食について考える
勤務校は夜間定時制で、1時間目が終わると給食の時間があり、その後に2時間目~4時間目の授業が行われます。給食は完全給食で、栄養バランスが考えられたものになっています。高校生にもなると好きなものを好きなだけ食べたり、朝は食べなかったり、食生活が乱れ始める人もいると思います。また、普段の生活の忙しさから、食について深く考える機会もないのかもしれません。本校の給食の時間も、食堂までの移動も含めて30分と、かなり慌ただしいのですが、その中でも食について考えてもらおうと、いろんな取り組みを行っています。今回は、給食担当職員と協力しながら、LHRなどで実施した取り組みについて紹介したいと思います。
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
高校生の食生活の現状は・・・
本校は夜間定時制ということで、昼間は就労している生徒が多く在籍しています。そんな生徒たちは朝から夜まで就労と学校の予定がギッシリ詰まっており、時間的な余裕はだいぶ少ない状態です。朝は時間がなかったり、食欲がなかったりという理由から、食べないという生徒も多いようです。また、本校での給食の時間帯が18時頃と比較的早く、その後に授業があることから、帰宅して遅い時間帯に夜食を食べるという生徒もけっこういます。さらに、飲食店などで働いている場合は、お昼時は忙しくて食事がとれず、昼食の時間帯がかなり不規則になるという生徒もいます。
食べ物の好みに関しては、味付けの濃いもの、油っぽいもの、お菓子類などを好む生徒が多く、魚や野菜類は残食が多い傾向にあります。
本校に限った事情ばかりではありませんが、食生活はやや乱れ気味になっていると言えると思います。ただ、高校生という若さもあって、それに対する困り感というものはほとんどないのが現状です。
LHRで食育教室
(1)生徒によるアンケート分析
本校では食生活についてアンケートを取ったり、残食調査というものを行ったりしています。その結果はグラフ化して職員間で共有したり、生徒一人ひとりと担当職員が面談したりしています。それに加え、LHRの時間にパワーポイントを使って、保健給食委員の生徒が他の生徒にプレゼンする機会を設けました。また、それを受けて自分たちで自分たちの食生活について振り返ることができ、非常に有意義だったと思います。
(2)塩分量の体験
栄養バランスや塩分量について講話を聞いた後、実際に味噌汁を作って塩分量による味の違いを体験してもらいました。適正な塩分量で作ったものは「薄い!」という声も多く、「いつもは塩分とりすぎていたんだ~。これからは気をつけよう」というような感想が出てきました。こうした体験を交えた講座は生徒も関心を持ちやすく、最後まで興味を持って参加したようです。
(3)1食分のメニューを考える
その年度の最後には、1年間の学習を踏まえて、1食分の給食のメニューを考えてもらう講座も行いました。好きなものは入れたいけど、それを入れるとカロリーが・・・、塩分が・・・、他のメニューが寂しくなる・・・といった具合に、工夫を凝らしてメニューを考えていたようです。ちなみに、ここで考えたメニューを、実際に翌月の給食に反映していただいたこともあります。
親子フォーラム
以前書いたp4cについての記事「授業に対話(p4c)を取り入れる」はコチラです↓
https://www.manabinoba.com/tsurezure/016000.html
テーマは「給食は好きなものだけ食べていい?完食すべき?」でした。保護者の方も一緒でしたが、表面上の話でなく、それぞれの本音を話すことができました。「嫌いなものを無理して食べると授業に影響が・・・」なんて声や、「自分で作ったものならまだしも、誰かが作ってくれたものは給食に限らず絶対残さないようにしている」なんて声もありました。また、給食だけでなく、家での食事の話題も出てくるなど、ざっくばらんに良い対話ができたと思います。
今回は食育の一環として行ったわけですが、高校生にもなると恥ずかしがって保護者の方とほとんど話さないなんて生徒もいるようで、そうした意味でも貴重な機会になったと思います。
給食は大事な時間
物理的な時間があまり確保できないのが心苦しいですが、給食の時間からも多くのことを学んでほしいと思いますし、私たちもそのきっかけをつくっていきたいと思い、今回はこの記事を書いてみました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
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