2019.12.03
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体育における全てを否定する危険性

幼小中から一貫体育を目指して

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

最近、学校における体育活動で話題になったことが2つあります。中学生の運動会における組体操と、小学校の授業における走り高跳びについてです。その体育時事について私の視点から述べていきたいと思います。

それぞれの時事を少し説明します。1つ目の中学生の組体操は、「人間起こし」と言われるものです。一人の生徒をみんなで肩の高さに持ち上げて立たせ、大勢の生徒で囲みます。乗った生徒は上で立った状態から後ろに倒れ、それを周りの人が支えてから投げ返し、再度立たせる技です。知らない人も多いと思いますが、行政の方から組体操の高さ制限が出たため、新しく考案された技になります。頭を打つなど100件以上の事故が起きているとニュースになっていました。

もう1つは小学校の走り高跳びです。走り高跳びのバーと柱の用具を教員が用意した園芸用品を代用して行っていたところ、失明するケガを負ってしまいました。どちらも大きな事故となってしまい残念な結果となってしまいました。(2019年11月23日時点での情報です)

児童生徒にけが人が出ている以上、改善をしていく必要があります。またそもそも想定されるケガの予防を考えた準備をしていなくてはなりませんでした。
しかし、教員側もケガをさせてしまうことにはかなり慎重になっているはずです。予想ですが、組体操では何度も練習し、例えば上に乗る前からエバーマットを使用して練習するなどしてきたはずです。
また走り幅跳びですが、どのようにして失明するに至ってしまったのか想像もできません(現時点ではそこまでの情報が入ってきていません)。

そもそも現在の子どもの体力低下は、なんでも否定し制限してきたために引き起こされてしまったことだと考えています。公園の木登りやボールの使用は禁止、ケガをしたら授業で行わない、子どもがケガをしてしまったら教員のせい、といったような風潮が今の体力低下の子どもを作ってしまったのではないでしょうか?
本当に考えていくべきことは、禁止することではなく、子どもたちに何が足りなくて、そのためにどのように練習したらいいのかを研究し考えるべきだったのだと思います。そもそも難しいことに挑戦していかなくては、成長はありません。できることを安全に行わせるなかに、どのような成長を見いだせるのでしょうか。


今後は子どもたちの主体性を求めながらの授業になります。できるようになるために自分で考えながら活動していく授業展開になっていくはずです。そのため、もしかしたら今後はケガが増えてくるかもしれません。ケガをさせて良いということではありませんが、幼少期から繰り返したり、練習の過程を見直したりして、大きなケガを防ぐ教育システムを構築していく必要があるのだと思います。

新しい教育がスタートしていきます。国も親もそして評論家もそこを理解して見守っていってほしいと思います。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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