2020.07.10
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

通級による指導で大切なこと<5>"研究授業ではなく、ケース会議をしよう"

週1回のケース会議をしよう。通級指導教室(学級)では研究授業よりもケース会議の方がより多くのメリットを享受できます。

福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士 髙橋 三郎

東京都内のことばの教室では週一回程度ケース会議をしているところが多いようです。ケース会議とは、ある特定のケース(児童)について、その指導方針や指導内容、今後の方向性などについて話し合う会議です。

研究授業ではなく、ケース会議

 教育現場だと授業の改善ということで研究授業がしょっちゅう行われていますが、これは個別の指導を中心とする通級の指導ではあまり有効ではありません。なぜかというと、以前の記事にも書きましたが、通級による指導では「どのように教えるか」よりも「何を教えるか」が重要だからです。研究授業というスタイルは、教えるべきことが明確な場合は有効です。しかし、通級による指導ではそうでない場合の方が多く、そのため、研究授業をしても「教えるべきことは、それでは無いのでは?」ということになりかねず、もしそうなってしまった場合、その指導の仕方について話し合ってもあまり意味はありません。
 ケース会議では「どのように教えるか」だけでなく「何を教えるか」も吟味しますので、通級による指導との親和性が高いです。

ケース会議のやり方

 参加者は基本的には、通級の担当者のみです。一回45分程度で行います。一回につき一名を取り上げます。もう少し長い方が良い場合もありますが、時間に限りがあるので、私の教室ではコンパクトに45分でやっています。

 できるたけ短時間に効率よく検討できるように資料は事前に用意し、参加者に読んできてもらいます。資料には児童の実態が分かるように、A4で1枚(両面)でまとめます。あまり長すぎないようにするのも大事です。なお、個人情報ですので取り扱いには注意が必要です。


【資料に載せる内容】
氏名、学校名、学年、入級時の主訴、生育歴、相談歴、諸検査の結果(WISC-IV、K-ABC2、PVT-R、LCSAなど)、家庭での様子、学校での様子、ことばの教室での様子、ことばの教室での指導経過、検討事項(ケース会議の中で検討してもらいたいこと) など


 ケース会議は(1)担当者からの資料に関する補足、(2)他の教員からの質疑応答、(3)資料の中にある検討事項の検討、の順にすすめます。

ケース会議のメリット

 ケース会議をすると、まず自分の指導の方向性が正しいのか、それとも修正が必要なのかが分かります。また、曖昧だったケースの課題点がはっきりして、指導内容を定めやすくなるというメリットもあります。他の教員が「こういう教材があるよ」と自分の知らない教材を教えてくれることもあります。

 ケース会議をするためには事前に資料を準備しなくてはいけません。これはかなり面倒なのですが、整理する中で、その児童の課題が明確になるということもあります。諸検査の結果を改めて見直すきっかけになり、それがより良い指導に繋がっていくということもあります。

まとめ

 ケース会議、いかがですか?この記事をご覧になった先生方、ぜひ週一回取り入れてみてください。

髙橋 三郎(たかはし さぶろう)

福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士
大学院で博士号を取得し、現在はことばの教室で子供達と向き合う日々を過ごしています。言語障害や発達障害に関する知見や指導方法を様々な先生方と共有できたらと思います。

同じテーマの執筆者
  • 荒畑 美貴子

    特定非営利活動法人TISEC 理事

  • 綿引 清勝

    東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard)

  • 岩本 昌明

    富山県立富山視覚総合支援学校 教諭

  • 郡司 竜平

    北海道札幌養護学校 教諭

  • 増田 謙太郎

    東京学芸大学教職大学院 准教授

  • 植竹 安彦

    東京都立城北特別支援学校 教諭・臨床発達心理士

  • 川上 康則

    東京都立港特別支援学校 教諭

  • 中川 宣子

    京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop