2018.06.27
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水泳指導「安全確保につながる運動」の重要性

今回の学習指導要領解説の改訂の中で、多くの変更点があった水泳運動領域。
その中の目玉の一つである高学年「安全確保につながる運動」。
この運動は、着衣水泳の時だけで指導すると勘違いしてしまうと考える指導者が多くいることが懸念されます。

そこで今回は、この「安全確保につながる運動」では、どのようなことに重点を置いて指導にあたればよいのかについて具体例とともに紹介します。
どうぞよろしくお願いいたします。

大阪市立堀江小学校 主幹教諭   (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久

◆なぜ、今安全確保につながる運動なのか◆

自己保全能力を高めるため

高学年の安全確保につながる運動導入の意図には、水中における自己保全能力を高めながら、水中での身のこなし方を向上させることがあります。
水難での自分の身を守るためです。

平成29年夏期(7~8月の2か月間)における水難
 ○ 発生件数 511件 (前年対比 -103件)
 ○ 水難者647人 (前年対比 - 88人) うち死者・行方不明者 248人 (前年対比 - 56人)
このうち、中学生以下の子供は
 ○ 発生件数※183件 (前年対比 - 15件)
 ○ 水難者130人 (前年対比 - 2人) うち死者・行方不明者 14人 (前年対比 - 5人)
(平成29年9月警察庁生活安全局地域課より)

あってはならないことですが、万が一、水難にあった時に
 ・ 無理に泳ごうとしない
 ・ その場で浮きながら救助を待つ
ということの指導と同時に、
 ・ 背浮き姿勢や浮き沈みによって呼吸を確保する動きを見に付けること
 ・ ペットボトルや空気をため込んだ衣服の浮力を利用し、楽な状態で長く浮くための方法を体験する
という指導も大切になってきます。

高学年の学習指導要領では、
 ア クロール
 イ 平泳ぎ
 ウ 安全確保につながる運動
と明記されているので、決して、クロールと平泳ぎだけ指導するのではなく、各学校の水泳指導の学習指導計画の中に位置づけて指導していかなくてはいけません。
(※着衣水泳の時間のみの指導ではいけません。着衣水泳の時間を含めた児童の自己保全能力育成を‼)
(※低学年・中学年での水遊びや浮く運動の中でも、指導者が高学年へのつながりを意識して、指導を行うことも大切です)


◆具体的な運動例1◆

呼吸確保をメインに

安全確保につながる運動では
 ・ 連続ボビング
 ・ 背浮き、ラッコ浮き
 ・ 姿勢や方向を変えながら泳ぐ指導
 ・ 立ち泳ぎ
 ・ (一定時間泳ぐ)時間泳
等を行うとよいでしょう。


一番の基本は、連続ボビングです。
これは、空気を「一気に吐き出す」呼吸の練習です。
呼吸し続けることの基本になります。

次に背浮き・ラッコ浮きです。
浅い場所でかかとを底に付けた背浮きやラッコ浮きから始めるようにします。
児童に楽に安定して浮くことができるという安心感を与えることです。
安定した背浮きができるように、初めはビート板やペットボトルを持って浮くことに慣れさせていきます。
(※個に応じて、段階的な指導を行う)


◆具体的な運動例2◆

毎時間短時間でも継続して取り組むこと

私が以前高学年の水泳指導をしていた時には、学習の中に時間泳を取り入れていました。
単に、どんな泳ぎ方でもいいので、立たずに泳ぐということです。
周回泳の中で取り入れていました。
(時間の目安は、3~5分くらいでした)
子供たちは、時間泳のめあてを一人ひとりが明確に持つことができるように、毎時間自分の泳ぐことができた時間を学習カードに記録しておくようにさせました。
全10時間程度しかない水泳学習の中で、毎時間短時間でもいいので、安全確保につながる運動の指導として取り入れていた活動です。


◆最後に◆

一番大切なことは

ここでは、高学年の安全確保につながる運動の具体例として、あくまで2つの例を紹介しました。

一番大切なこと。
それは、(着衣水泳の時間を含めた)児童の自己保全能力育成のために、
新しく学習指導要領に追加された安全確保につながる運動の経緯について全教職員がまず理解し、子供たちの水泳指導・水難防止のための安全指導について、学校としてどうのように指導していくのかについて改めて議論していく必要があります。


川村幸久(かわむら ゆきひさ)

大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。

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