水泳指導で大切にしたいこと
6月になりました。
早い学校では、6月上旬から水泳学習が始まると思います(遅くても6月下旬には水泳学習が始まりますよね)。
そこで今回は、水泳指導において大切にしたいポイント
① すべてにおいて、安全第一の授業の徹底
② 学習の頻度を高める時間割の工夫
③ 各学年の目標・内容に応じた指導を
の3点についてです。
どうぞよろしくお願いいたします。
大阪市立堀江小学校 主幹教諭 (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久
◆大切なこと①◆
いうまでもなく安全第一。すべてにおいて、安全第一の授業の徹底
どんなに素晴らしい授業をしていても、子供たちの安全を軽視した授業では話になりません。
水泳学習が始まる前までに確認しないといけないことはたくさんあります。
例えば
・ 設備の管理
・ 衛生点検
・ 水質管理
・ 薬品の管理
・ 児童の健康管理
・ 注意を要する児童への対応策の共通理解
・ 監視体制
・ 用具などの使用上の注意の確認
・ 緊急時の対応方法・用具の確認
等です。
1つでも疎かにすることで、事故につながるという危機意識を指導者全員が持たなくてはいけません。
どの領域の学習でももちろんのことですが、時に水泳学習での事故は取り返しのつなかない大事故につながる可能性があります。
安全第一の授業の徹底が、まず大前提です。
◆大切なこと②◆
時間数よりも頻度。学習の頻度を高める時間割の工夫
その10時間の中で、大切なことは単なる10という時間数ではなく、その学習の頻度です。
次のA・Bのパターンを見てください。
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Aパターン 2コマ続きの授業を5回(2コマ×5回)=10時間
Bパターン 1コマの授業を10回(1コマ×10回)=10時間
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この2つは、時間数としては同じ10時間ですが、子供の技能の高まりの可能性で考えると、大きな差が出ると想像できます。
みなさんは、どちらのパターンが子供の技能の高まりに効果的であるか、わかりますか。
それは、もちろん、Bパターンです。
エビングハウスの忘却曲線と同じようなことが、運動にも当てはまるからです。
単に10時間授業をするということではなく、頻度を高めることを意識して10時間を組むことが大切です。
1週間に1回(2時間まとめて)の学習より、1週間に2回(1時間ずつ)の水泳学習の方が、子供たちが一度身に付いた運動技能が高まります。
しかし、1回の授業で45分しかない場合であっても中心となる学習内容以外にも、
・ 準備運動
・ 水慣れ
・ 整理運動等の時間も含まれるので、効率よく学習に臨めるように、事前の指導がキーとなります。
時間に追われて、子供を焦らせて動かすことも、事故につながるのでそのあたりは、学年や学級の実態によって吟味し、慎重にしないといけません。
◆大切なこと③◆
各学年の目標・内容に応じた指導を
当たり前のことですが、これまでの経験から、水泳学習ではどうしてもトレーニング的な一方的な授業を見ることが多かったからそういったのです。
・ 低学年でも中学年でも、25mを目指すために、ひたすらクロールで泳がせる とか
・ 平泳ぎにつながる動きは、6年生で初めてした とか‥‥
そうならないためにも、各学年の目標・内容を今一度確認する必要があります。
低学年・中学年・高学年ではそれぞれ意識して指導しないといけないことが違ってきます。
国語や算数ではきちんと理解している先生も、水泳指導となると「どの学年で・何を意識して・どの程度まで指導する」というのが曖昧になっている場合が多いです。
だから、学習指導要領を今一度、確認して各学年の目標・内容を確認するようにしましょう。
また、文部科学省のまるわかりハンドブックもそれを理解する上で、大変参考になります。

川村幸久(かわむら ゆきひさ)
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。
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