2020.03.27
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東日本大震災について学ぶ(リポート4) さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんが4回にわたって紹介します。最終回では、菊池健一さんの感想と来年度に向けた展望をリポートいたします。

3.11の新聞記事をスクラップする・・・はずだった

3月11日の新聞各紙

今年度担当する児童は、これまでに新聞記事の紹介や道徳の学習を通じて、東日本大震災について学んできました。また、震災当時の家族の様子を調べることを通して、震災について自分事として捉えています。今年も、3月11日の震災の日がやってきました。

毎年、3月11日には各新聞社の新聞を購入し、児童といっしょに読み比べています。今年も11日の新聞を児童とスクラップして感想をまとめる活動を予定していました。しかし、今年は新型コロナウイルスへの感染対策として臨時休校を余儀なくされ、授業での新聞スクラップができなくなりました。大変残念です。

休校になる前、児童に3月11日の新聞記事をスクラップすることを告げると、
  • 「被害を受けた地域がどうなっているか知りたい」
  • 「家族を亡くした方が今、どんな気持ちでいるか知りたい」
  • 「東北では今、どんなことで困っているか知りたい」
など、新聞を通して知りたいと思ったことをしっかりと考えているようでした。3月11日にはA新聞社様から新聞提供をいただきました。しかし、児童は登校できなかったので大変残念でした。

新聞コーナーで最後の掲示

新聞コーナーの掲示

児童は、今年度最後に1日だけ登校できることになりました。そこで、私が選んだ記事を最後に見てもらおうと、学年の新聞コーナーに掲示しました。今年の記事を見ると、
  • 原発事故から避難している方の記事
  • 原発事故の影響を受けた福島県双葉郡双葉町で避難指示が一部解除されたという記事
  • JR常磐線が全線開通するという記事
  • 復興五輪の記事
など、明るい話題が多くあることに気が付きました。

しかし、子どもたちはこれらの記事を見ながらも、その背後にはたくさんの被災地の方が今でも苦しんでいらっしゃることにきっと気が付くと思います。子どもたちにはこれからも被災地の様子に関心を持っていてもらいたいと考えています。

来年、震災10年目に向けて・・・

来年には東日本大震災から10年目を迎えます。復興に向けて、仮設住宅の設置率などは高まりましたが、原発の問題、高台への移転の問題などさまざまな問題が未解決のままです。これは決して被災地だけの問題ではなく、日本全体の問題であると感じます。

「風化」という言葉があります。私もこの9年間で周りの人が東日本大震災について語らなくなってきていることに気が付きました。このように出来事は忘れられていくのだと改めて感じました。

東日本大震災のことを風化させずにいつまでも震災の教訓を生かせるように、そして、被災地の復興をみんなで応援できるように、私はこれからも震災を取り上げた実践を続けていくつもりです。これから復興がさらに進むことを願ってやみません。

文・写真:菊池健一

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