2019.03.18
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3学期! 卒業を目前に(④)

3月は別れの季節です。全国の小学校では、卒業式の練習の真っただ中ではないでしょうか。その卒業式の練習の際に感じることを今回は書かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

大阪市立堀江小学校 主幹教諭   (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久

◆卒業式の練習①

呼びかけ

卒業式に向けて、先生は「子供達にとってよい卒業式にしたい!」と切に願って指導に当たっていると思います。本校では、卒業式の式次第の中に、子供達がこれまでの小学校生活を振り返って行う「呼びかけ」があります。ここでは、子供達が一つの言葉に小学校生活の様々な思いをのせて、堂々と発して欲しいものです。

そのためには、卒業式の練習の際に、先生の適切な指導が大切となります。私は以前、呼びかけの練習の際に、ただ子供達の呼びかけを聞いているのではなく、一人一人のセリフについてメモを取るようにしていました。
子供が呼びかけをしている時に、させっぱなしではなく、きちんと確認(評価といったら、誤解を招くかもしれません)しておきたかったからです。目的は、できていない子供達を指導するというのではなく、きちんとできている子を褒めて認めるためです。また、全員の子供達のモチベーションを卒業式に向けて高めていくことも目的としています。

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次の手順で行います。
①全員で同時に自分のセリフを言う。
※いきなり大きな声は出ないので、少し声を出させます。

②呼びかけスタート
※先生は一人一人の呼びかけに対してメモを取るようにします。

③呼びかけ終了
※先生がメモした呼びかけの際に気がついたことを番号順に伝える。
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②では、どのようなメモを取るのかというと「チ」、「ク」、「ノ」、「イ」、「ハ」というようなメモです。子供達がセリフをいうので、単語一つ程度でないと、瞬時にメモをすることができないからです。この「チ」、「ク」、「ノ」、「イ」、「ハ」は、私の手元にあるメモですが、あとで子供達にこれを伝えたい!と思うことを1つないし、2つメモを取っていました。
セリフが速いとか、声が小さいというのは個人差があるのはもちろんですが、子供達に適切な指導をすれば誰しもできるようになります。時には、授業時間の合間や給食時間の合間、放課後の帰る前に、個別指導をするようにしていました。
少しの成長でも先生が認めて、褒めることが大切です。決して、声が小さいからよくないとか、セリフが詰まってしまってはいけないとかそういうのではありません。一人一人が一生懸命取り組んでいるかが大切です。

声を講堂全体に聞こえるように、うまく出すことができていない子供がいた時に、一人一人に対して全体の呼びかけを止めて、「今の声が小さいからもう少し大きく出せるようにやってみて」「もう一回、いくよ。さんはい」と言っていたら限られた時間の中で、よびかけ指導をすることができません。
可能な限り、卒業式の練習をする時間を短縮した方が、子供達も学級での楽しい時間や友達との別れを惜しむ時間を確保することができます。200人卒業生がいる場合、1回呼びかけを通すだけでも多くの時間を費やしてしまいます。
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「チ」・・・声が小さい
「ク」・・・区切りを訂正する必要がある
「ノ」・・・語尾が伸びている
「イ」・・・イントネーションを訂正する必要がある
「ハ」・・・セリフのスピードが速い
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◆卒業式の練習②

証書授与

先程の、呼びかけと同様に、200人の卒業生の証書授与を練習したとします。担任の先生が子供達の名前を呼んで、子供達が返事をして、壇上の校長先生のところまで向かって証書を授与する。これを200回繰り返すのですから、1時間(45分授業)では収まりません。その間、他の児童はただ待つだけになります。証書授与の練習する時には、ある程度、子供達が証書の受け取り方を理解していなくては、効率がとても悪くなってしまいます。それに、卒業生全員の前でどのように動けばいいのか、先生の指導不十分のために戸惑い「失敗させる」というのもいいことではありません。

証書授与は、次のステップで指導することがいいです。
①学級で、証書授与の仕方を指導する。
②学級で、証書授与の練習をする(教室で)。
③学級だけで、証書授与の練習をする(講堂で)。
④卒業生全体で予行までに、一度通す。
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特に、②の学級で「証書授与の練習をする(教室で)」が大切です。2人1組で行います。

まず、友達が担任の先生の代わりになって、〇〇さんと名前を呼びます。そして次に、校長先生の代わりになって証書を渡します。教室全体に広がってすれば、一度に全員が行うことができます。例えば「授与の時のもらう手が違う」とか、「回れ右の足運びが違う」という時は、友達同士で点検しあうようにします。時に、子供達を座らせて教室で代表の子に証書授与を試してみるのもいいかもしれません。練習用の証書がない場合は、教科書等でも代用することができます。慣れてくれば、朝の5分もあれば何回か練習することができます。

この時期になれば、講堂は、椅子が常設されているので体育で使用することはありません。③の学級だけで、「証書授与の練習をする(講堂で)」は、時間を事前に決めておいてまずは学級だけで実施するとよいでしょう。講堂の舞台の上に立ち、どのようにもらうのかは、いくら教室で練習していても、距離感とか声の響き方は実際の場所試してみないとわからないからです。

◆子供達・その保護者のための卒業式に向けて

今回は、卒業式に向けて、「呼びかけ」「証書授与」の指導について紹介しました。一番大切なことは、子供達・その保護者のための卒業式であるということです。先生は、そのために子供達一人一人が、これまでの小学校生活で学んだ力を出し切ることができるように、一生懸命に取り組むことができるように、先生は指導していきたいですね。

「全員一律の声の大きさ」「全員一律の動き」だけを追い求める、みせかけのよさを求める先生のための卒業式ではなく、あくまで子供達・その保護者のための卒業式であるということを忘れてはいけないと思います。式当日に向けて、小学校生活最後の行事に向かって、どのように取り組むのかということが大切です。

子供達にとっては一生に一度しかない卒業式。全ての子供達が新しい中学校生活の好スタートを切ることができることを望んでいます。

川村幸久(かわむら ゆきひさ)

大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。

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