2020.12.03
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やらされている感の宿題から、やっている感の自主勉強・自主学習へ。

ご覧いただきありがとうございます。私の住む白馬山麓 #hakubavalley は、いよいよ積雪時期となり、家の周りもすっかり雪景色となってきました。早朝に車や駐車場の除雪をし、その後に出勤という日が多くなります。

さて、今回のテーマは「自主学習」「自主勉強」です。私の住む長野県では「自学」と呼ばれる類のもので、一般的には学校から出される課題=宿題とは区別化されて認識されていると捉えています。自主と冠が付くくらいですから、自分から・主体的にという具体的な行動イメージが伴う家庭学習とも言えます。

今回は、「自学とはどのような特徴がある家庭学習なのか?」についてお伝えしていきます。

長野県公立小学校非常勤講師 清水 智

最初はトップダウン型で後にボトムアップ型

子どもの学び方の違い

いわゆる「宿題」とは、担任・授業者等から提示される「やってきましょう」「やらなければならない」タイプのもので、トップダウン型の学習とも言えます。一方で、「自学」は自分で学習内容を選ぶことができるため、ボトムアップ型の学習と言えます。ここに違いがあります。

自学開始当初は、ノートの使い方やバッチリメニューやワクワクメニューをバランスよく行うこと、ふりかえりを行うことなど、一定の仕組みについて学ぶことがあります。この状態を私は「トップダウン時期」としています。
「守破離(日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの)」で言う、守の時期に当たるもので型を学ぶ時期です。型がなければ型破りにはなりませんので。

*バッチリメニュー
漢字・計算・専門用語の解説など、基礎学習・知識理解と呼ばれるもの。

*ワクワクメニュー
思考力を高める問題や、自分の興味関心に基づくテーマを探究しているもの。
型を身に付ける時期を一定期間過ごし、慣れてきたところで守破離の破の時期。型破りが始まります。自学ノートの基本形を押さえた上で、自分で学習内容や進め方を決めて、学び始めます。この辺りを境目にして、トップダウン時期とボトムアップ時期が分かれます。

さらには、次のステップ離の時期となっていくのですが、これはある意味学校での教育活動から離れて、自分事として自学を進めていく時期と捉えていますので、今回のご紹介は破までとします。
卒業後、自分の夢や目標に向かって自力で進んでいく状態。それが離の時期であると考えます。

「ふりかえり」を行うことでメタ認知力アップ↑

内発的動機付けを引き出す3要素

通常の「宿題」で「ふりかえり」を行うことがどれほどあるでしょうか。
学校生活においては自分が行った学習に対してふりかえりをすることは結構な頻度であります。〇学期のふりかえり、掃除直後のふりかえり、行事のふりかえり作文……などなど。

そもそも、職員室文化として大きな行事後に「〇〇の反省」と言った名称で、行事内容のふりかえりを行う教員文化も見受けられます(勤務経験上どこにもありました)。

学校生活の中では、自分の問題の解き方や学び方を振り返るメタ認知が21世紀型能力の思考力を支える一つとして重要視され、ふりかえりをすること自体の認知度や重要性は高まっているように思えます。

物事を客観的に見るという「ふりかえり」というシステム。これを日常の学習の一つでもある「自学」に取り入れるというのは、学習効果として非常に期待がもてます。

なぜなら、その場しのぎの学習ではない、より良いものを作り出そうとする態度を身に付けるようになってくるからです。経験した学びを次の学びに活かそうとする態度、失敗を次の学びの材料とする「成功の母としての失敗観」など、いわゆるPDCAサイクルを自学でも身に付けていくことができます。

つまり、思考の習慣・くせ作りには日々の積み重ねとしての自学が有効であるということです。

学ぶこと自体が楽しくなる

動機付けの違い

これは正に学びの本質とも言えます。やらされている学びではないですから、そこには内発的な動機付けに基づく学びがあります。やる気スイッチを自分で入れているので外的環境の変化にも強く、主体的に学ぶ姿が期待できます。

また、自分の興味関心に基づくテーマ設定で学びを進めていくので(特にワクワクメニューに関して)、学校の教育課程内では学べない内容を「教材」として学ぶことができます。

時には、探究してみたけれど思ったよりも面白くなかった……ということもあります。
が、これも学びであり自分の興味関心が違うところにあるという気付き=メタ認知につながってきます。

オランダ「イエナプラン」においては、やらされる学習について以下のような言葉があります。

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罪や罰を恐れ、強制によって生み出される「よい行動」というのは、一人の人間である子どもの個人的な生において何の意味もないものであり、社会にとっても意味のないことである。
by ペーター・ペーターゼン(イエナプラン創始者)
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こういった学習への意欲と言うのは、前述している動機付けによるものですが、この動機付けには2つの種類があります。外発的動機付けと内発的動機付けです。このやる気の根源を上手に活用することでさらなる効果も期待できるのが自学であると考えます。

おわりに

今回は、自学の特徴や背景についてお伝えしました。これらの特徴や背景を十分に活用することで、自学本来の良さが発揮でき、結果的に学力の向上や学習習慣の定着といった、本来の宿題で求めている目的達成にも近づいてくると思われます。

次回は、自学の実際の様子等についてお伝えします。冬休みの直前、各学校・学級で宿題が出されるとは思いますが、宿題そのものについてご家庭や学校で考えるきっかけになればと幸いです。

清水 智(しみず さとし)

長野県公立小学校非常勤講師


元東京都公立小学校主幹教諭/現長野県公立小学校非常勤講師/教育ICT・学級経営コンサルタント/Google認定教育者レベル2

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