信頼関係について考える(3)
さて、今回も信頼関係シリーズです。前回は「共感」について述べさせていただきました。今回は、「納得」についてお話していきます。この「納得」。意外と意識されておらず、トラブルになることも多くあります。
大阪府公立小学校教諭 松森 靖行
みなさん、こんにちは。
既に二学期がスタートしている学校もあると思います。
最近では、9月スタート・・・という学校の方がめずらしいのではないでしょうか。時数の確保、学力の保障のためなど、理由はいろいろありますが・・。
私はやっぱり、9月スタートのころが懐かしいです(笑)。
さて、今回も信頼関係シリーズです。
「共感」を土台にして「納得」がある、と私は考えています。
例えば、何かを指導するとします。子どもがした行動や考えに対して、まずは「共感」。ここでの「共感」は、「賛同しろ」ということではありません。そのように行動した、そのように行動せざるを得なかった心理状況や実情について「共感」しようということです。つまり、人間的に、法的に許されないことまで許すのではなく、「その時の子ども(保護者)の状況に寄り添う」ということです。
そして、「共感」の段階が過ぎると、私はいつも次のように声をかけます。
「では、○○さんは、どうしたいの?」
そして、
「まずは、先生からお話してもいい?」
の2つです。「そこまで丁寧にしなくても…」という声を何度もいただきましたが、そこまで丁寧にしないと、子どもたちや保護者の「納得」を得る事はできません。これは、「コーチング」の手法です。この2つの言葉は、「見かけだけの共感ではない」という「安心感」を相手に与えるものです。
相手に「共感」しながら、「次はどうするべきかな…。」と考えています。でも、私の場合、ほとんどが「自分は○○するのが一番早いと思うのだけれど、本当は違うかもなあ…。」と不安になってしまうのです。そうなると、「本人に聞くのが一番いいや!!」と思うのです。「自分たちで話をしたい」「先生と一緒に話をしたい」「班で話をしたい」、そして「聞いてほしかっただけだから、もう大丈夫です」ということもありました。もう、その段階で、「納得」の8割は達成されています。
4月当初、毎日、何回も私に相談にしてきた子がいました。私はずっと、時間の許す限り話を聞いていました。そして、2、3ヶ月が経過した時、「どうしたいの?」と聞くと、「自分で解決してみる。」という答えが返ってきてビックリしたことがありました。その子は、もう先生に聞いてもらい、「共感」してもらうだけで、「勇気」を得た状態(つまり、「納得」にも似た状態)になっていたわけですね。
長くなりました。次回は「まずは、先生からお話してもいい?」についてお話します。

松森 靖行(まつもり やすゆき)
大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。
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