2018.01.04
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被災2年目の熊本からの発信 ~チーム学校で1月を乗り切ろう~ (第1回)

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
一昨年の4月14日、16日に熊本は大きな地震の被害を受けました。
昨年度、あれてしまったという学級を多く聴きました。
5月病からの6月荒れ、11月荒れはよく聴きますが、昨年度は1月荒れがけっこう多かったようです。
熊本地震から私は何を学んだか?

さらに、私自身、休職に追い込まれた過去があります。
熊本地震から学んだことを生かし、自分の過去を振り返り、
苦しむ教師がこれ以上でないことを祈りながら、今回のシリーズを続けていきます。




熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

一学期の大切さを改めて知る

熊本地震本震後の理科準備室のようす

本震後の理科準備室。薬品棚が壊れていなかったことが奇跡的。

熊本地震の発生は4月。黄金の三日間が終わり、
これからシステムを本格稼働、というときに襲った二度の地震。
5月10日に再開した学校が多かったのです。
3・7・30の法則どころか、0から、むしろマイナスからのスタート。
例えば、新1年生は入学式のあと、2回しか学校に来ていないのです。
希望に胸膨らませてが、一挙に見通しが立たないに変わったのです。

授業参観、学級懇談会、家庭訪問など、
子どもたちのことをより深く知る機会がなく、
保護者とも会ったことがない、というスタート。誰も経験がありません。
4月が「なかった」ので、5月になって「4月に行うべき」事務処理等も一気にやってきました。
一学期に確立すべきシステムを定着させる、子どもたちを知って信頼関係を築いていく、
こういったことがまったくできないまま、夏休みを迎えてしまいました。

子どもの立場も同じです。全壊した家庭もありますし、断水したままの家庭もありました。
「この学級で」「この仲間と」「この先生と」
ひょっとすると、担任の名前すら忘れていた子どももいたかもしれません。
教師も子どもも、一学期は余裕などなかったのです。

地震によって、一学期の大切さがより明らかになった昨年度でした。

先手必勝(先手必笑)になれない

夏休み。「ゆっくり英気を養いたい」
しかし、期間が短くなり、心身ともに疲れがでる、そして二学期。
二学期になって、少しずつ子どもたちは「自」を出してきます。
「素」というか「本来」というべきでしょうか。

「頭が痛いです。」と頻繁に言ってくる子どもがいたとします。
「何かありそうだ。」と思いますが、その背景がつかめないのです。
一人一人の子どもの状況を把握していて、
いいところを伸ばしていこうとする、その流れができていません。
どうしても後手後手にまわってしまいます。
「先手必勝」(または先手必笑)でなければならないのに。。。

チーム学校で取り組む

運動会、音楽会、学習発表会、修学旅行、集団宿泊など行事に追われた二学期
十一月後半からくすぶり始めた火種が、冬休みを越えて
1月に爆発していった、というのが昨年の1月荒れだったのです。
結局は「流れ」ができていなかったのです。
最初の子どもの様子からどれだけ「伸びた」か
その最初の把握がうまくいっていないために、最後までシステムが機能しなかったのです。

三学期は子どもの成長を確認しながらゴールをめざせばいいのです。
うまくいっていない場合は、短い三学期ではやり直しが難しいです。
新しい取り組みをしようとしても、かえって裏目にでてしまうことが多いです。
そんなとき、一番いけないことは、担任教師だけで解決しようとすることです。
きっと助けてくださる仲間がいます。
また、成長しない子どもはいません。
きっと「これではいけない」と思っている子どもがいます。

昨年度の熊本の先生方の声から思うことは、
うまくいっていないときはたくさんの教師が「これでいいのか?」と問いかけることです。
「チーム学校」の大切さを改めて感じた一年でした。

今苦しんでいる先生は、1月を「チーム」で乗り切りましょう。
学期末には「あのときがあったから、今がある」と思えますよ。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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