評価について
先日、近隣の学校の先生方有志による勉強会を開きました。今年度になって立ち上げましたが、参加者も県内外を問わず、また教員以外の立場の方も入るなど、様々な方に参加していただきました。
このたびの勉強会のテーマは「授業の目的と評価」をメインとして、参加者の実践報告や様々な研修成果の共有を行い、意見交換しました。学校のタイプが異なっていても共通することはありますし、逆にその違いが参考になる場合もあります。今日は、そこで話題となった「評価」について、自分なりに考えたことを書きたいと思います。
ちなみに「評価」については、以前「個人内評価の大切さ」という記事を書きました。そちらもあわせてご覧ください。
https://www.manabinoba.com/tsurezure/016076.html
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
活動そのものの評価
さて、そういう授業の中で、活動そのものをどのように評価すべきでしょうか?グループ活動で言えば、その取り組み姿勢やグループへの貢献度などなど・・・最終的に完成した「作品」でなく、途中経過をどのように評価すべきか、悩ましいところではあります。
このたびの勉強会や、これまでに参加した様々な研修でも、実にいろんな意見がありました。いくつか紹介したいと思います。ちなみにここで言う「評価」は、年度末の最終的な評定に反映させるか否かという意味で用いています。
(1)活動そのものは評価しない
活動そのものは評価に加えないという意見があります。授業中にこちらが意図したように活動している生徒は、その分だけ力がつき、最終的にできあがった「作品」や試験でも十分な成績を収めることができるという理由からです。
ただし、「なぜ、そのような活動をさせるのか?」という授業の「目的」とリンクした作品の評価規準や試験を作る必要はあると思います。
(2)活動も評価に入れる
他方、活動そのものも評価に加えるという方もいます。あらかじめルーブリックなどを示した上で、教員が活動を評価し、それをフィードバックするというやり方もあると思います。また、生徒同士の評価もさせ、その妥当性を吟味するところまで指導し、評価者・被評価者が双方納得した上で評価に加えるといった話も聞いたことがあります。どちらにしても、活動を評価に加えるという場合は、その結果をあからじめ被評価者に開示し、必要に応じて話をする(次回に向けて指導する)という方がいるようです。
良い意味での逸脱は評価すべきか?
今回の勉強会で出た事例では、グループでの調べ学習において、授業者が指定した範囲(文献調査)を超え、インタビュー調査や指定地域外の調査まで意欲的に行ったというものでした。その内容も飛び抜けて素晴らしいものであった場合、どのように評価すべきでしょうか??これもケースバイケースで一概には言えず、様々な考え方があると思います。
(1)評価対象外となる
授業の場合はあまり出てこないかもしれませんが、外部のコンクールで「原稿用紙5枚以内」という指定に対して「頑張って10枚書いた!」という場合には該当してしまうかと思います。ただし、授業では常に生徒とやり取りして、授業者が様子を観察するわけですから、対象外と考えるのであれば、その前に修正すべきなので、出てこないというより出すべきでないと思います。
(2)授業者が想定した枠内で評価する
例えば「文献調査」を指示し、それに沿ったルーブリックなどを提示している場合、「インタビュー調査」をしたとしてもそれは評価されず、あくまでもともと想定していた枠内で評価するということも考えられます。今回のケースで言えば、意欲的に取り組んでいるので「積極性」「意欲」といった項目で、できるだけ評価するということになります。他の生徒とのバランスを考えると、説明はつきやすいかもしれません。
(3)内容によっては想定を超えた評価をする
内容が飛び抜けて素晴らしいものだった場合、授業者の想定にない評価をするという意見もあります。事前に提示していない項目を加えて評価したり、さらに上の評価の段階を設けたり(A~C評価にSを加えるなど)といったことが考えられます。それによって、次回以降、他の生徒たちも同様に、授業者の意図する範囲を良い方向に超えていってくれることも期待できます。ただし、評価の説明責任も重要ですので、その内容が飛び抜けて素晴らしいという客観的な理由も必要になると思います。誰が聞いても納得できるということでなければ、次回以降に悪い影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
総括的評価だけではない
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
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