読みが苦手な子の指導の具体例
前回の記事で、人が文字を読むには、文字を一文字ずつ音へと変換する「音韻ルート」と文字をまとまりとして変換する「語彙ルート」の2種類があるという話をしました。今回の記事では、それらに苦手さのある児童の実際の指導例について、ご紹介いたします。
福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士 髙橋 三郎
1 音韻ルートでの読みが苦手と想定される児童への指導例

フラッシュカード例

ひらがなめいじんプリント
また、ある程度、素早く読めるようになってきたら、「めざせ!ひらがな名人プリント」を用いることも効果的です。これは、一文字一文字を素早く正確に、左から右へ、上から下へと読ませていくものです。一回につき全部で16文字あります。
フラッシュカードの場合、指導者が一枚ずつめくる必要がありますが、これだとめくる必要もありません。
これは私のホームページ上に公開しており、無料で利用可能です。ボタンをクリックするだけで、何枚も新しい文字配列のプリントを作ることができるので、大量に印刷して家で取り組んでもらうということもできます。なお、ひらがな版だけでなくカタカナ版もあり、拗音の有無も選べます。
2 語彙ルートでの読みが苦手と想定される児童への指導例
私が良く使うのは、NPO法人スマイル・プラネットが出しているスマイル式や、プレ漢字プリント内にある「ひらがな読みプリント」です。これは、単語のまとまりを見つけて丸をしていくものです。これもできるだけ早く正確に行うことが求められます。国語の教科書の単元ごとにデータがありますので、予習的にこのプリントに取り組んでから、実際の単元に取り組んでも良いです。
3 通常級では、朝の時間や宿題などで取り組んでみましょう。
今回の指導例は、私がことばの教室で行っているものですが、もちろん、通常級においても、朝学習等の時間に同様の指導を行っても良いと思います。
特に、ひらがな読みプリントは声に出す必要が無いので、自習するのに特に適しています。2~3枚取り組ませても数分で終わりますので、大きな負担にはなりません。もちろん、宿題に出してもよいです。ぜひ取り組んでみてください。
4 次回の記事について
次回は読みに課題のある児童の合理的配慮についてお伝えしたいと思います。「合理的な」配慮ですので、児童にとって有益であるのはもちろんのこと、担任の負担ができるだけ少なく「過度な負担にならない」というのが重要なポイントになってくると思います。その点も含めてお話ししたいと思います。

髙橋 三郎(たかはし さぶろう)
福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士
大学院で博士号を取得し、現在はことばの教室で子供達と向き合う日々を過ごしています。言語障害や発達障害に関する知見や指導方法を様々な先生方と共有できたらと思います。
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