信頼関係について考える(1)
学級経営や授業、生徒指導で一番大切なものは、「教師と子供との信頼関係」です。今回から数回に分けて、「信頼関係」についてお話していきます。
大阪府公立小学校教諭 松森 靖行
みなさん、こんにちは。
もうすぐ夏休みですね。教師も子供たちも夏休みへ向けてラストスパート!といったところでしょうか。この記事を読んだ下さっている方の中には、採用試験真っ最中の方もいらっしゃると思います。体調を万全にして、どうか全力を尽くされることを祈っています。
さて、先週まで「魔の6月」について話をしました。読んで下さった方から、多くの感想をいただき、大変うれしく思いました。
中には、「自分には魔の6月なんて無い。いつも魔の月だと思っている。」というご意見もありました。なるほどと思いました。常に学級崩壊への魔が潜んでいると思う事も大切だなと思いました。
ただし、学級経営には、「旬」があります。その月、その時期に応じて意識して「伸ばしていく事」「気をつけていく事」は違います。それらを意識しないで、ただ「いつも気を張っておく」ことは、無駄なことですし、教師も疲れます。そのような状況になってしまうと、子供たちとの間も不自然なものとなり、「教師と子供との信頼関係」を築く事が難しくなってしまいます。
学級経営や授業、生徒指導で一番大切なものは、「教師と子供との信頼関係」です。今回から数回に分けて、「信頼関係」についてお話していきます。
今回は、信頼関係がどのようにして生まれるのかについてです。
信頼関係はどのようにして生まれのか。
4月、始業式。持ち上がり学年では無い限り、担任と子供たちは「無関係」な関係です。つまり「赤の他人」。そのような状況で担任の先生に、何かを言われても子供たちの心には響きません。
担任として難しいのは、子供たちと初対面だった場合、初対面にも関わらず、担任としての想いを、始業式から伝えていかなくてはならないことです。よく考えれば、かなり不自然なことだと思いませんか?
私は、今年は転勤だったので、かなりしんどい学級開きでした。前任校だったら、もち上がりだったり、そうでなくても兄弟関係やその他の関係で私のことを知っている方が多かったりしたので、比較的、楽な始業式でした。初めて出逢う私に、子供たちは興味津々でしたが、不安な顔もたくさんありました。保護者もそうだったに違いありません。しかし、そのような状況でも、担任としての想いを語りました。楽しいゲームもしました。僅か1時間の学級開きでしたが、子供たちはだんだんとこちらに向いてくれるようなったと「感じました。」
「感じました。」と「」をつけたのは、本当のところ、子供たちは、どう感じているか分からなかったからです。子供たちも、私に対して手探り状態。私も子供たちに対して手探り状態だった訳です。
そのような状況では、何を指導しても、まだうまくいきません。もしかしかたら、始業式の日に、何か注意をすることがあるかもしれません。そして、その注意を子供たちは聞いてくれるかもしれません。でも、それは「先生」として聞いてくれているのです。まだ、「担任の先生」には、子供たちの中でなってはいません。そのような状態で注意をしても、すぐに聞き流されてしまいます。
子供たちと深い信頼関係が築けるのは、担任だけだと私は思っています。担任は、始業式の日から、子供たちに様々なアプローチをしていきます。様々な方法をとっていきます。失敗をすることもあります。なかなか言いたいことが伝わらないこともあるでしょう。でも、そこで「次で、1mmぐらい成長してくれればいいかな。」と思う事で、失敗をしても、クラスに、その子にアプローチをし続けていくのです。(そのアプローチの仕方は後日!)
あきらめてはいけないのです。教師が、担任が「この子たちはだめだ」とあきらめてはだめなのです。その姿勢を子供たちは見抜くのです。「先生は、あきらめていない。自分も、自分たちもがんばろう。」と、教師の姿勢を見て子供たちは思っています。教師が、子供たちに対してあきらめたところに、信頼関係はありません。
とにかく、どのような状況でも、あきらめず、子供たちを信じ続ける姿勢が信頼関係を生みます。
私自身も、子供たちを信頼しているか・・・、自問自答しながらこの記事を書きました。
次回は、信頼関係がなかったら・・・についてです。
それでは。

松森 靖行(まつもり やすゆき)
大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。
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