学力はもちろん必要です。しかし、それだけでは社会で幸せになることはできません。望ましい生活の仕方も教えなければいけません。だから、小学校段階では特に生活指導が重要となってきます。
私は「生活の行動を指導すること」と定義しています。では、どのように指導していけばよいのでしょうか。
今回は生活指導に役立つ小ワザを3つご紹介します。

【小ワザ1 リーダー&フォロワー】

望ましい行動ができる学級とは、子どもたちのどのような姿を指すのでしょうか。私は「教師不在時に学校生活が成立する」姿だと考えます。そのような自治機能を有する集団を作る必要あります。私は初任者のころ、いつも不思議に思っていました。「なぜ私の学級と、学級経営が上手な先生の学級では、子どもたちの動きが違うのだろう」と。この違いは先生が目の前に立って指示を出しているときには、大きく現れません。違いが浮き彫りになるのは、先生がいないときです。素晴らしい先生の学級は、先生がいなくとも落ち着いているのです。多くの先生の学級を観察し、一つの共通点を見つけました。それを取り入れてみたところ、子どもたちの動きが望ましい方向へと変わってきました。

では、どうすればよいのか。ここで小ワザを使いましょう。「小ワザ!リーダー&フォロワー!」詳しく説明していきます。

〇手順
・学級にはリーダー(まとめる人)とフォロワー(協力する人)の2種類がいることを伝えます。
・教師が指示を出すのではなく、リーダーに伝え、リーダーに指示を出してもらいます。
・フォロワーはリーダーの指示で動きます。リーダー以外は全てフォロワーです。
​​​​​​​
リーダーとフォロワーは場面によって変わります。例えば、体育の時はリーダーは体育係です。図書室を利用するときはリーダーは図書係です。

大切なことは、教師がいなくても、場面ごとのリーダーの指示に協力するということです。これを続けることで少しずつ自分たちで行動できるようになります。

【小ワザ2 グループ回収】

宿題の回収に悩むことってありませんか。学級というのは実に多様性に富んでいます。絶対に宿題を忘れない子もいれば、提出するのが難しい子もいます。そこが学級担任のやりがいであり、おもしろいところではありますが、やはり私のような人間は頭を悩ませてしまいます。

私の師である野口芳宏先生は「他律的自律」ということをおっしゃいます。この言葉の意味は、自律をするために他人の力を使うということです。それを聞いたとき、はっとしました。そうなのです。宿題を回収したかったら、回収しやすい環境を作らなければなりません。

では、どうすればよいのか。ここで小ワザを使いましょう。「小ワザ!グループ回収!」詳しく説明していきます。

〇手順 (登校後、宿題を集める場面)
・4人1班のグループを作ります。
・曜日ごとに責任者を決めます。(例えば、月曜日は A さん、火曜日は B さん)
・登校したら、責任者に宿題を渡します。
・4人分集まったら、責任者は教師に報告します。

これの良いところは、責任者が交代するところです。提出しないと責任者が困るという気持ちを育むことができます。友達の力を使って宿題を出しやすい環境を作ることが大切です。

【小ワザ3 積極的学習準備】

チャイムが鳴って、子どもたちが着席します。でも、なかなか始めの挨拶をすることができません。そこから教科書、筆箱、ノートを準備しなければならないからです。子どもたちにはそれぞれ個性があります。あっという間に準備できる子、のんびりマイペースな子。全員が準備をするのには時間がかかります。

そんなことをしていたら2、3分すぎてしまった。小学校の授業は45分しかありません。その中の貴重な2、3分です。それでは時間を最大限に活用した授業展開は難しくなってしまいます。
そうです。私が初任者の頃は、これが毎回でした。これを繰り返していくとどうなると思いますか。初めは素早く準備していた子も「どうせまだ始まらないだろう」と感じ、だらだらと準備をするようになっていきます。これでは、望ましい学校生活とは言えません。

では、どうすれば良いのか。ここで小ワザを使いましょう。「小ワザ!積極的学習準備!」詳しく説明していきます。

〇手順
・授業をチャイムが鳴る少し前に終わりにします。
・日直に次のように伝えます。
「次の時間の準備ができたら、終わりの挨拶をしてください」
・次の時間はチャイムが鳴るのと同時に授業を始めることができます。

なんのために素早く準備するのでしょうか。素早く準備すれば、休み時間が増えます。つまり素早く準備するためのメリットを子どもたちに理解させることが重要です。慣れてくると、教師が声をかけずとも、子どもたちで学習の準備をすることができます。

「力のある教師」

力のある教師ってどんな人ですか。指導力がある人ですか。授業が上手な人ですか。あなたはどんな教師をイメージしますか。

私は初任者の頃、大きな勘違いをしていました。今、思い出しても恥ずかしく感じます。本当は、こんなことは書きたくないのですが、誰かの役に立つかもしれないと思い、書かせていただきます。

私は力のある教師とは「子どもがいうことをきく」教師だと思っていました。具体的にはこういうことです。教室がざわざわ落ち着かない。しかし、その先生が教室に入るとピタリと静かになる。こんな教師が力のある教師だと思っていました。

ある日、学級経営が上手な先生がこんなことを言っていました。「俺がこの学級を持って、今は落ち着いている。だけど、俺が担任を外れたときに荒れるようなことがあれば、学級経営は失敗なんだよ」

目から鱗が落ちた気がしました。私は、どんな子どもを育てたいのか。自分が前に立っているときのみ従順な子どもを育てたいのか。そんなものは子どもの幸せにならない。急に自分が恥ずかしくなりました。

その日から、自治ができる子どもたちを育てる。それが、私の教師としての願いとなりました。

というわけで今回は生活指導に役立つ小ワザをご紹介しました。次回は言語指導に役立つ小ワザを紹介します。ここまでお読みいただきありがとうございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

木更津市立鎌足小学校
千葉大学大学院教育学研究科学校教育学専攻
木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop